気になる銘柄はこちらで検索

株価分析(建設・土木)

大成建設(1801)の株価分析と特徴【非同族経営のスーパーゼネコン】

大成建設(1801)の株価分析と特徴をまとめていきます。

 

大成建設を5つのポイントで説明

  • スーパーゼネコンの中では唯一の非同族経営
  • 世界屈指の技術力で都市開発と大型土木工事に強み
  • 自社株買いに積極的で配当も11年連続減配無し
  • 中期経営計画はグループ売上高・営業利益・純利益ともに未達の見込み
  • 直近高値の4860を超えて5000円の節目を超えれるかに注目

 

 

大成建設の概要

大成建設は、橋梁などの大型土木建築と都市開発等の再開発案件に強いスーパーゼネコンです。

 

海外事業にも積極的で、鹿島建設や大林組と違いアジアと中東に進出しています。

 

拠点を置く14か国の内12か国はアジアなのでいかに注力してるのが分かります。

 

大型土木建築

大成建設は、これまでに「青函トンネル」、「東京湾アクアライン」、「明石海峡大橋」等を手掛けてきました。

 

現在はリニア新幹線のトンネル工事の中で最も高度な技術が要求される「南アルプストンネル工事」の施工を請け負っています。

 

大成建設の土木建築技術を語る上で欠かせないのが、アジアと欧州を結ぶ始めての海底トンネル「ボスポラス海峡横断鉄道トンネル」です。

 

陸上で作ったトンネルと海底の中でつなぎ合わせるという世界初の試みになる工事でした。

 

世界中の専門家から「深い海峡と激しい潮の流れがあり、工事は不可能」と言われていました。

 

しかし大成建設が無事に成功させて「トルコの150年の夢」を叶え、世界でも屈指の開発力と技術力をアピールしています。

 

再開発事業

再開発事業にも強みを持っていてこれまでに「あべのハルカス」、「東京ミッドタウン」を手掛けていて、現在は「虎ノ門二丁目地区市街地再開発」を手掛けています。

 

大成建設は、全国の法定開発案件の約20%に関わっているので、大手ゼネコンの中でNO.1の実績を持っています。

 

また開発事業の売上高でも他のスーパーゼネコンの売上高が500億~600億に対して1000億円を超えているので、他社を圧倒しています。

 

現在は、日本マイクロソフトと協業して、AIやIoT技術を活用した都市計画に取り組んでいます。

 

「札幌北1西5計画」の施工不良

23年3月に「札幌北1西5計画」の工事で施工不良が見つかりました。

 

当初、24年2月の竣工予定でしたが、現時点で26年6月末の竣工を想定しています。

 

これによる工事原価は約240億円増加しています。

 

世田谷区の庁舎建て替え工事での工期延長

23年5月に、大成建設は「世田谷区本庁舎等整備工事」で工期延長を申し出ました。

 

「世田谷区本庁舎等整備工事」で、2023年9月に1期工事の完成を予定していました。

 

しかし、施工計画の検討や工程管理の問題で最大6か月の延長を申し出ています。

 

 

事業セグメント

大成建設は、主に3つのセグメントから成り立っています。

 

  • 建築事業:建築物の建設工事全般に関する事業
  • 土木事業:土木工作物の建設工事全般に関する事業
  • 開発事業:不動産の売買・賃貸・管理・斡旋等、不動産全般に関する事業

 

大成建設の売上構成比率(2023年3月)

 

売上の主軸は建築事業になっていて、全体の約65.3%を占めています。

 

建築事業の中でも、国内の民間建築で全体の61.8%を占めています。

 

民間建築の中でも、事務所・庁舎、工場・発電所、教育文化施設は、国内受注高の約50%になります。

 

大成建設の利益構成比率(2023年3月)

 

大成建設の利益構成比率は、土木、建築ともに利益額のバランスが取れていました。

 

23年3月期は、利益の主軸が土木事業になっていて、全体の72%を占めています。

 

土木事業の売上総利益は16.7%になっています。

 

建築事業は、利益率低下による完成工事総利益が減少したことで、66億円の営業損失になりました。

 

建築事業の売上総利益は4.9%になっています。

 

ゼネコンの決算を見る中で、重要なのが工事損失引当金です。

 

この工事損失引当金とは、工事に対して赤字の見通しが立った時、先に当期の損失として計上しておく事です。

 

つまり、かなり厳しい条件での受注や原材料や人件費の高騰、工事の進捗が悪化している事がわかります。

 

大成建設の工事損失引当金は、スーパーゼネコンの中で2番目に大きい金額です。

 

前年より増加しているのでかなり無理をした受注をした事が分かります。

 

受注時の採算好転の影響が、利益水準に具体化するのは25年度以降を想定しています。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:20.0倍
  • PBR:1.09倍

 

建設業の平均PERが11.4倍、PBRが0.9倍なので、かなり割高と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見てみると直近3年は3400円付近が底値圏になっています。

 

月足移動平均線は、60MAは下向きですが12MAと24MAは上向きになっています。

 

週足5年チャートを見ると週足移動平均線は全て上向きです。

 

また4500円付近が節目になっているのが分かります。

 

次の節目は5000円付近になっているので、まずは直近高値の4860円を抜けるかに注目です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上高の過去最高は1993年に2兆3514億円、経常利益の過去最高は2018年の1818億円です。

 

また2020年まで4年連続増収していて、スーパーゼネコンの中で9期連続EPSの過去最高を更新していたのは大成建設だけです。

 

売上高は順調に回復していますが、利益面は3年連続減益しています。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:3.64%
  • ROE:5.43%
  • ROA:2.23%
  • EPS:239.3円

 

スーパーゼネコン5社の平均営業利益率は3.62%なので、平均的な利益率です。

 

スーパーゼネコン5社の平均ROEは6.82%、平均ROAは2.74%なので、平均を少し下回る経営効率になります。

 

 

財務状況

引用:株探

  • 自己資本比率:44.1%
  • 有利子負債倍率:0.24倍

 

スーパーゼネコン5社の自己資本比率の平均が40.9%、有利子負債倍率の平均は0.44倍です。

 

大成建設の自己資本比率は、平均を上回る自己資本比率です。

 

大成建設の有利子負債倍率は、平均を大きく上回ります。

 

スーパーゼネコンの中で1番自己資本比率が高く、有利子負債倍率が低いです。

 

利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。

 

剰余金は毎年増えていますが、総資産に対して27.9%です。

 

 

中期経営計画

経営数値目標

引用:大成建設

 

中期経営計画で掲げていた、グループ売上高・営業利益・純利益ともに未達となる見通しです。

 

利益面での未達の要因は、3つです。

  1. 生産体制の整備遅延
  2. 複数の低採算大型工事の影響
  3. 価格転嫁の遅延

 

投資計画

引用:大成建設

 

投資計画は、「海外事業」と「再生可能エネルギー事業」に力を入れている事が分かります。

 

22年度点で、投資金額2500億円に変更はなく、進捗は約50%になっています。

 

23年度の開発投資は、都心大型オフィスビルの取得や海外不動産への投資を予定しています。

 

株主還元策

引用:大成建設

 

中期経営計画では、配当性向を25%~30%と設定しています。

 

まだまだ増配余力があるだけでなく、自社株買いにも積極的です。

 

23年度も200億円の自社株買いの実施を発表していています。

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:130円(2024年3月期予定)
  • 配当利回:2.72%(23年6月16日終値)
  • 配当性向:54.3%

 

11年連続減配無しで、24年3月期も130円の配当維持予定です。

 

しかし中期経営計画にある25%~30%に対して38.8%なので目安を上回っています。

 

また200億円の自社株買いを決定しているので、総還元性向は95.4%になる予定です。

 

株主優待

引用:みんかぶ

 

 

まとめ

大成建設を買うなら、直近高値の4860円を超えて5000円の節目を超えれるかに注目。

 

月足移動平均線12MA、24MAと週足移動平均線は3本共上向きです。

 

株価は、直近3年間の節目になっていた4500円付近を超えて上昇中です。

 

まずは、直近高値の4860円を超えて5000円の節目を超えれるかに注目です。

 

本来の大成建設は、経営効率、財務、積極的株主還元、利益率の高さなど魅力が多いです。

 

しかし、22年度の営業利益は当初の予想から364億円下回っています。

 

これは、原価高騰、手持工事の利益率低下、工事損失引当金の増加、施工不良が原因です。

 

特に「札幌北1西5計画」の施工不良では、工事原価が240億円の増加となっています。

 

23年度から24年度の間は、原価高騰の影響で利益面は厳しい状況が続く見込みです。

 

しかし、25年度以降は、受注時採算好転の影響が利益水準に具体化する事を想定しています。

 

25年度には、利益水準が8~9%になる事が可能と大成建設は考えています。

 

不祥事で一時的に株価は大きく下がりましたが、約2か月で株価はもとに戻しています。

 

25年度に利益面が回復することを考えると、まだまだ上昇の余地はある銘柄です。

 

こちらもCHECK

清水建設(1803)の株価分析と特徴【清水建設の株価が安い理由】

清水建設(1803)の株価分析と特徴をまとめていきます。   清水建設を5つのポイントで説明 民間建築が受注高の80%を占めていて歴史的建造物と病院建設に強い 堅実経営が強みだが工事損失引当 ...

続きを見る

こちらもCHECK

大林組(1802)の株価分析と特徴【過去最高の売上高を更新予想】

大林組(1802)の株価分析と特徴をまとめていきます。   大林組を5つのポイントで説明 首都圏だけでなく関西でも都市開発に強み 海外事業は北米に注力していて現地企業を3社買収 売上と利益の ...

続きを見る

こちらもCHECK

鹿島建設(1812)の株価分析と特徴【3期連続増配と5期連続自社株買い】

鹿島建設(1803)の株価分析と特徴をまとめしていきます。   鹿島建設を5つのポイントで説明 様々な日本初を持つ技術力と総合力の高さ 海外売上比率は30%でアメリカや東南アジアに強み 土木 ...

続きを見る

こちらもCHECK

竹中工務店
竹中工務店の特徴とまとめ【非上場の建築専業スーパーゼネコン】

竹中工務店の特徴をまとめていきます。   竹中工務店を5つのポイントで説明 非上場の建築専業のゼネコンで売上と利益はスーパーゼネコン5社の中で5位 海外事業はアメリカ、ヨーロッパ、東南アジア ...

続きを見る

 

あなたのクリックが励みです!
にほんブログ村 株ブログ サラリーマン投資家へ

-株価分析(建設・土木)