日特建設(1929)の株価を分析していきます。
日特建設を5つのポイントで説明
- 地質調査と基礎土木一貫工事に強み
- 法面工事では国内2位、堤高100m以上のダムの実績は国内1位
- ROE、ROA、自己資本比率、有利子負債倍率、余剰金比率はどれも優秀
- 月足移動平均線は上昇傾向だが週足移動平均線は下落に転換し始めている
- 700円付近で反発出来たのを確認してから買いたい
日特建設の概要
日特建設は、環境防災、維持補修、都市再生分野の専門工事に特化した地質に強いゼネコンです。
日特建設の日特は、旧社名の「日本特殊工業」から来ており特殊土木に強みを持っています。
特殊土木の中でも斜面・法面対策では、ライト工業に続いて2位のシェアを持つ企業です。
斜面・法面対策工事とは、台風や地震で起こる土砂災害を防止する工事です。
また日特建設は、黒四ダムなどの国内の大ダム基礎工事の大半を施工していきました。
創業当初から地質調査と基礎土木工事を一体施工できる強みを持ち、高く評価されてきたからです。
日特建設は、日本の堤高100m以上のダムの75%以上を手掛けています。
これは、業界No.1の実績です。
海外には、インドネシアに進出していて東南アジアでインフラ整備プロジェクトに参加しています。
今後は、公共事業の減少と本格的な維持補修時代の到来を予想しています。
補修技術の開発、専門工事の新たな工種、海外工事の拡大などの新しい分野での開拓が必要
日特建設の独自技術
岩盤グラウチング技術
引用:日特建設
日特建設は、「岩盤グラウチング技術」を最も得意としています。
これは、岩盤に深く細い穴を開けて、そこからセメント水を注入してひび割れを充填する方法です。
岩盤の上にダムや岩盤をくりぬいてトンネルを作る場合、ほとんどの岩盤には大小さまざまなひび割れがあります。
この大小さまざまなひび割れが、漏水や壁や天井が崩れる原因になります。
それらを防ぐための「一枚岩」を作る技術が「岩盤グラウチング技術」です。
パフェグラウト工法
引用:日特建設
パフェグラウト工法は、日特建設独自の補修・補強工法です。
セメント系充填材『パフェグラウト』と、施工装置『パフェプラント』を組み合わせた工法です。
高強度を必要とする構造物の補修や長距離トンネルにおける空洞・空隙充填に効果的です。
ジオファイバー工法
引用:日特建設
ジオファイバー工法とは「連続繊維補強土」を用いた環境保全型の法面安定工法です。
これは、砂質土と連続繊維(ポリエステル)を噴射・混合して、法面に厚い土構造物を構築します。
コンクリートの代わりに連続繊維と砂質土を用いて斜面を補強する環境に優しいのが特徴です。
清水寺の環境保全にもこの技術が使われました。
引用:日特建設
未来プロジェクト
引用:日特建設
日特建設は、立命館大学、JAXAと共同で、月面での採掘機械や技術の研究をしています。
事業セグメント
日特建設は、2つのセグメントから成り立っています。
- 建設事業:基礎土木工事、土木工事一式、地質コンサルタント
- その他事業:商品資材販売等事業、及び保険代理業
日特建設の売上構成比率(2021年3月)
セグメント別構成比率
売上高の主軸は建設事業になり、全体の99.7%を占めているので分かりやすい事業内容です。
工事別売上構成比率
内訳は、基礎土木工事が94.8%になっています。
特に法面工事では、国内2位の売上規模です。
日特建設も特殊土木分野に強みを持っています。
日特建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も建設事業になり、全体の99.3%を占めています。
21年3月期の建設事業の利益率は18.8%、その他事業の利益率が39.6%です。
ただし売上総利益の内、販管費及び一般管理費が58%を占めています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:10.3倍
- PBR:1.09倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとほぼ平均的な企業と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価は右肩上がりに成長しています。
月足移動平均線は3本共上向きなので、長期的にも上昇傾向です。
月足24MAや60MAにタッチしている時は、買い時になっています。
週足移動平均線を見ると13MAは下落していて、26MA、52MAも下落に転換しています。
短期的には、下落傾向なので目先の700円でしっかり反発出来るか確認したいです。
もし700円を割り込めば次は650円付近まで下落することを頭に入れておきたいです。
しかし国土強靭化計画を追い風に2026年3月までは、上昇傾向になると考えられます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2001年に1313億円、営業利益の過去最高は1994年の63億円です。
22年3月期も増収増益予想なので、過去最高を更新予定です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:6.43%
- ROE:10.56%
- ROA:6.15%
- EPS:70.3円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を大きく上回る企業になります。
大手ゼネコン23社の平均営業利益が6.7%なので、平均的な利益率になっています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:55.2%
- 有利子負債倍率:0.01倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を大きく上回る企業です。
直近3年の自己資本比率は上昇傾向にあり、有利子倍率は無借金に近い0.01倍です。
余剰金も増加傾向で、総資産に対して41.2%なので財務状況はかなり優秀な企業です。
営業CFはプラスで、投資CFと財務CFはマイナスになっています。
ただし、21年3月期の営業CFが大幅に減少しています。
中期経営計画
日特建設は、2020年度から2022年度までの中期経営計画を策定しています。
経営数値目標
引用:日特建設
中期経営計画の最終年度22年3月期は、売上高と営業利益でも達成予想です。
設備計画
引用:日特建設
株主還元方針
株主還元に関しては、安定的な配当を継続することを基本方針にしています。
日特建設は、配当性向40%以上を目指しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:29円(2022年3月期)
- 配当利回:4.02%(2021年8月20日)
- 配当性向:41.2%
日特建設は、21年3月期の配当を減配しています。
20年から23年までの3年間の中期経営計画では、配当性向を40%以上としています。
財務体質や余剰金の比率は優秀ですが、配当性向40%が目安になっています。
22年3月期のEPSが70.2円と減少予想なので、配当も減配予想になっています。
株主優待
残念ながら日特建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
日特建設を買うなら、700円を反発したところで買いたい。
日特建設は、特殊土木の法面工事に強みを持っています。
21年度から「国土強靭化の5か年で加速計画」や災害が増えてきているので、需要が見込めます。
しかし22年3月期の決算予想は、ライト工業と比べると見劣りしてしまいます。
チャートを見ても月足は上向きですが、週足移動平均線は下落に転換しようとしています。
長期保有目的の場合でもまずは700円で反発出来るか確認したいです。
経営指標を見るとROE、ROAは、ゼネコンの中でも平均を大きく上回っていて優秀です。
財務状況も高い自己資本比率、ほぼ無借金経営の有利子負債倍率、豊富な余剰金になっています。
配当に関しては、21年3月期に減配していて22年3月期も減配予想です。
22年3月期までの配当性向は40%以上としていますが、40%を目安にした方がよさそうです。
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