野村不動産HD(3231)の株価を分析していきます。
野村不動産HDを5つのポイントで説明
- 野村證券系の総合不動産で不動産業界5位
- 用地調達能力は業界NO.1
- 売上の主力は住宅部門、利益の主力は都市開発部門
- 株価の節目は3000円付近だが、月足・週足チャートは上昇傾向
- 3085円から3100円で反発を確認してから買いたい
野村不動産HDの概要
野村不動産HDは1957年に野村證券の不動産部が独立して出来た総合不動産会社です。
不動産業界では5位で、三菱地所、住友不動産、三井不動産、東急不動産と並んで5大ディベロッパーの一角を担っています。
野村不動産HDは住宅供給に強みを持っています。
売上の主力は住宅部門の国内での分譲マンションの販売と都市開発部門の収益不動産の売却になります。
住宅販売部門の「プラウド」シリーズのマンションは、高級住宅街や都心部などの資産価値の高い場所での分譲実績が多いのが特徴です。
また販売も自社で行う製販管一体体制で品質が高いのも不動産業界や建築業界では有名です。
野村不動産の分譲マンションは自社の設計ではありません。
通常は設計事務所かゼネコンに設計してもらいます。
その中で野村不動産仕様と言う独自の仕様があります。
この野村不動産仕様が、商品の品質だけでなく施工の品質管理が厳しいのも業界でも有名です。
なので、購入者はアフターも含めて安心です。
事業セグメント
引用:野村不動産HD
野村不動産HDは、主にの6つのセグメントから成り立っています。
売上の主力は住宅部門ですが、利益の主力は都市開発部門になります。
利益の主力になっている都市開発部門の利益率は19.0%です。
また、売上の主力になっている住宅部門の利益率は10.5%なのでどちらも高い利益率です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.8倍
- PBR:0.91倍
不動産業の平均PERが13.8倍、PBRが1.2倍な事を考えると、株価は割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近高値の3100円を突破しています。
月足移動平均線も3本共上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足5年チャートを見ると、直近は3000円が節目になっている事がわかります。
22年3月期の本決算の発表をうけて、節目の3000円から上昇しています。
週足移動平均線も3本共上向きなので、中期的にも上昇傾向です。
もし下落した場合は3085円から3100円で反発出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
直近では2020年3月期まで4年連続増収増益です。
売上の過去最高は2020年の6764億円、営業利益の過去最高は2022年の912億円でした。
2022年3月期決算では売上高、営業利益共に大幅な増収増益でした。
2022年3月期決算の予想では、増収減益予想です。
しかし、営業利益以外は過去最高を更新予想で、営業利益も22年度の過去最高に近い水準です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:13.31%
- ROE:9.21%
- ROA:2.79%
- EPS:321.1円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均的な企業です。
総合ディベロッパー8社の平均営業利益率は17.53%なので、平均を少し下回る企業です。
2021年3月期EPSは下落しましたが、2022年3月期では過去最高を更新予定です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:30.3%
- 有利子負債倍率:1.65倍
不動産業の平均自己資本比率が33.4%になので平均を少し下回っています。
しかし、財務規律の30%はしっかり守っています。
不動産業の平均有利子負債倍率は1.34倍なので不動産業の中でも借金の多い会社と言えます。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して約19%しかありません。
中長期経営計画
財務目標
引用:野村不動産HD
中期経営計画(2023年3月期~2031年3月期)では、事業利益とROA、ROE、株主還元の目標を掲げています。
利益目標
引用:野村不動産HD
利益目標の計画は大きく3つになります。
- 利益の主力事業になっている都市開発部門での利益拡大
- 利益率の高いサービスマネジメント分野(資産運用部門、仲介・CRE部門、運営管理部門)の成長
- まだ比率が少ない海外事業の成長
ロードマップ
引用:野村不動産HD
フェーズI(25年3月期まで)の用地ストック率はどのセグメントも概ね100%になっています。
フェーズⅡに向けて海外部門と都市開発部門が拡大傾向になっています。
海外部門では、東南アジアを中心に住宅部門の進出と英国や新規参入国で収益不動産事業が貢献予想です。
財務戦略
事業ポートフォリオ戦略
引用:野村不動産HD
事業拡大と収益性向上で利益成長率は年平均8%の水準を見込んでいます。
ROAは、5%以上の達成を目指すとしています。
投資・改修戦略
引用:野村不動産HD
株主還元方針
引用:野村不動産HD
部門戦略
住宅部門
引用:野村不動産HD
都市開発部門
引用:野村不動産HD
都市開発部門
引用:野村不動産HD
資産運用部門
引用:野村不動産HD
仲介・CRE部門
引用:野村不動産HD
運営管理部門
引用:野村不動産HD
海外部門
引用:野村不動産HD
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:97.5円
- 配当利回:3.49%(22年4月28日終値)
- 配当性向:31.6%
2022年3月度の配当は97.5円で不動産DVの中でも高配当になります。
直近10年で見ると2012年から10年連続の増配していて、2022年3月は増配を予定してます。
さらにフェーズⅠ(25年3月期)までの総還元性向は40%~50%に設定しています。
株主優待
残念ながら、野村不動産HDは株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
野村不動産HDを買うなら、3085円から3100円で反発したところで買いたい。
来期は増収減益予想ですが、EPSは過去最高を更新予想です。
中長期チャートを見ると移動平均線は全て上向きなので上昇傾向です。
週足5年チャートを見ると3000円付近に節目があることが分かります。
また21年度の高値が3100円で、直近の高値は3085円になっています。
このことから3100円付近で反発したのを確認してからでいいと思います。
野村不動産は、以前分析した長谷工同様に業界ダントツの用地調達能力があります。
実際に決算資料を見ても再開発や建替案件のストックは順調に増えています。
ただ、「野村不動産はマンションを建て続けるしかない」との噂があります。
実際に新潟、金沢、岡山、松山など地方中核都市へ着実に進出していています。
中長期経営計画のフェーズⅡには、海外へは東南アジア(主にベトナム、タイ、フィリピン、中国)を中心に不動産投資で、海外事業の利益比率を10%に拡大する事を目指しています。
土地の調達能力と品質を武器に再開発案件や建て替えも着実に増やしています。
しかし三菱地所や三井不動産に比べて総合都市開発がまだ弱いかなと思います。
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