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株価分析(住宅建設)

積水化学工業(4204)の株価分析と特徴【ペロブスカイト太陽電池で注目】

積水化学工業(4204)の株価分析と特徴をまとめていきます。

 

積水化学工業を5つのポイントで説明

  • プラスチック成型加工のパイオニアでペロブスカイト太陽電池で国内トップ
  • 売上の主力は住宅事業だが利益の主力は高機能プラスチックス事業
  • 財務体質、営業利益率、経営効率の高い優良企業
  • 25年まで株主還元をさらに強化中で14年連続増配予定で自社株買いの実施
  • 株価は2200円を底値に2350円を超えれるかに注目

 

 

積水化学工業の概要

積水化学工業は、プラスチック成形加工のパイオニア企業です。

 

1947年に日窒コンツェルンのプラスチック部門を前身として、「積水産業株式会社」が誕生します。

 

当時、新しい素材だった「プラスチック」の成形・加工メーカーを目指した誕生です。

 

積水化学工業は、現在、化学メーカーとしては国内17位の企業です。

 

化学メーカーとしては、積水化学工業は原料を購入し作るので、川中から川下に近い位置です。

 

ハウスメーカーとしては国内7位(戸建数国内2位)の企業です。

 

積水ハウスは積水化学工業から独立した企業ですが、セキスイハイムは積水化学工業の事業です。

 

積水化学工業の事業内容

住宅事業

住宅事業は、大きく5つの分野に分かれます。

 

短工期での施工や、設計通りの性能をすべての住まいで実現する高度工業化工法「ユニット工法」に特化した新築住宅事業を展開しています。

 

積水化学工業は、これまで累積60万棟超を販売しています。

 

  • 住宅:国内においては、新築戸建て・アパートなど
  • ストック:リフォームや賃貸管理・仲介などの
  • まちづくり:スマートでレジリエンスなまちの提供
  • 住生活事業:高齢者サービスなど
  • 海外:タイにおいて戸建て住宅事業

 

環境・ライフライン事業

環境・ライフライン事業は、大きく3つの分野に分かれます。

 

国内で有数のシェアを誇る塩ビ管材やインフラ関連材料の生産・販売が基盤事業です。

 

欧米向けには、輸送インフラ向け資材・管路更生材料などを展開しています。

 

アジア向けには、配管材料などを展開していて、高付加価値製品を中心にさらなるエリア拡大・深耕を目指しています。

 

  • パイプ・システムズ:公共・民間向け配管や工場向け高機能配管材料、塩素塩ビ樹脂の提供
  • 住・インフラ複合材:鉄道用まくら木に使用する合成木材(FFU)やユニットバスの提供
  • インフラ・リニューアル:社会問題となっているインフラ老朽化対策の補修・更生・更新工法などをの提供

 

高機能プラスチックス事業

高機能プラスチックス事業は大きく3つの分野に分かれます。

 

積水化学工業は、微粒子技術、粘接着技術、精密成型技術などの独自技術に強みを持っています。

 

モビリティ分野では、自動車向けのガラス中間膜が高いシェアを持っています。

 

  • エレクトロニクス:各種ディスプレイや電機・通信機器、基板・半導体向け関連材料の提供
  • モビリティ:合わせガラス用中間膜をはじめとする自動車向け関連材料や航空機向け部材などの提供
  • インダストリアル:くらしや社会を支える各種産業向けの粘着テープや接着剤、プラスチックコンテナなどの提供

 

メディカル事業

メディカル事業は大きく2つの分野に分かれます。

 

主力製品の検査薬を中心に医療現場における様々な製品やサービスを提供しています。

 

生化学・糖尿病・血液凝固検査は品質面で優位性があるため、高い市場シェアを持っています。

 

  • 検査事業:血液凝固・生活関連病・感染症領域を中心とした臨床検査薬や真空採血管、各種分析装置などの開発・製造・販売
  • 医療事業:医薬品原薬(API)・中間体、医薬用アミノ酸の受託製造を行う医薬事業、製薬企業の研究開発支援を行う創薬支援事業など

 

新規創出事業

ペロブスカイト太陽電池

引用:積水化学工業

 

極薄のフィルムに「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶の構造をした物質を塗ることで、太陽光を電気に変えることができる日本発の技術です。

 

積水化学工業は、再生可能エネルギーの活用に向け、ペロブスカイト太陽電池の開発に取り組んでいます。

 

このフィルム型ペロブスカイト太陽電池は、軽量で柔軟という特長を持っています。

 

「超軽量」の特徴からビルなどの壁や重量制約のある工場屋根などへも設置が可能です。

 

また曲面等の様々な場所に設置が可能な次世代太陽電池です。

 

このペロブスカイト太陽電池で国内トップを走るのが積水化学工業になります。

 

2025年の事業化を目指して、東京都、JR西日本、NTTデータ、JERAなどの様々な関係先と連携して開発を進めています。

 

バイオリファイナリー

引用:積水化学工業

 

ごみ焼却施設で発生するガスを微生物により工タノールに変換する技術を確立しています。

 

2022年には、岩手県久慈市にて実証プラントを竣工させています。

 

2025年度には、本格的な生産・事業開始を目指しています。

 

将来的には、化石資源に依存しない究極の資源循環システムの創生を目指します。

 

ここで製造されたエタノールは、すでに連携を始動している住友化学をはじめとする化学メーカー等によってプラスチック原料として再生される計画です。

 

ポートフォリオ変革

引用:積水化学工業

 

積水化学工業は、2022年10月に事業ポートフォリオの組替えを実施しています。

 

これは近年、⾼機能プラスチックスと環境・ライフラインカンパニーの事業領域拡大で、事業活動の一部が近づいてきたからです。

 

これによりさらなる事業成⻑や拡大、⽣産性向上による効率的な運営と資産の活⽤を目指しています。

 

海外展開

引用:積水化学工業

 

積水化学工業は、1963年に日本の製造業として初のアメリカ進出しています。

 

特に1990年代以降はさまざまな事業分野においてグローバル展開を本格化させてきました。

 

2030年度には、海外売上高1兆円を目指しています。

 

アメリカエリア

北米3カ国と南米では、インフラ・建設関連製品、モビリティ・電子材料用高性能プラスチック、診断試薬を製造・販売しています。

 

ヨーロッパエリア

ヨーロッパでは、7か国で事業を展開しています。

 

輸送、建設・インフラ、エレクトロニクス、医療診断の4つの事業分野を中心に、優れた産業用プラスチックを提供しています。

 

アジアエリア

インフラ・建築関連製品、モビリティ・電子材料向けの高機能樹脂製品ならびに臨床検査薬等の製造・販売を行っています。

 

 

事業セグメント

積水化学工業は、4つのセグメントから成り立っています。

引用:積水化学工業

 

  • 住宅事業:ユニット住宅の製造、施工、販売、リフォーム、不動産、住生活サービス、電力売買、まちづくり事業等
  • 環境・ライフライン事業:塩化ビニル管・継手、ポリエチレン管・継手、管きょ更生材料および工法、強化プラスチック複合管、塩素化塩ビ樹脂コンパウンド、建材、合成木材等の製造、販売、施工
  • 高機能プラスチックス事業:合わせガラス用中間膜、発泡ポリオレフィン、テープ、液晶用微粒子、感光性材料等の製造、販売
  • メディカル事業:臨床検査薬、医薬品原薬・中間体等の製造、販売

 

積水化学工業の売上構成比率(2023年3月期)

引用:積水化学工業

 

売上の主力は住宅事業になり、全体の43.2%を占めています。

 

また2番目に大きいのが高機能プラスチックス事業になります。

 

高機能プラスチックス事業は、全体の31.9%を占めています。

 

積水化学工業の地域別売上高構成比(2023年3月期)

引用:積水化学工業

 

積水化学工業の売上の主力エリアは、日本で全体の69.8%を占めています。

 

その次に、アジア、北米、ヨーロッパの順番になっています。

 

積水化学工業の利益構成比率(2023年3月期)

引用:積水化学工業

 

利益の主力は、高機能プラスチックス事業になります。

 

高機能プラスチックス事業の営業利益率は、10.1%なので高い利益率になります。

 

2番目に大きいぼのが住宅事業で営業利益率は6.1%です。

 

環境・ライフライン事業の利益率は9%、メディカル事業の利益率は13.9%になっています。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:14.7倍
  • PBR:1.0倍

 

建設業の平均PERが13.4倍、PBRが1.2倍なので、ほぼ妥当と判断されています。

 

化学業界の平均PERが15.2倍、PBRが1.1倍なので、少し割安と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見ると、直近5年間の株価はボックス相場を続けてきました。

 

しかし、2013年から2018年にかけてチャートは綺麗に右肩上がりに上昇してきました。

 

現在の月足移動平均線は全て上向きになり始めています。

 

週足移動平均線は全て上向きなので中期的に上昇傾向です。

 

24年3月期は、売上高、営業利益を過去最高を更新予想です。

 

当面は、2200円付近を下値目途に、2350円を超えていけるかに注目です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上の過去最高は直近の2023年に1兆2425億円、営業利益の過去最高は2018年の992億円です。

 

24年度は売上高、利益共に過去最高を更新予想です。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:7.73%
  • ROE:10.39%
  • ROA:6.06%
  • EPS:176.4円

 

ROEは10%以上、ROA5%以上あれば経営効率の優秀な企業の目安になります。

 

積水化学工業は経営効率が優秀な企業と言う事が分かります。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:57.4
  • 有利子負債倍率:0.17倍

 

自己資本比率は40%以上、有利子負債倍率は1倍以下だと優良な財務体質です。

 

また、利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。

 

剰余金は毎年増えていて、総資産に対して38.1%もあります。

 

このことから、積水化学工業の財務体質はかなり強固な財務体質と言う事が分かります。

 

 

中期経営計画

積水化学工業は2023年度から2025年度までの中期経営計画を発表しています。

基本戦略

引用:積水化学工業

 

⻑期ビジョン実現への羅針盤として「戦略領域マップ」を掲げています。

 

強化領域の拡大と⾰新領域への進出に取り組む計画です。

 

成長戦略

引用:積水化学工業

 

現有事業強化

引用:積水化学工業

 

数値目標

引用:積水化学工業

 

セグメント別の内訳

引用:積水化学工業

 

連結業績推移

引用:積水化学工業

 

積水化学工業は、23年度の期中の為替レートを1ドル=133円で見通しています。

 

また2025年までは、為替レートを1ドル=135円で想定しています。

 

セグメント別戦略

高機能プラスチックス事業

新戦略3分野 売上・重点注⼒指標

引用:積水化学工業

 

業績推移

引用:積水化学工業

 

モビリティ分野を中⼼に新戦略3分野の拡大および引続き収益⼒強化に取り組む計画です。

 

高機能プラスチックス事業は、高収益カンパニーとして全社の成⻑を牽引していきます。

 

住宅カンパニー

引用:積水化学工業

 

業績推移

引用:積水化学工業

 

厳しい事業環境の中で、コア領域の収益性改善とフロンティア領域の⾶躍・探索しています。

 

またポートフォリオ強化で、利益の底上げとコロナ前⽔準への回帰を狙っています。

 

環境・ライフライン事業

新戦略3分野

引用:積水化学工業

 

重点拡大製品の拡販と海外売上増で、営業利益250億円を目指しています。

 

業績推移

引用:積水化学工業

 

DX活用や⽣産性改善により収益⼒を高め、営業利益率10%⽔準を目指しています

 

成長戦略

引用:積水化学工業

 

メディカル事業

事業別戦略

引用:積水化学工業

 

検査領域の拡大、新製品の拡販により、海外検査事業を中⼼に成⻑を加速させる計画です。

 

2期連続の最高益の更新を継続を目指しています。

 

業績推移

引用:積水化学工業

 

株主還元

引用:積水化学工業

 

積水化学工業は、2010年度から14年連続増配を続けています。

 

2025年度までの中期経営計画では、株主還元のさらなる強化で以下の4つを掲げています。

 

  • 連結配当性向40%以上
  • DOE(自己資本配当率)3%以上
  • D/Eレシオ0.5以下の場合には総還元性向50%以上
  • 中期計画の投資進捗、キャッシュポジション、 株価を考慮し、適宜追加還元実施
  • 発⾏済株式総数の5%以内となるよう、新規取得⾒合い分を消却

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:66円
  • 配当利回:2.99 %(23年9月22日終値)
  • 配当性向:37.4%

 

積水化学工業の配当金は、2010年から14年連続増配を予定しています。

 

2023年は7円増配して66円を予定です

 

25年度まで中期経営計画では配当性向を40%以上に設定しています。

 

株主優待

残念ながら積水化学工業は、株主優待の設定がありませんでした。

 

 

まとめ

積水化学工業を買うなら、2350円を超えれるかに注目したい。

 

月足移動平均線は、12MAと24MAが上向きで60MAが上向き始めています。

 

また週足移動平均線を見ると、3本共上向きなので上昇傾向で言えます。

 

積水化学工業は、財務状況も経営効率もかなり優良な企業です。

 

さらに、自社株買いの実施だけでなく14年連続増配を予定しています。

 

配当性向も40%と余力もあります。

 

2023年の為替レートの想定は1ドル=133円なので、為替差益の恩恵が期待できます。

 

しかし、積水化学工業の売上の約70%は国内と言う事を忘れてはいけません。

 

今後は、ペロブスカイト太陽電池に注目です。

 

ペロブスカイト太陽電池の市場は、2035年に1兆円規模に拡大するという予想も出ています、

 

また岸田総理も再生可能エネルギーの普及拡大に向けた閣僚会議で、ペロブスカイト太陽電池について「2030年を待たずに早期に社会実装を目指す」と表明しました。

 

積水化学工業は、世界初・屋外での発電試験 実用化まであと一歩に迫っています。

 

2025年度のペロブスカイト太陽電池を事業化へ向けて、今後も目が離せません。

 

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