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株価分析(不動産)

三菱地所(8802)の株価分析と特徴【長期投資銘柄】

三菱地所(8802)の株価分析と特徴をまとめていきます。

 

三菱地所を5つのポイントで説明

  • 丸の内を中心としたオフィスビルの収益は今後も手堅い
  • 現在の海外の主力は米国だが今後はアジアに注力
  • 長期経営計画の経営数値目標の達成には強気の姿勢
  • 株価は10年間右肩下がりに下落していたが底打ちに期待したい
  • 1700円を超えてから買いを検討したい

 

 

三菱地所の概要

三菱地所は、1937年に三菱合資会社の不動産・建築部門が分社化して誕生した、総合不動産ディベロッパーです。

 

売上高は三井不動産が業界トップですが、時価総額は三菱地所が約2兆5000億円で業界トップです。

 

1872年の銀座大火災で焼け野原になった丸の内を三菱財閥が購入しました。

 

この事をきっかけに、事業基盤となる丸の内一帯を100年以上開発してきました。

 

現在、丸の内だけで約30棟の建物を所有・管理しています。

 

日本の上場企業の115社が三菱地所が管理するビルに入っている事もあり「丸の内の大家」と言われています。

 

このことからも分かるように三菱地所の強みは、オフィスを中心としたビルの賃貸事業です。

 

三菱地所は、住宅事業にも強みを持っています。

 

三菱地所の住宅部門を担う子会社の三菱地所レジデンスを中心とした、住宅事業は三菱地所の売上の3割を占めています。

 

海外事業

三菱地所は、海外にも進出していて、現在の海外の売上の主軸はアメリカです。

 

特にアメリカの「ロックフェラー社」を子会社に持っています。

 

また、自社ビルの運営や全米でオフィスや物流施設の開発をしています。

 

アメリカ以外には、ヨーロッパやアジアにも積極的に進出しています。

 

今後の海外事業の成長のカギをアジアに設定しています。

 

特に分譲住宅や賃貸の開発事業の拡大に取り組んでいます。

 

TOKYO TORCH

引用:三菱地所

 

三菱地所は3,500億円を投じて日本一の高さの超高層ビル「TOKYO TORCH」を建設しています。

 

ライバルの三井不動産が八重洲地区を再開発を進める中で、お膝元を死守を発表しています。

 

この「TOKYO TORCH」は東京圏の国家戦略特別区域計画の特定事業になっています。

 

TOKYO TORCHの特徴
  • 「TORCH TOWER B棟」は都心最高層クラスの展望施設
  • 東京センチュリーと共同で約100室のスーパーラグジュアリホテルや約2,000席の大規模ホール
  • 呉服橋交差点地下歩行者通路の整備
  • 地震時や強風時の揺れを大幅に低減する国内最高水準の耐震性能
  • 約7,000㎡の大規模広場を活用した災害時の帰宅困難者支援機能の強化
  • ポストコロナ時代のニューノーマルを見据えて「TOKYO TORCH」全体で約2.0ha(=約20,000㎡)の屋外空間を整備

 

 

事業セグメント

三菱地所は、主に5つのセグメントから成り立っています。

 

引用:三菱地所

 

  • コマーシャル不動産事業:国内の不動産(住宅を除く)開発・運営及び関連する事業
  • 住宅事業:住宅の分譲や注文住宅から、マンション管理、リフォーム、賃貸管理や仲介、売買仲介事業
  • 海外事業:欧米とアジアでの不動産賃貸と開発事業
  • 投資マネジメント事業:不動産投資信託から機関投資家を対象とした私募ファンドまで幅広く対応する不動産運用サービス事業
  • 設計監理・不動産サービス事業:建築土木の設計や監理、リノベーション業務、都市や地域開発関連業務、各種コンサルティング業務等の事業

 

三菱地所のセグメント構成比率(2022年3月期)

引用:三菱地所

 

三菱地所の主な収益源は、売上の主力はコマーシャル不動産事業になります。

 

注目すべきポイントはこの主力のコマーシャル不動産事業の利益率の良さです。

 

営業利益率は約25%とかなりの高利益な事業になっています。

 

特にオフィスビルの賃貸収入は、景気に左右されにくい安定した収益源です。

 

三菱地所はこのオフィスビルの賃貸収入が4000億円以上あります。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:12.6倍
  • PBR:0.97倍

 

不動産業の平均PERが10.9倍、PBRが1.2倍なので、株価はほぼ妥当と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見てみると、下値目途は1540円付近になっています。

 

しかし、直近10年間で高値を切り下げていて株価は右肩下がりです。

 

週足5年チャートを見ると、直近2年は1540円から2050円付近までのボックス相場になっています。

 

週足移動平均線は、26MAと26MAが下向きになっています。

 

13MAが上向き始めているので、中期的には底打ちしていると予想できます。

 

23年3月期は過去最高の業績で24年3月期の業績予想も売上高とEPSが過去最高を更新予想です。

 

まずは1700円を超えてから買いを検討してもいいと思います。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:三菱地所

 

売上高の過去最高は2023年に1兆3778億円、営業利益の過去最高も2023年の2967億円

 

24年3月期は、増収減益を予想していていますが、最終益とEPSは過去最高を更新予定です。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:17.97%
  • ROE:7.69%
  • ROA:2.42%
  • EPS:128.5円

 

総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.1%、ROAは2.63%なので、ROEが平均を少し下回っています。

 

総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は18.48%なので、ほぼ平均的な利益率です。

 

ライバルの三井不動産の営業利益率は、24年3月決算予想では14.35%です。

 

このことから三菱地所は非常に利益率が高く、景気に左右されにくい収益構造になっています。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:32.8%
  • 有利子負債倍率:1.40倍

 

総合ディベロッパー7社の自己資本比率の平均が29.13%、有利子負債倍率の平均が1.87倍です。

 

三菱地所の財務状況は、平均を少し上回っています。

 

利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。

 

剰余金は年々増加していますが、総資産に対して16.9%しか剰余金がありません。

 

 

長期経営計画

経営数値目標

引用:三菱地所

 

長期経営計画では、2030年に事業利益を3500~4000億円、ROEを10%、ROAを5%、EPSを200円と目標設定にしています。

 

経営指標に関しては「経済情勢に激変が無ければ同時に実現できる水準」と発表しているので強気の姿勢です。

 

海外事業

引用:三菱地所

 

三菱地所は、⽶国・欧州・アジアの5拠点で海外事業を推進しています。

 

2030年の総資産目標は1.5兆円程度、事業利益⽬標は900億円程度を目指しています。

 

2030年の目標に向けて、年間2000〜2500億円程度の投資機会獲得を目指しています。

 

また、2020年代前半は資産の積上を伴う利益の拡⼤を想定しています。

 

2020年代後半は回収の規模が投資と同程度になることを想定しています。

 

株主還元策

引用:三菱地所

 

自社株買いは「EPS 目標は自己株式の取得が前提になっていることは事実であり、数値に関するシミュレーションも行っている。」と発表しているので期待です。

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:40円(2024年3月期予定)
  • 配当利回:2.47%(23年5月12日終値)
  • 配当性向:31.1%

 

配当金は右肩上がりに増配をしていて、24年3月期は2円増配の40円を予定しています。

 

長期経営計画で配当性向の目標は30%程度になっているので問題ありません。

 

株主優待

残念ながら三菱地所は株主優待の設定がありませんでした。

 

 

まとめ

三菱地所を買うなら、1700円を超えてから買いを検討したい。

 

しかし、10年チャートを見ると株価は右肩下がりに下落しているので注意が必要です。

 

三菱地所の主力の収益源は、不景気に強いオフィスビルの賃貸収入です。

 

23年3月期の決算では、売上高と利益を過去最高の実績になりました。

 

24年3月期は、売上高と最終益、EPSが過去最高を更新予想です。

 

長期経営計画のROE、ROA、EPS目標の達成には強気なので長期投資に向いている銘柄と言えます。

 

三菱地所が収益を大きく伸ばすためには、海外事業の成長と丸の内地区の再開発事業が必要になってきます。

 

三菱地所は戦略的投資にしっかり取り組んでいます。

 

実際に海外事業に関しては、アジアに1000億円、欧米に2000億円の規模です。

 

さらに3000億円から4500億円規模で2023年3月期までに投資をして海外事業の成長を図っています。

 

また、丸の内地区の再開発に関しては、有楽町や常盤橋エリアを重点更新エリアとしてます。

 

2030年までに約6,000〜7,000億円を投資して再開発やリノベーションする計画があります。

 

今回の新型コロナの影響でリモートワークやテレワークが話題になり、都心にオフィスが必要なのかという疑問も出ました。

 

もし都心にオフィスがなくなれば三菱地所にとっては大きなダメージになると思います。

 

しかし、この丸の内には三菱グループの企業が数多く存在しています。

 

三菱と言えばグループの結束力が強く「組織の三菱」でも有名なのです。

 

三菱グループが存続する限り三菱地所の収益は安定していると考えられます。

 

「TOKYO TORCH」の様に丸の内の開発が進んで活性化すると、日本のGDPが活性化しているという傾向があります。

 

やはり、三菱地所も他の三菱企業と同じく日本を背負う企業なのかもしれません。

 

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