フジ住宅(8860)の株価を分析していきます。
フジ住宅を5つのポイントで説明
- 売上の主力は分譲住宅事業だがバランスのとれた事業ポートフォリオ
- 利益の主力は土地活用や賃貸・管理のストック事業
- 自己資本比率や有利子負債倍率に少し不安が残る
- 配当は10年連続減配無し
- 株価の節目は700円付近で800円を超えると高値圏内
フジ住宅の概要
フジ住宅は、大阪中心に兵庫・和歌山の近畿圏を地盤にしている総合ディベロッパーです。
フジ住宅の強みは、「住まいのトータルクリエイター」としてあらゆるニーズに対応できる事です。
実際に新築分譲だけでなく、中古住宅や土地活用や賃貸・管理などの多角化経営を行っています。
しかし地域密着型経営のスタンスをとっているので、大阪以外の大都市圏への進出予定は現在ありません。
売上の中で最も割合が多いのが分譲住宅事業になり、新築分譲マンション販売も含まれています。
フジ住宅の新築戸建住宅は、耐震強度に強みを持っていて人気です。
耐震強度は最高等級の耐震等級3級で、公共の防災拠点にも匹敵する耐震強度です。
また大阪府の住宅着工棟数で5年連続1位、大阪府と近畿圏の建売住宅ビルダーで顧客満足度1位を獲得しています。
売上の中で2番目に大きいのが住宅流通事業で、中古住宅の販売に強みを持っています。
フジ住宅独自の「快造くん」のノウハウで他社との避けることができます。
今後の市場規模の拡大が予想される中古住宅の市場でも期待できます。
住まいのトータルクリエイター
フジ住宅は、住まいに関するあらゆるニーズに応える「住まいのトータルクリエイター」です。
創業初期に土地の仕入・許認可の取得・設計・建築・販売の一貫体制を備えた戸建住宅事業を確立させました。
その後、分譲マンションの設計・建築、賃貸マンション事業で不動産管理事業に進出しています。
さらに集合住宅の建築を請負う土地有効活用事業へと発展し、投資家向けの一棟売賃貸マンションの販売事業も立上げました。
2010年には注文住宅事業にも参入しています。
その一方で、住宅の代理販売事業とリフォーム事業のノウハウを融合させた中古住宅再生事業が生まれています。
中古住宅再生事業「快造くん」
引用:フジ住宅
フジ住宅は、「売れる中古住宅づくり」を強みしています。
中古住宅再生事業は、中古住宅の仕入・リフォーム・販売の3つの要素から成り立っています。
中古住宅での不安や不満を解消しているのが「快造くん」です。
「快造くん」は、リフォームとフジ住宅オリジナルの2年間のアフターサービス保証がついたリニューアル住宅です。
これは、分譲住宅事業で培った交差点単位での地域情報とリフォームのマニュアル化によって生まれました。
事業セグメント
フジ住宅は、5つのセグメントから成り立っています。
- 分譲住宅事業:自由設計の新築戸建住宅及び分譲マンションの販売並びに一戸建注文住宅の建築請負工事
- 住宅流通事業:中古住宅の販売及び不動産の仲介
- 土地有効活用事業:土地所有者が保有する遊休地などに木造賃貸アパートやサ高住等を建築する提案受注による請負工事及び個人投資家向け一棟売賃貸アパートの販売
- 賃貸及び管理事業:不動産の賃貸及び管理
- 建設関連事業:建築請負工事及びその関連工事等
フジ住宅の売上構成比率(2021年3月期)
フジ住宅の事業ポートフォリオは、綺麗に分散されています。
フジ住宅の特徴は、住まいに関する幅広い事業の相乗効果を図るバランス経営です。
フジ住宅の利益構成比率(2021年3月期)
利益の主力は賃貸及び管理事業と土地有効活用事業で、全体の約83%を占めています。
分譲住宅事業は0.9%とかなり低いの利益率です。
これに対して、賃貸及び管理事業の利益率は57.7%もあります。
フジ住宅は、今後もこのストック事業に注力していく方針です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.8倍
- PBR:0.58倍
不動産業の平均PERが15.2倍、PBRが1.2倍なので、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、700円付近が節目になっている事が分かります。
天井は1005円ですが、出来高を見ると800円付近が高値圏になっているのが分かります。
月足移動平均線を見ると60MAを12MAと24MAが割り込んでいます。
また60MAが上値抵抗線に、12MAが下値支持線になっています。
週足5年チャートでは、26MAが上値抵抗線になっていて13MAはまだ下落傾向です。
18年7月より株価は下落傾向でしたが、新型コロナの影響で大きく下げました。
そこから回復傾向になっていて、上昇しています。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は直近の2021年に1215億円、営業利益の過去最高は2019年の66億円です。
22年3月期の売上はほぼ横ばいですが、利益は大きく増益予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.12%
- ROE:7.37%
- ROA:2.08%
- EPS:86.2円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均を少し下回る企業です。
中期利益計画では、ROEの目標を10%にしていましたが遠い状態です。
不動産業の平均営業利益率は11.1%なので、利益率はかなり低い企業です。
分譲住宅事業の利益率が1%以下とかなり低いのが大きく響いています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:28.1%
- 有利子負債倍率:2.13倍
自己資本比率は、不動産業の平均が33.4%なので平均を下回っています。
不動産業の平均有利子負債倍率は1.34倍なので、大幅に上回っています。
また余剰金は、総資産に対して21.4%しかありません。
フジ住宅は、有利子負債倍率が高いので金利上昇局面になると影響を受けやすいです。
中期利益計画
フジ住宅は22年3月期までの3年間で中期利益計画を策定しています。
経営目標
引用:フジ住宅
分譲住宅事業
引用:フジ住宅
21年3月期には分譲マンションの引き渡しを2棟しています。
22年3月期には分譲マンションの引き渡しを3棟、23年3月期に1棟、25年3月期に1棟予定しています。
住宅流通事業
引用:フジ住宅
利益率改善を目的に中古住宅の仕入れの強化エリアを大阪市・阪神間・北摂エリアに設定しています。
土地有効活用事業
引用:フジ住宅
19年3月期に受注したサービス付き高齢者向け賃貸住宅の引き渡しが21年3月以降に集中しています。
引用:フジ住宅
賃貸及び管理事業
引用:フジ住宅
フジ住宅は、利益率が高くて安定成長が見込めるストック事業を成長戦略にしています。
実際にストック事業は、右肩上がりに成長しています。
21年3月期の216億円予想に対して、217億円の実績になりました。
引用:フジ住宅
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:27円(2022年3月期)
- 配当利回:4.01%(2021年8月13日)
- 配当性向:31.3%
フジ住宅の配当は、10年連続減配していません。
22年3月期の配当は27円の配当維持予想になっています。
配当性向も30%台なので高くないですが、財務体質の改善を期待したいです。
株主優待
3月31日時点での株主名簿に記載された500株以上保有の株主を対象に実施しています。
また保有株式数によって、優待の内容も変わります。
引用:フジ住宅
まとめ
フジ住宅を買うなら、700円を超えてから購入を検討したい。
株価は、650円の節目を超えて700円台を目指そうとしています。
しかし過去のチャートを見ると800円付近が高値圏なのであまり利幅はとれなさそうです。
配当利回は3%を超えていて500株以上の保有でクオカードがもらえるので高配当銘柄になります。
また配当に関しては、10年連続減配していません。
しかし財務状況もまだまだ不安が残るので、増配よりも財務体質の改善を期待したいです。
パワービルダーの中で珍しくストック事業に強みを持っていますが、全体の利益率が低い事が残念です。
主力の分譲住宅の利益率の低さと財務体質の影響で株価も大きく上がらない要因だと思います。
今後の成長戦略をストック事業としているので、利益の大半を占めるのでこの推移は要チェックです。