大和ハウス工業(1925)の株価を分析していきます。
大和ハウス工業を5つのポイントで説明
- 売上と利益の主力はビジネス分野の事業施設や商業施設
- 住宅・建設業界1位の事業規模
- 非住宅分野の売上高はスーパーゼネコンにも匹敵
- 海外事業は世界20か国に進出
- チャートは上昇傾向なので株価3200円台前半から半ばで買いを検討したい
大和ハウス工業の概要
大和ハウス工業は、日本で初めてプレハブ住宅を開発したパイオニア企業で、住宅業界の中で最大規模かつ最大手企業です。
売上高は4兆円を超えていて、積水ハウスの約2倍を稼いでいます。
しかし、住宅の販売戸数は積水ハウスが業界1位で、大和ハウス工業は業界6位です。
実は大和ハウス工業の強みは、物流施設や商業施設等のビジネス分野にあります。
実際に非住宅分野の売上高は、スーパーゼネコンと肩を並べる1兆7500億円規模もあります。
賃貸事業の販売戸数は大東建託に続く2位、リフォーム事業は積水ハウス、住友林業に続く3位です。
特に国内のリフォーム市場は増加傾向にあるので、これからも期待出来ます。
海外事業
引用:大和ハウス工業
大和ハウス工業の海外事業は、自社でゼネコンを持っていることが強みです。
子会社の「FUJITA」を中心に中国、東南アジア、アメリカをはじめとして20か国に展開しています。
海外売上高と投資計画ではバランスが良く、今後も海外のエリアバランスの取れた収益を築こうとしています。
2022年3月期までの中期経営計画でも、ASEANと北米に注力をして、海外事業を売上高4,000億円を目指しています。
事業セグメント
大和ハウス工業は、7つのセグメントから成り立っています。
- 戸建住宅事業:戸建住宅の注文請負・分譲
- 賃貸住宅事業:賃貸住宅の開発・建築、管理・運営及び仲介
- マンション事業:マンションの開発・分譲・管理
- 住宅ストック事業:増改築の請負・不動産の買取再販及び売買仲介等
- 商業施設事業:商業施設の開発・建築、管理・運営
- 事業施設事業:物流・製造施設、医療介護施設等の開発・建設及び仮設建物の建築・管理・運営
- その他事業:建設支援事業、健康余暇事業、エネルギー事業及びその他の事業
大和ハウス工業の事業構成比率(2021年3月期)
引用:大和ハウス工業
売上の主力はセグメント別に見ると事業施設事業と賃貸住宅事業になります。
しかし営業利益の主力は商業施設、事業施設の割合が大きいので、非住宅分野に強みを持っている事が分かります。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.9倍
- PBR:1.16倍
建設業の平均PERが13.4倍、PBRが1.2倍な事を考えると、現在の株価はやや割安と判断されています。
チャート分析
建築基準不適合問題や中国関連会社での巨額横領事件などの事件で大きく株価を下げています。
月足10年チャートでは、6MAと12MAが上向いていて、ローソク足も3本の移動平均線より上にいます。
週足5年チャートでは、3本共移動平均線は上向きになっているので中長期的にも上昇傾向で、3600円付近が近年の高値目処になっています。
ただ、月足10年チャートで3250円付近が支持線や抵抗線になっている事が多いのが分かります。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
9年連続増収で売上の過去最高は直近の2020年に4兆3802億円、経常利益の過去最高は2020年の3811億円。
2021年3月期は減収減益ですが、2017年から2020年の売上を比べると3年で約1.25倍に成長しています。
大きい売上規模に関わらず成長を続けていて、創業100年の2055年までに売上高10兆円を目指しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:7.44%
- ROE:11.72%
- ROA:4.25%
- EPS:328.6円
建設業の平均ROEは11%、ROAは0.6%なので、経営効率の良い企業です。
建設業の平均営業利益率は7.3%なので、建設業の中でも利益率の高い企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:36.3%
- 有利子負債倍率:0.75倍
自己資本比率が30%を超えていて、有利子負債倍率は1倍以下なので健全な会社です。
しかし、積水ハウスと比べると見劣りしてしまいます。
中期経営計画
資本政策
引用:大和ハウス工業
ハイブリッド社債を考慮した後のD/Eレシオは21年3月期時点で0.59倍なので、適正に推移しています。
直近4年の配当性向は30%付近で推移していて、21年3月期は41%と大きく超えていますが40%台なので問題ありません。
投資計画
引用:大和ハウス工業
中期経営計画の投資計画で1兆500億円の内、約50%の5000億円を商業施設と事業施設に投じています。
非住宅分野が今後も成長が期待できる主力事業になっているのが分かります。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:126円(22年3月期)
- 配当利回:3.86 %(21年5月14日終値)
- 配当性向:38.3%
配当金は11期連続増配していて、22年度の配当金は1株126円(記念配当10円含む)を予定しています。
配当利回は3.86%なので、建設業の中でも高配当銘柄になります。
中期経営計画にも21年3月までの配当性向を30%以上で継続的な配当成長を目指しています。
自己株式取得にも積極的で、22年1月31日までに800万株を上限として自己株式取得を決定しています。
株主優待
毎年3月末現在の株主名簿に記録された、100株以上を保有する株主にたいして実施しています。
- .全国のダイワロイヤルホテルの各種サービス(宿泊、ホテル内でのお食事、お買い物など)
- .ダイワロイヤルホテルシティでの宿泊(他の入居店舗では利用出来ません)
- ダイワロイヤルゴルフでの各種サービス(プレーフィー、ゴルフ場内での飲食など)
- 全国のロイヤルホームセンターの各種商品(一部取扱品を除く)
- ダイワロイネットホテルズでの宿泊(他の入居店舗では利用出来ません。)
- スポーツクラブNASの各種サービス(入会金、各種レンタル料など)
- 大阪第一ホテルでの宿泊(他の入居店舗では利用出来ません。)
- ラ・ジェント・ホテルでの宿泊(他の入居店舗では利用出来ません。)
- 株主優待専用グルメギフト
- 社会貢献寄付制度
贈呈基準
引用:大和ハウス工業
まとめ
大和ハウス工業を買うなら、高配当銘柄として3200円台前半から半ばで買いたい。
現在のPBRとPERを見ると現在の株価はやや割安となっています。
また月足10年チャートでも3250円付近が支持線や抵抗線になっている事が多いのが分かります。
21年3月期は減収減益ですが、22年3月期は増収減益を予想しています。
大和ハウス工業のリフォーム工事やストック事業は、積水ハウスと同様にこれからまだまだ伸びていくと思います。
海外事業の比率は積水ハウス、住友林業と比べて遅れていますが、北米やASEANを中心に成長戦略にして海外売上高4000億円をめざしています。
また大和ハウス工業の規模感で毎年成長を続けているので、2055年の売上規模10兆円の計画も期待出来ます。
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