大東建託(1878)の株価を分析していきます。
大東建託を5つのポイントで説明
- 賃貸住宅の管理戸数、供給戸数で国内1位
- 売上利益共に不動産事業が主力だが利益率は建設事業の方が高い
- 増配より配当性向50%を優先している
- 自社株買いは当面期待できない
- 短期的には5MAが25MAをゴールデンクロスするのを待ちたい
大東建託の概要
大東建託は、住宅供給戸数(マンション除く)、賃貸仲介件数、賃貸住宅管理戸数で、国内首位の企業です。
特に賃貸住宅管理戸数は100万戸と圧倒的に多く、2位の積水ハウスの約1.5倍あります。
大東建託の強みは、「賃貸経営受託システム」です。
この独自のシステムで、賃貸住宅の提案から施工・客付け・建物管理まで一括して任せることができます。
また最近では、介護事業や保育施設運営、都市ガスやLPガスの販売など多角化にも注力しています。
賃貸経営受託システム
引用:大東建託
賃貸経営をする上で、下記の1から5の流れになります。
- 賃貸事業の企画・立案
- 建物の設計・施工
- 入居者募集
- 管理・運営
- 事業リスクへの対応
この全てを35年一括借上で任せられるのが「賃貸経営受託システム」です。
事業セグメント
引用:大東建託
大東建託は、4つのセグメントから成り立っています。
- 建設事業:土地オーナーへ建物賃貸事業の企画・提案、契約した賃貸建物の設計・施工
- 不動産事業:建設した賃貸建物の入居者募集・斡旋、賃貸建物の管理・運営代行等
- 金融事業:施主が金融機関から長期融資を実行されるまでの建築資金融資事業等
- その他:太陽光発電、LP・都市ガスの供給、デイサービスセンター・保育施設の運営、マレーシアでのホテル事業
セグメント別売上構成比率(2021年3月期)
売上の主力は不動産事業になり、全体の約68%を占めてます。
セグメント別利益構成比率(2021年3月期)
利益の主力も不動産事業で、全体の約58%を占めてします。
建設事業の利益率は約8.1%に対して、不動産事業の利益率は約6.2%になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足3年チャート
引用:株探
日足8か月チャート
引用:株探
株価指標
- PER:12.8倍
- PBR:2.68倍
建設業の平均PERが13.4倍、PBRが1.2倍なので、やや割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートの24MAが少し下向きですが、その他の月足、週足、日足の移動平均線は上向きです。
日足を見ると12500円付近が上値抵抗線になって戻されています。
短期的には、11500円から12000円の間で反発できるか注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2019年に1兆5911億円、営業利益の過去最高は2020年の1279億円。
売上高、営業利益共に頭打ちになっていて、特に21年3月期は、完成工事総利益で約546億円のマイナスになりました。
内訳が完成工事高の減少で約431億円、労務費の上昇で約115億円のマイナスです。
新設住宅着工戸数の減少と融資の厳格化や新型コロナウイルスが主な原因です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:7.07%
- ROE:20.95%
- ROA:7.07%
- EPS:955.2円
建設業の平均ROEは11%、ROAは0.6%なので、経営効率は非常に良い企業です。
建設業の平均営業利益率は7.3%なので、利益率はほぼ平均的な企業です。
大東建託が掲げる「ROE20%、営業利益率7%以上」はクリアしています。
特に利益の主力になっている不動産事業は「一括借上事業」を中心に前年比103億円の増益をしています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:33.7%
- 有利子負債倍率:0.31倍
自己資本比率が30%を超えていて、有利子負債倍率は1倍以下なので健全な会社です。
余剰金も総資産に対して29%なので安心です。
中期経営計画
2024年3月期までの中期経営計画で、売上高2兆2000億円、営業利益1800億円を掲げています。
新成長プラン全体像
引用:大東建託
新規取組
- 賃貸住宅のリフォーム
- 事業提携やM&A等
- いい部屋ネット海外現地法人化
- 管理解約物件の売買仲介
- 商業施設、物流施設、ホテル、寮
- 国内外不動産開発投資
- 海外事業推進
- シェア事業としてのレンタルオフィス
経営指標
引用:大東建託
大東建託は「営業利益率7%以上」、「ROE20%」の確保を主な経営指標目標にしています。
株主還元方針
引用:大東建託
連結当期純利益に対して、連結配当性向50%を目標としています。
自社株買いは、従来の基準(当期純利益の30%を目途とした継続的な自己株取得)を当面休止しています。
自社株買いの可能性は「経営環境や株式市場の動向などを考慮して検討する」にとどめています。
なので、自社株買いの期待は出来ません。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:472円
- 配当利回:3.87 %(21年5月7日終値)
- 配当性向:49.4%
22年3月期の配当金は、1株472円を予定しています。
21年3月期の配当金は1株455円だったので、今期は17円増配予定です。
20年3月期まで連続増配を続けていましたが、連続増配より配当性向50%を意識しています。
株主優待
毎年3月末と9月末時点で株主名簿に記録された株主を対象にしています。
また、所有株式数や所有期間に応じた株主優待を実施しています。
引用:大東建託
引用:大東建託
まとめ
大東建託を買うなら、短期的には日足の5MAが25MAをゴールデンクロスするのを待ちたい。
収益性や財務体質に関しては問題ありません。
22年3月度の売上予想は着実に回復の兆しが見えています。
しかし、営業利益面では940億円の予想なので、過去最高の1270億円まではまだ遠く感じます。
また増配より、配当性向50%を重視していて、自社株買いの可能性も現在は低いです。
EPSの安定した回復と自社株買いへの言及があれば、中期を目的に買いの検討をしたいです。
日足で見ると短期的には、ローソク足が75MAで反発していて、5MAと75MAも上向きなので上昇傾向です。
しかし25MAは下向きで、ローソク足も割り込んでいるので様子を見たいです。
また今年の3月と4月に11100円付近で反発しており、短期的な下値目途になると思います。