住友林業(1911)の株価分析と特徴をまとめていきます。
住友林業を5つのポイントで説明
- 国内では取扱高NO.1の木材・建材商社
- 売上・利益共に主力事業は海外住宅・不動産事業
- 木造建築が主流で人口増加が見込めるアメリカとオーストラリアに強み
- 月足・週足チャートは右肩上がり
- 2450円付近が直近の節目なので反発を確認して買いたい
住友林業の概要
住友林業は、木造注文住宅のリーディングカンパニーです。
戸建て住宅の販売戸数では7位、業界では4位とシェアを獲得しています。
住友林業の強みは、素材調達から加工、住宅建設まで一貫して行える住宅メーカーと言うころです。
国内に約4.8万ヘクタールの森林を所有しています。
その規模は日本の国土の1/900の森林を保有している事になります。
海外ではインドネシアを中心に約23.1万ヘクタールの森林を所有しています。
木材建材事業は、その広大な森林から木材を調達して加工して販売しています。
国内では取扱高NO.1の木材・建材の商社の地位を確立しています。
W350計画
引用:住友林業
住友林業は創業350周年になる2041年に向けて、W350計画を立てています。
W350計画とは、高さ350mの木造超高層建築物を実現するための構想です。
木の川上から川下まで一貫して担う住友林業ならではの構想です。
建築・構造設計を日建設計が行っています。
持分法適用会社の熊谷組も技術協力で参加していると思われます。
海外住宅・不動産事業
引用:住友林業
住友林業は、人口増加が見込まれるアメリカやオーストラリアに進出しています。
木造建築が主流アメリカとオーストラリアでに強みを持っています。
2022年のアメリカでの戸建販売戸数が10244戸で、2023年も引き続き9000戸の販売を計画しています。
2022年の国内の戸建販売戸数が8737戸にります。
これは、アメリカだけで日本以上に戸建を販売している事になります。
その結果、アメリカでは第10位、オーストラリアでは第5位のハウスメーカーになっています。
アメリカでは、23年1月に「Southern Impression Homes」を取得しています。
「Southern Impression Homes」は、フロリダ州で戸建賃貸住宅の宅地開発、建築、販売、賃貸管理事業を展開する企業です。
フロリダ州への進出をきっかけに、既存の戸建分譲住宅事業の拡大と賃貸管理事業にも新規参入してきます。
アジア地域では、子会社の熊谷組と不動産開発に共同で取り組むためにシンガポールに合弁会社を設立しています。
住友林業と熊谷組が一緒になって行う海外初のプロジェクトになります。
また、インドネシアのジャカルタで現地企業と共に高層のコンドミニアムと商業複合施設開発事業にも着手しています。
事業セグメント
住友林業は、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 資源環境事業:バイオマス発電事業、植林事業等
- 木材建材事業:、木材・建材の仕入・製造・加工・販売等
- 海外住宅・不動産事業:海外における、分譲住宅等の販売、戸建住宅の建築工事の請負、集合住宅・商業複合施設の開発等
- 住宅・建築事業:有料老人ホーム・サービス付き
高齢者向け住宅の運営事業、保険代理店業、土木・建築工事の請負等
セグメント別構成比率(2022年12月期)
引用:住友林業
主力事業は、売上高で見ると海外住宅・不動産事業になっています。
しかし、住宅・建築事業の比率も高いのが分かります。
営業利益で見ると海外住宅・不動産事業が全体の83%を占めています。
住友林業の主な収益源は海外住宅・不動産事業になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:6.8倍
- PBR:0.84倍
建設業の平均PERが13.4倍、PBRが1.2倍です。
他のハウスメーカーと比べるとかなり割安と判断されています。
チャート分析
月足10年を見ると右肩上がりのチャートになっています。
月足移動平均線は全て上向きなので、長期的に上昇傾向です。
週足5年チャートを見ると2000円に節目があることが分かります。
また株価が2400円を超えると売られてしまう傾向にありました。
しかし、22年12月期の好決算を受けて大きな陽線をつけて上昇しています。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2022年に1兆6697億円、営業利益の過去最高も2022年の1582億円です。
2023年12月期の業績予想は、減収減益を予想しています。
これは、利益の大部分を占めるアメリカでの住宅市況が悪化しているからです。
住友林業は、悪化した住宅市況が完全な回復には時間がかかると見込んでいます。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:6.35%
- ROE:12.27%
- ROA:5.01%
- EPS:385.3円
建設業の平均ROEは11%、ROAは0.6%なので、経営効率の良い企業です。
建設業の平均営業利益率は7.3%です。
住友林業の利益率は、大手ハウスメーカーの中でも利益率は平均より少し低い企業です。
これは、木材建材事業と住宅・建築事業の利益率が低いためです。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:40.8%
- 有利子負債倍率:0.56倍
建設業の自己資本比率の平均が44%なので、住友林業の自己資本比率は少し下回っています。
有利子負債倍率の平均が1.34倍なので大幅に上回っています。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して約29%です。
剰余金は、総資産の30%は欲しいところです。
しかし、自己資本比率、有利子負債倍率、剰余金比率は毎年改善されています。
中長期的な目標は自己資本比率 40%以上と設定してます。
今後も着実に改善方向に向かうと思います。
中期経営計画
業績目標
引用:住友林業
住友林業は、世界最大の木造住宅市場のアメリカとオーストラリアでさらなる成長を計画しています。
セグメント別目標
引用:住友林業
木材建材事業は、海外製造事業の立て直しと木材コンビナートや国産材製造事業等への投資を行います。
海外住宅・不動産事業は、アジア、アメリカ、オーストラリアで住宅不動産開発を拡大です。
またヨーロッパを含めた各地で非住宅の中大規模木造住宅の事業化を推進します。
住宅・建築事業は、注文住宅のシェアアップと分譲住宅・非住宅・リフォーム事業等の拡大です。
投融資計画
引用:住友林業
2024年までの3年間の投融資計画は3000億円を計画しています。
特に海外住宅には1300億円の投資なので全体の約40%を占めます。
国内外の住宅・不動産事業の計画
引用:住友林業
21年度までの中期経営計画でアメリカとオーストラリアの住宅販売戸数は13,000戸に対して14,399戸でした。
24年度までの目標は、国内で9750戸、アメリカで16,000戸、オーストラリアで4000戸です。
特にアメリカは70%以上アップを計画しています。
新型コロナをきっかけに21年度と22年度のアメリカ市場での期初受注残は7000戸を超えていました。
23年度のアメリカ市場での年間販売戸数は、9000戸を計画しています。
この数値を達成するためには、期初受注残の戸数よりも期中の契約や着工戸数に注目です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:住友林業
- 配当金:125円(2023年12月期予定)
- 配当利回:4.76%(23年2月17日終値)
- 配当性向:32.4%
配当金は11年間減配せずに右肩上がりに推移しています。
また23年12月期の配当性向32.4%なので、まだまだ増配余力があります。
23年12月期のEPSは大幅に減少していますが、高配当銘柄の中でも安心して保有できる銘柄です。
株主優待
残念ながら住友林業は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
住友林業を買うなら、2450円付近の節目で反発を確認してから購入したい。
国内の住宅市場は、年々着工件数が減少していく傾向にあり、集合住宅事業がありません。
ここは、他のハウスメーカーのような高付加価値商品がないのがハンデになります。
しかし、人口増加が見込めるアメリカやオーストラリア、東南アジアに注力しています。
2022年12月期の海外事業の比率は全体の50%になりました。
実際にアメリカの販売戸数が日本国内の販売戸数を大きく上回っています。
米国経済の成長が順調なうちは住宅需要が増えています。
アメリカにも強みを持つ住友林業は魅力的なハウスメーカーと言えます。
月足チャートや週足を見ると直近の高値圏は2450円付近です。
もし2450円付近まで下落しても、しっかり反発を確認してから買い出動したい銘柄です。