東京建物(8804)の株価を分析していきます。
東京建物を5つのポイントで説明
- 9期連続増配銘柄で配当目的でオススメ
- 2022年12月は売上高、営業利益共に過去最高を更新予定
- 主力事業は東京都内を中心としたビル事業で97%以上の稼働率
- 海外事業は中国に圧倒的な強み
- 株価は1800円台をしっかり固められるかに注目
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東京建物の概要
東京建物は、日本で最も古い歴史を持つ総合不動産会社で、不動産業界6位のディベロッパーです。
東京建物は、その名前の通り東京を中心としたエリア戦略を展開しています。
ビル事業では、所有しているオフィスビル賃貸物件のエリアの割合は都心5区で約60%、東京23区で約80%になっています。
東京以外では「グランフロント大阪」や「名古屋プライムセントラルタワー」の様に主要都市圏にも展開しています。
旧来型の倉庫からの代替需要に対する供給不足に対応するために、2021 年にロジスティクス事業部を設置して、物流施設へのさらなる注力をしています。
分譲マンション事業も約80%が東京都内になっています。
住宅事業では、「Brillia」シリーズを展開していて、東京都内で18物件の再開発事業の実績があります。
また東京建物グループの管理するマンションにフードトラックや移動物販車を誘致する「SHOP STOP」サービスを導入しています。
保育事業では、13の保育園と1つの学童施設の「おはよう保育」の運営と管理を行っていて、マンション開発事業にシナジーを生み出しています。
海外事業では、中国やシンガポールに進出していて、中国と東南アジアに強みを持っています。
特に中国は、1903年に天津へ進出をきっかけに6都市に進出しています。
代表的な東京建物の日本発
東京建物は様々な日本初の取り組みを行う、日本の不動産業界を先導する企業です。
- 現在の住宅ローンの原型となる割賦販売方式を考えて不動産売買を開始
- 日本の総合不動産業では初めて上海での分譲マンション事業に参入
- 東日本大震災以前に新宿副都心の超高層ビルの長周期地震動対策工事完了
- 日本最大級の建替プロジェクト「Brillia 多摩ニュータウン」
- 日本初の区本庁舎一体型高層マンション「Brillia Tower 池袋」竣工
- 日本初の世界有数の高級ホテル「Four Seasons Hotel」と東京建物の「Brillia」が一体となった超高層複合タワーの開発
八重洲再開発事業
引用:東京建物
八重洲、日本橋、京橋エリアは東京建物の創業地や本社を構えるエリアです。
東京建物は、この八重洲エリアに多くの物件を所有していて「八重洲の大家」とも言われています。
その他にも中央区、港区、渋谷区で複数の持続可能なまちづくりプロジェクトを推進しています。
2030年頃までに東京建物が保有する想定賃貸面積が約32万㎡分の再開発プロジェクトが順次竣工予定です。
海外事業
引用:東京建物
東京建物は、中国やシンガポールに進出していて、中国と東南アジアに強みを持っています。
中国の6都市に進出していて、中国最大手のディベロッパー万科と共同で分譲マンション事業を行っています。
現在、「(仮称)徐州城北プロジェクト」と「(仮称)揚州城西プロジェクト」を2025年竣工予定で進めています。
この2物件が完成すると2005 年に中国で住宅開発事業を開始して以降、住宅供給戸数累計は日系企業としては最多となる25,267 戸になる予定です。
シンガポールでは、2020年に東京建物グループ初の東南アジアオフィスビル事業「79 ロビンソンロード」が竣工させています。
長期ビジョンで、2030 年頃に東京建物グループ全体で事業利益1200 億円を目指していています。
そのうちの約10%を海外事業で実現させる計画です。
事業セグメント
東京建物は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- ビル事業セグメント:再開発事業をはじめとする都市開発事業やオフィスビルの開発・運営事業
- 住宅事業セグメント:分譲住宅ブランド「Brillia」の開発を中心とした分譲住宅事業や賃貸住宅事業
- その他:アセットサービス事業、リゾート事業、駐車場事業、保育事業、海外事業、資産運用事業
売上構成比率(2021年12月期)
引用:東京建物
主力事業は、売上高で見るとビル事業になっていますが、住宅事業の比率も高いのが分かります。
営業利益で見るとビル事業が約70%を占めているので、ビル事業が東京建物の主な収益源になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.4倍
- PBR:0.88倍
不動産業の平均PERが13.8倍、PBRが1.2倍で見ると、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると直近7年間は、1800円付近の高値を付けて転換しています。
月足移動平均線は、全て上向きで60MAもゆるやかに上を向いてきました。
22年3月には、1900円まで上昇しましたが1800円付近まで戻しています。
週足移動平均線は、全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
下落した場合の直近の下値目処は1750円になります。
中期的に保有するのが目的なら1600円付近まで待ってもいいと思います。
まずは1800円をしっかり超えていけるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2021年に3404億円、営業利益の過去最高も2021年の587億円。
直近5年を見ても売上高は順調に伸びていています。
2022年12月期も過去最高の売上高と営業利益を更新予定です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:16.67%
- ROE:9.31%
- ROA:2.45%
- EPS:191.5円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均を上回る企業です。
過去5年を見るとROEは着実に上昇しています。
総合ディベロッパー8社の平均営業利益率は14.6%なので、平均的な営業利益率の企業です。
EPSも7期連続上昇中なので、安定して成長している企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:25.3%
- 有利子負債倍率:2.29倍
不動産業の自己資本比率の平均が33.4%、有利子負債倍率の平均が1.34倍です。
これに対して東京建物は大幅に下回っている財務状況です。
しかし、中期経営計画で「DEレシオは2.4倍」と設定しているので問題ありません。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して約10%しかありません。
他の大手ディベロッパーでも総資産に対して20%の剰余金を持っています。
中期経営計画
経営数値目標
引用:東京建物
これは2024年までの中期経営計画の経営数値目標です。
ROEとD/Eレシオに関しては既に目標達成に近づいています。
しかしROAの目標4%に対して現在2.45%になっています。
ここから2年で収益性を2倍にするのは、かなり厳しいと予想されます。
投資計画
引用:東京建物
東京建物は、中期経営計画で5つの重点戦略に対して、2024年までに合計1.4兆円規模の投資を行うとしています。
2020年12月期は、1891億円の投資を実行していて物流施設用地を中心として順調に新規案件を獲得しています。
株主還元策
引用:東京建物
東京建物の株主還元方針は、連結配当性向30%以上の配当を基本としています。
持続的な成長により継続的に株主還元の拡充を目指しています。
自己株式の取得は、事業環境や財務状況等を踏まえて実施を検討しています。
2022年12月の連結配当性向予想が30.8%と最低ライン付近です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:59円(2022年12月期予定)
- 配当利回:3.28%(21年5月20日終値)
- 配当性向:30.5%
配当金は9期連続増配予定で、2022年の配当性向が30.5%なので増配の余力はまだまだあります。
2024年までの中期経営計画でも「連結配当性向を30%以上の配当を基本とする」としていますので問題ありません。
株主優待
残念ながら東京建物は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
東京建物を買うなら、1600円付近で買いたいが、1800円を固めれるかに注目。
東京建物は、東京駅周辺の八重洲に強みを持つ総合不動産ディベロッパー。
八重洲という立地の良さから東京建物のビル事業は、不況でも影響を受けにくいのが特徴です。
コロナショックがあった中でも、オフィス賃貸ビルが97.7%の入居率と安定した売上と収益を保っていています。
また、他の大手ディベロッパーと大きく違うのが中国に強みを持っている事も魅力です。
株価は22年3月に6年ぶりの高値1902円を更新しましたが、1800円台へ戻されています。
この1800円付近は、直近6年の高値圏内になっていました。
まずはこの1800円台をしっかり固められるかに注目です。
しかし、9期連続増配予定という事も考えると配当目的で保有するのにオススメです。
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