清水建設(1803)の株価を分析していきます。
清水建設を5つのポイントで説明
- 民間建築に強みがあり、歴史的建造物と病院建設に強い
- 大型物件を無理に受注しない堅実経営
- 売上の主軸は国内建築事業だが投資開発事業の利益面にも注目
- 配当や優待目的には不向きな銘柄
- 株価715円をしっかり超えてから買いを検討したい
清水建設の概要
清水建設は、スーパーゼネコンの一角を担っていて、その中で売上高は4位、営業利益は4位です(2021年度3月時点)。
創業者の清水喜助が宮大工だったこともあり当時の「日光東照宮」の修理や「江戸城西の丸」再建に携わっていました。
現代では「出雲大社」や「平安神宮」の改修工事も手掛けています。
この事から清水建設は、歴史的建造物に強みを持っている事が分かります。
スーパーゼネコン5社の中で医療関連の受注実績はトップクラスです。
特に病院建設で圧倒的なシェアを持っています。
自社で設計施工が行える強みを活かした最先端病院の受注だけではありません。
清水建設が病院スタッフとして運営に参画する事でノウハウを蓄積しています。
そのノウハウの蓄積で国内外でも大規模な病院の建設工事を受注しています。
また2019年時点で、引用特許数が5年連続トップです。
この実績は、清水建設が他社と比べて独自の技術と開発力があるという事になります。
清水建設の様々な初
- 日本初の本格的鉄骨建築の「丸善本店ビル」
- 日本初の商業用原子力発電所「日本原子力発電東海発電所」
- 日本初のLNG地下タンク「東京ガス根岸LNG基地工事第1号基」
- 日本初の高張力による吊り屋根構造の「国立代々木競技場」
- 世界初の埋蔵式地下貯槽「東京ガス扇島工場」
- 世界初の表層メタンハイドレートのガス回収実験に成功
事業セグメント
清水建設は、主に2つのセグメントから成り立っています。
引用:清水建設
清水建設の売上構成比率(2022年3月期)
- 建設事業:79.8%
- 非建設事業:20.2%
建設事業(建築・土木)は、全体の約80%を占めています。
清水建設の売上の主軸は、国内建築で全体の70%を占めています。
清水建設の利益構成比率(2022年3月期)
清水建設の利益の主軸は、建設事業になります。
個別に見ると清水建設は売上の主軸になっている国内建築事業になります。
また、投資開発事業も全体の約40%を占めています。
この投資開発事業の利益率は、57.5%とかなり高い利益率になっています。
前期と比べても売上も利益も大幅な伸長をしました。
これは、中期経営計画の不動産投資の効果が大きく出てきています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:10.1倍
- PBR:0.63倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍なので、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると直近2年の下値目処は715円付近になっています。
22年になって715円を割り込んでしまいましたが、次はこの715円が上値抵抗線になります。
月足移動平均線は、3本共下向きなので株価は長期的に下落傾向になります。
また12MAは24MAに押さえつけられている事も分かります。
週足5年チャートを見ると週足移動平均線は全て下向きです。
さらに高値と安値を切り下げている事も分かります。
まずはこの節目の715円を超えていけるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1993年に2兆3699億円、営業利益の過去最高は1993年の1631億円。
22年3月期は、戦略受注した工事のVE提案の失敗と原価高騰、海外の人件費の高騰で大幅な減益になってい
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:3.65%
- ROE:6.25%
- ROA:2.42%
- EPS:69.8円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率が低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので経営効率は平均を下回っています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:38.7%
- 有利子負債倍率:0.60倍
100億円以上の建設業の平均自己資本比率が44%なので、平均を少し下回っています。
しかし、剰余金は毎年増えていますが、総資産に対しては27.8%になります。
有利子負債倍率も1倍以下なので倒産しにくいと言えます。
中期経営計画
利益目標
引用:清水建設
経営数値目標
引用:清水建設
自己資本比率、有利子負債倍率は中期経営計画に対して達成しています。
ROEの向上と配当性向を維持したまま増配を期待したいです。
投資計画
引用:清水建設
投資計画は、30年度に2000億円以上の利益目標達成のために、非建設事業に注力しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:清水建設
- 配当金:21円(2023年3月期予定)
- 配当利回:2.98%(22年5月13日終値)
- 配当性向:30.0%
23年度までは中期経営計画で連結配当性向30%を目安としています。
23年3月時の配当は前期から2円減配の21円になります。
清水建設は、長谷工と同じで普通配当と特別配当の2つがあります。
現在、10円の普通配当だけで見ると今後は減配しない計画をしています。
しかし、業績に左右される特別配当は今後も業績次第で減配が考えられます。
株主優待
引用:清水建設
1000株以上保有で、自社の木工製品のコースターがもらえます。
最低70万円以上の資金が必要なのでかなりハードルは高いです。
まとめ
清水建設を買うなら、715円をしっかり超えてから買いたい。
株価は、高値も安値も切り下げていて月足と週足移動平均線は全て下落傾向です。
また直近の節目の715円を割り込んでしまったので、次はここが上値抵抗線になります。
まずはここをしっかり超えてから購入を検討したいです。
無理をしない堅実経営が特徴の清水建設が3年連続減益の結果になりました。
さらに清水建設の株価がなぜ安いのかの理由は、清水建設の特徴にあると思います。
清水建設の特徴は、他のスーパーゼネコンと比べても国内建築に主軸を置いていて全体の70%を占めています。
逆を言うと海外の恩恵を受けれないのが弱点になります。
ここがあまり評価されていない理由の一つだと思います。
しかし、中期経営計画である不動産開発事業への投資で22年3月期は大きな成果が出ています。
実際に投資開発事業の利益は、建設事業と並ぶ規模に成長しています。
今後は建設事業の国内建築事業だけでなく、投資開発事業のセグメント利益にも注目です。
こちらもCHECK
-
鹿島建設(1812)の株価を分析【高配当銘柄】
続きを見る
こちらもCHECK
-
大林組(1802)の株価を分析【高配当銘柄】
続きを見る
こちらもCHECK
-
大成建設(1801)の株価を分析【高配当銘柄】
続きを見る