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株価分析(建設・土木)

日揮ホールディングス(1963)の株価を分析【原発関連銘柄】

日揮ホールディングス(1963)の株価を分析していきます。

 

日揮ホールディングスを5つのポイントで説明

  • 国内最大手の総合プラントエンジニアリング企業でLNGプラントでは世界トップ
  • 売上と利益の主力は海外での総合プラントエンジニアリング事業
  • 財務体質は優良だが経営効率は平均的
  • 23年の業績予想で使用している為替レートは1ドル=123円
  • 節目が2000付近なので直近高値の2088円を超えれるかに注目

 

 

日揮ホールディングスの概要

日揮HDは、日本最大手の総合プラントエンジニアリング企業です。

 

プラントエンジニアリングとは

石油やガスなどのエネルギー、化学、医薬品、電気など社会や建材を支える生産設備を造ること。

 

日揮HDは、東洋エンジニアリング、千代田化工建設と一緒に「エンジニアリング御三家」と呼ばれています。

 

「エンジニアリング御三家」の中でも、純利益や受注残高で日揮HDが他の2社を大きく引き離しています。

 

また日揮HDと千代田化工建設は「液化天然ガス(LNG)プラント建設の世界4強にもなっています。

 

総合プラントエンジニアリング事業

日揮HDは、これまで世界80カ国以上、プロジェクト遂行実績2万件以上の世界有数の実績を持っています。

 

また日揮HDのパフォーマンスは、日本の石油会社、オイルメジャー、産油国国営石油会社などから世界最高水準の評価を受けています。

 

製造設備の内訳は、石油精製プラント、石油化学・化学プラント、LNGプラント、天然ガス処理プラント等です。

 

日揮HDは、これまでに世界の生産量の30%以上を占めるLNGプラントを設計・建設してきました。

 

LNGプラントの分野では技術力、実績の両面で世界トップの地位になります。

 

機能材製造事業

機能材製造事業は、オンリーワン技術でニッチ市場で高いシェアを実現しています。

 

触媒、ファインケミカル、ファインセラミックスの三つの分野を中心に製造・販売しています。

 

触媒分野

FCC(流動接触分解)触媒は国内でトップシェア、世界でも有数のシェアを獲得していて、世界中の製油所で使用されています。

 

原油を分解・脱硫する化学反応に用いる石油精製向け触媒の中でも流動接触分解触媒は、国内有数のシェアを維持しています。

 

ファインケミカル分野

ファインケミカル分野は、情報・電子材料、光学材料、化粧品材料、コロイド(超微分子)材料などファインケミカル製品の製造・販売を行っています。

 

このファイルケミカル製品は、テレビやパソコンの液晶ディスプレイやフラットパネルディスプレイ、半導体製造装置、化粧品、メガネレンズ使われています。

 

ファインセラミックス分野

ファインセラミックス分野では、エレクトロニクセラミックス、エンジニアリングセラミックス、金属セラミックス複合材料などの技術・用途開発、製造・販売事業も展開しています。

 

エンジニアリングセラミックスや金属セラミックス複合材料では、ニッチな市場ですが高いシェアを確保しています。

 

エンジニアリングセラミックスの中で、窒化ケイ素基板があります。

 

窒化ケイ素基板は、電気自動車などのパワー半導体に必要で今後の利用拡大が見込まれています。

 

窒化ケイ素基板ついて、日揮HDは、性能・コストの両面で従来の製造方法より優れたオンリーワン技術を持っています。

 

 

事業セグメント

日揮HDは、主に2つの事業から成り立っています。

  • 総合エンジニアリング事業:主に石油、石油精製、石油化学、ガス、LNGなどに関する装置、設備及び施設の計画、設計、調達、建設及び試運転役務などのEPCビジネス
  • 機能材製造事業:触媒分野、ナノ粒子技術分野、クリーン・安全分野、電子材料・高性能セラミックス分野及び次世代エネルギー分野において製品の製造、販売
  • その他事業:コンサルティング事業、オフィスサポート事業、造水事業、原油・ガス生産販売事業など

 

日揮HDのセグメント別売上構成比率(2022年3月)

 

売上高の主軸は、総合エンジニアリング事業になり全体の88.2%を占めています。

 

日揮HDのエリア別売上構成比率(2022年3月)

 

日揮HDの国内外の売上高構成比率は、海外が68%、日本国内が32%です。

 

エリア別の売上構成比を見ると日本と北米がそれぞれ約30%と主力のエリアになっています。

 

その次にアフリカ、中東、東南アジアの順番です。

 

日揮HDの利益構成比率(2022年3月)

 

利益の主軸も総合エンジニアリング事業で全体の61.4%を占めてます。

 

総合エンジニアリング事業の利益率は3.4%、機能材製造事業の利益率は16.4%です。

 

機能材製造事業の利益率は、総合エンジニアリング事にと比べてかなり利益率の高い事業です。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:20.0
  • PBR:1.20

 

建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割高と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見ると、直近10年の株価は右肩下がり下落してきました。

 

しかし、コロナショックで底打ちをして現在は上昇傾向です。

 

現在の月足移動平均線は、12MAと24MAは上昇しています。

 

週足5年チャートを見るとボックス相場を抜け出している事が分かります。

 

株価は2000円付近に節目があり、現在上値抵抗線になっています。

 

22年に入ってからの週足移動平均線は、全て上向きになっています。

 

まずは直近高値の2088円を上抜け出来るかに注目です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上高の過去最高は2016年に8799億円、営業利益の過去最高は2014年の682億円です。

 

23年3月期は増収増益を予想していています。

 

この業績予想では為替レートを1ドル=123円を使用しています。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:4.68%
  • ROE:6.03
  • ROA:3.37%
  • EPS:95.0

 

上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を下回る企業になります。

 

建設業の平均営業利益が4.4%なので、平均的な利益率です。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:55.8
  • 有利子負債倍率:0.19倍

 

100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を上回る健全な企業です。

 

有利子倍率は、0.19倍とかなり健全です。

 

利益剰余金の安心できる目安は、総資産対して30%以上です。

 

剰余金は増加傾向で、総資産に対して49.2%もあります。

 

この事からも日揮HDの本業が順調な事が分かります。

 

 

長期経営ビジョン

日揮HDは2040年に向けて、目指す経営ビジョンを発表しています。

 

5つのビジネス領域

引用:日揮HD

 

5つのビジネス領域へ事業の多角化
  • エネルギートランジション:ネットゼロを実現に向けたオイル、ガスの低・脱炭素化とクリーンエネルギーの拡大
  • ヘルスケア・ライフサイエンス:医薬・病院分野の国内や新興国での展開と医療を通じた健康の実現
  • 高機能材:コア技術を活かした成長分野で独自の高性能材料の開発・製造
  • 資源循環:資源循環社会の実現に向けた市場形成・エコシステム構築の主導
  • 産業・都市インフラ:環境配慮型複合的な産業・都市インフラシステムの提供

 

事業ポートフォリオの変革

引用:日揮HD

 

日揮HDは、5つのビジネス領域を長期的な時間をかけて事業ポートフォリオの変革を進めています。

 

ビジネス領域とビジネスモデルの売上高構成比

引用:日揮HD

 

売上構成比は、2040年にエネルギートランジションが60%、ヘルスケア・ライフサイエンスが10%、高機能材が10%、資源循環が10%、産業・都市インフラが10%の比率を目安にしています。

 

目指す営業利益水準

引用:日揮HD

 

2040年には営業利益を1500億円から2000億円を目指しています。

 

 

中期経営計画

日揮HDは、2023年3月期までの中期経営計画を発表しています。

 

経営数値目標

引用:日揮HD

 

2025年度に売上高8000億円、営業利益600億円、当期純利益450億円、ROE10%を目指しています。

 

投資計画

引用:日揮HD

 

日揮HDは、2025年までの3年間に総額2000億円の戦略投資を行います。

 

財務目標

引用:日揮HD

 

引き続き強固な財務基盤維持の為に自己資本比率50%の維持を目指しています。

 

株主還元

引用:日揮HD

 

配当性向については30%を目途に、下限配当部分として15円を設定しています。

 

ただし、年一回の現金配当を基本としています。

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:29円(2023年3月期)
  • 配当利回:1.53%(2022年9月2日)
  • 配当性向:30.5%

 

日揮HDの財務状況を見ると増配の余力は十分あると考えられます。

 

しかし配当金の推移は、業績によって変動している事が分かります。

 

中期経営計画では配当性向については30%を目途に、下限配当部分として15円を設定しています。

 

株主優待

残念ながら日揮HDは、株主優待の設定をしていませんでした。

 

 

まとめ

日揮HDを買うなら、まずは直近高値の2088円を超えれるかに注目したい。

 

日揮HDは、国内トップの総合プラントエンジニアリング企業です。

 

LNGプラント分野では、世界トップの技術と実績をもっています。

 

海外事業を積極的に展開している事もあって、売上の約70%は海外です。

 

最近では、岸田首相の原発の再稼働を目指す方針が発表されて、原発関連銘柄として注目されました。

 

日揮HDは、アメリカの原発関連企業ニュースケール・パワーに出資しています。

 

これによりアメリカで小型モジュール原子炉の設計、調達、建設事業に参入をしています。

 

月足10年チャートは反発していて、月足移動平均線の12MAと24MAは上向きです。

 

直近の節目は2000円付近にあり、上値抵抗線になっている事が分かります。

 

まずは直近高値の2088円を超えれるかに注目です。

 

日揮HDは、日本や世界のオイル・ガスエネルギーを考えると欠かせない企業です。

 

今後は、注力しているクリーンエネルギーやインフラ分野にも注目です。

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