株価分析(建設・土木)

大林組(1802)の株価を分析【高配当銘柄】

大林組(1802)の株価を分析していきます。

 

大林組を5つのポイントで説明

  • 首都圏だけでなく関西でも都市開発に強み
  • 海外事業は北米に注力していて、現地企業を3社買収
  • 売上の主力は国内建築だが、利益の主力は国内土木と不動産事業
  • 22年度の国内建築事業は、工事損失引当金の経常で赤字
  • 短期的には下落傾向、950円で反発出来るか確認したい

 

 

大林組の概要

大林組は、スーパーゼネコンの一角を担っていて、売上高は2位、営業利益は3位(2021年度3月時点)です。

 

大林組の特徴は首都圏の都市開発に強みを持っています。

 

主な手掛けた建築物は東京駅、六本木ヒルズ、東京スカイツリー、虎ノ門ヒルズ等です。

 

2010年に本店を東京へ移転しましたが、関西を始めとした西日本でも強い地盤を持っています。

 

これま関西ではうめきた再開発、大阪万博、IR事業にも積極的に参画しています。

 

また大林組は、トヨタ自動車、キヤノン、NEC、三井グループとつながりが深い事でも有名です。

 

環境事業

新領域事業として再生可能エネルギーや農業ビジネスにも取り組んでいます。

 

その中でも特に風力発電に注力しています。

 

大林組は、超大型クレーンを使わずに空中で巨大風車の羽を起こす「ウィンドリフト工法」を開発しています。

 

大林組の技術力の高さと環境事業の取り組みが分かる様々な初

  • 世界一の高さの電波塔を「東京スカイツリー」を単独施工
  • 日本初の地熱発電と水素製造実証プラントの建設
  • 日本初の高層純木造耐火ビルの建設
  • 日本初の水封式LPG地下岩盤貯蔵施設「波方国家石油ガス備蓄基地」
  • 世界初の「海水練りコンクリート」の開発
  • 世界初の市街地における水素燃料100%のガスタービン発電による熱電供給(川崎重工業と共同)
  • 日本初の「WELL認証」を大林組技術研究所が取得

※WELL認証とは、建物内で暮らし、働く居住者の健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内環境評価システム

 

海外事業

また海外事業は、鹿島建設と同様にアメリカや東南アジアに進出しています。

 

その中でも、特にアメリカやカナダの北米に注力しています。

 

  • 2007年にオフィスビル、商業施設、ホテル、集合住宅等多くのプロジェクトを手掛けるアメリカの建設会社「ウェブコー」を買収
  • 2011年に水処理施設などの土木工事を得意とするカナダの建設会社「ケナイダン」を買収
  • 2014年に運河、道路、鉄道などのインフラ工事を手掛けるアメリカの建設会社「クレマー」を買収

 

 

事業セグメント

大林組は、主に5つのセグメントから成り立っています。

  • 国内建築事業:国内での建築工事の受注と施工
  • 海外建築事業:北米及び東南アジア等で建築工事の受注と施工
  • 国内土木事業:国内での土木工事の受注と施工
  • 海外土木事業:北米及び東南アジア等で土木工事の受注と施工
  • 不動産事業:大林新星和不動産㈱等が不動産の売買、賃貸並びに宅地開発等の開発事業
  • その他事業:PFI事業、再生可能エネルギー事業、金融事業、ゴルフ場事業等

 

大林組の売上構成比率(2022年3月)

 

売上の主軸は国内建築事業になっていて全体の約55%を占めています。

 

特に事務所、庁舎、工場、発電所の案件は、建設事業の売上構成比50%を占めています。

 

大林組の利益構成比率(2022年3月)

 

利益の主軸は国内土木事業と不動産事業になります。

 

元々の利益の主力は国内建築事業でしたが、22年3月期は赤字になっています。

 

これは、複数の大規模工事で工事損失引当金を計上したことで完成工事総利益が減少したからです。

 

この工事損失引当金とは、工事に対して赤字の見通しが立った時、先に当期の損失として計上しておく事です。

 

つまり、かなり厳しい条件での受注や原材料や人件費の高騰、工事の進捗が悪化している事がわかります。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:8.8倍
  • PBR:0.7倍

建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍を考えても、株価は妥当と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見てみると、直近2年は880円付近を底値に節目を作っている事がわかります。

 

月足移動平均線は、60MAは下向きなので長期的に下落傾向です。

 

また直近2年で12MAが24MAに押さえつけられています。

 

週足5年チャートを見ると1000円に節目があり直近2年では高値圏になって売られています。

 

週足移動平均線は、全て下向きなので中期的に見ても下落傾向です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上高の過去最高は2020年に2兆0730億円、営業利益の過去最高は2019年の1554億円です。

 

2020年まで4年連続増収、営業利益は少し頭打ち感はあります。

 

23年3月期の売上高は過去最高水準まで回復予想です。

 

経営効率

引用:株探

  • 営業利益率:4.88%
  • ROE:7.95%
  • ROA:3.14%
  • EPS:106.0円

 

上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率が少し低いです。

 

上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので平均的な経営効率になります。

 

 

財務状況

引用:株探

  • 自己資本比率:39.5%
  • 有利子負債倍率:0.21倍

 

建設業(100億円以上)の自己資本比率の平均が44%なので、ほぼ平均的な自己資本比率です。

 

剰余金は毎年増えていますが、総資産に対して27.9%です。

 

自己資本比率も年々改善傾向にあり、有利子負債倍率も低水準で推移しているので倒産しにくいと言えます。

 

 

中期経営計画

大林組は2022年から2026年までの中期経営計画を発表しています。

 

投資計画

引用:大林組

 

財務指標

引用:大林組

 

23年3月期は、中期経営計画の財務指標の水準を達成見込みです。

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:42円(2023年3月期予定)
  • 配当利回:4.50%(22年5月13日終値)
  • 配当性向:39.6%

 

11年連続減配無しで、23年度は42円の配当維持予定です。

 

22年から配当の指標はDOE3%程度に設定しています。

 

DOE = 年間配当総額(中間+期末) ÷ {(前期末自己資本+当期末自己資本)÷2}

 

22年度の42円はDOE3%程度なので、指標通りです。

 

株主優待

残念ながら、大林組は株主優待の設定はありませんでした。

 

 

まとめ

大林組を買うなら、860から880円まで下落した時に買いたい。

 

現在の株価は月足、週足移動平均線を見ても下向きなので下落傾向です。

 

株価は直近2年で860円から880円が節目になって底値圏になっています。

 

高値圏は1000円付近になっていますが、高値を切り下げている事を頭に入れたいです。

 

22年3月期は、主力事業の国内建築事業の利益で赤字を出しています。

 

これは工事損失引当金を複数の大型現場で計上によるものです。

 

おそらく原材料や人件費の高騰が原因だと思います。

 

元々、大林組の売上と利益の主軸は国内建築事業です。

 

しかし、3月決算以降にも原材料の高騰は続いています。

 

第一四半期の利益にも大きく響いていないか注意が必要です。

 

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