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株価分析(建設・土木)

大林組(1802)の株価分析と特徴【過去最高の売上高を更新予想】

大林組(1802)の株価分析と特徴をまとめていきます。

 

大林組を5つのポイントで説明

  • 首都圏だけでなく関西でも都市開発に強み
  • 海外事業は北米に注力していて現地企業を3社買収
  • 売上と利益の主力は国内建築だが不動産事業の利益率の高さに注目
  • 工事損失引当金の影響がなくなるのは26年3月期からを予想
  • 上昇傾向なので1200円の節目を守れるかに注目

 

 

大林組の概要

大林組は、スーパーゼネコンの一角を担っていて、売上高は2位、営業利益は2位(2023年度3月時点)です。

 

大林組の特徴は首都圏の都市開発に強みを持っています。

 

主な手掛けた建築物は東京駅、六本木ヒルズ、東京スカイツリー、虎ノ門ヒルズ等があります。

 

2010年に本店を東京へ移転しましたが、関西を始めとした西日本でも強い地盤を持っています。

 

関西では、うめきた再開発、大阪万博、IR事業にも積極的に参画しています。

 

また大林組は、トヨタ自動車、キヤノン、NEC、三井グループとつながりが深い事でも有名です。

 

環境事業

新領域事業として再生可能エネルギーや農業ビジネスにも取り組んでいます。

 

その中でも特に風力発電に注力しています。

 

大林組は、超大型クレーンを使わずに空中で巨大風車の羽を起こす「ウィンドリフト工法」を開発しています。

 

大林組の技術力の高さと環境事業の取り組みが分かる様々な初

  • 世界一の高さの電波塔を「東京スカイツリー」を単独施工
  • 日本初の地熱発電と水素製造実証プラントの建設
  • 日本初の高層純木造耐火ビルの建設
  • 日本初の水封式LPG地下岩盤貯蔵施設「波方国家石油ガス備蓄基地」
  • 世界初の「海水練りコンクリート」の開発
  • 世界初の市街地における水素燃料100%のガスタービン発電による熱電供給(川崎重工業と共同)
  • 日本初の「WELL認証」を大林組技術研究所が取得

※WELL認証とは、建物内で暮らし、働く居住者の健康・快適性に焦点を当てた世界初の建物・室内環境評価システム

 

海外事業

また海外事業は、鹿島建設と同様にアメリカや東南アジアに進出しています。

 

その中でも、特にアメリカやカナダの北米に注力しています。

 

  • 2007年にオフィスビル、商業施設、ホテル、集合住宅等多くのプロジェクトを手掛けるアメリカの建設会社「ウェブコー」を買収
  • 2011年に水処理施設などの土木工事を得意とするカナダの建設会社「ケナイダン」を買収
  • 2014年に運河、道路、鉄道などのインフラ工事を手掛けるアメリカの建設会社「クレマー」を買収

 

 

事業セグメント

大林組は、主に5つのセグメントから成り立っています。

 

  • 国内建築事業:国内での建築工事の受注と施工
  • 海外建築事業:北米及び東南アジア等で建築工事の受注と施工
  • 国内土木事業:国内での土木工事の受注と施工
  • 海外土木事業:北米及び東南アジア等で土木工事の受注と施工
  • 不動産事業:大林新星和不動産㈱等が不動産の売買、賃貸並びに宅地開発等の開発事業
  • その他事業:PFI事業、再生可能エネルギー事業、金融事業、ゴルフ場事業等

 

大林組の売上構成比率(2023年3月期)

 

売上の主軸は国内建築事業になっていて全体の約53.4%を占めています。

 

特に事務所、庁舎、工場、発電所の案件は、建設事業の売上構成比50%以上を占めています。

 

大林組の利益構成比率(2023年3月期)

 

利益の主軸は、国内建築事業になります。

 

その次に不動産事業、国内土木事業になります。

 

注目するポイントは、2番目に大きな利益を稼ぐ不動産事業の利益率の高さです。

 

国内建築事業の利益率は3.2%ですが、不動産事業の利益率は31.5%になっています。

 

ゼネコンの決算を見る中で、重要なのが工事損失引当金です。

 

この工事損失引当金とは、工事に対して赤字の見通しが立った時、先に当期の損失として計上しておく事です。

 

つまり、かなり厳しい条件での受注や原材料や人件費の高騰、工事の進捗が悪化している事がわかります。

 

大林組の工事損失引当金は、スーパーゼネコンの中で3番目に大きい金額です。

 

しかし、前年より減少しているので受注状況は改善されている事が分かります。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:15.3倍
  • PBR:0.85倍

 

建設業の平均PERが11.4倍、PBRが0.9倍なので、株価は割高と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見てみると、1200円付近に節目がある事がわかります。

 

月足移動平均線は、12MAと24MAが上向きですが、60MAは下向きです。

 

週足5年チャートを見ると1000円に節目があり直近3年では高値圏になって売られています。

 

週足移動平均線は、全て上向きなので中期的に見ても上昇傾向です。

 

また、23年になってから株価は節目の1000円を超えています。

 

次の節目は、1200円付近になるので、ここを固めれるかに注目です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上高の過去最高は2020年に2兆0730億円、営業利益の過去最高は2019年の1554億円です。

 

2020年まで4年連続増収、営業利益は少し頭打ち感はあります。

 

23年3月期の売上高は過去最高水準まで回復しました。

 

24年3月期は、売上高で過去最高を更新予想です。

 

国内建築事業で、手持ち大型工事の進捗が最盛期を迎えるからです。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:3.25%
  • ROE:5.52%
  • ROA:2.11%
  • EPS:76.7円

 

スーパーゼネコン5社の平均営業利益率は3.62%なので、ほぼ平均的な利益率です。

 

スーパーゼネコン5社の平均ROEは6.82%、平均ROAは2.74%なので、平均を下回る経営効率になります。

 

 

財務状況

引用:株探

  • 自己資本比率:38.2%
  • 有利子負債倍率:0.27倍

 

スーパーゼネコン5社の自己資本比率の平均が40.9%、有利子負債倍率の平均は0.44倍です。

 

大林組の自己資本比率は、平均を少し下回る自己資本比率です。

 

大林組の有利子負債倍率は、平均を少し大きく上回ります。

 

剰余金は毎年増えていますが、総資産に対して27.8%です。

 

自己資本比率が年々減少していて、有利子負債倍率が少し悪化しています。

 

しかし、有利子負債倍率が低水準で推移しているので倒産しにくいと言えます。

 

 

中期経営計画

大林組は2022年から2026年までの中期経営計画を発表しています。

 

投資計画

引用:大林組

 

財務指標

引用:大林組

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:42円(2024年3月期予定)
  • 配当利回:3.57%(23年6月9日終値)
  • 配当性向:54.7%

 

12年連続減配無しで、24年度は42円の配当維持予定です。

 

22年から配当の指標はDOE3%程度に設定しています。

 

DOE = 年間配当総額(中間+期末) ÷ {(前期末自己資本+当期末自己資本)÷2}

 

 

株主優待

残念ながら、大林組は株主優待の設定はありませんでした。

 

 

まとめ

大林組を買うなら、1200円付近を固めれるか確認して購入したい

 

月足移動平均線12MA、24MAと週足移動平均線は3本共上向きです。

 

株価は、直近3年の高値圏だった1000円や1100円を抜けて上昇しています。

 

また次の節目は、1200円台になります。

 

まずは、この1200円を固めれるかに注目です。

 

大林組の24年3月期の見通しは、売上高を過去最高予想です。

 

しかし工事損失引当金は減少していますが、大幅な減益予想です。

 

大林組の売上と利益の主軸は国内建築事業です。

 

24年3月期に国内建築事業で、手持ち大型工事の進捗が最盛期を迎えるとの事です。

 

24年3月期の見通しでは、不採算案件の売上が最盛期を迎えることで利益率の低下が見込まれています。

 

しかし、工事損失引当金を計上した案件の割合は、25年3月期も多いとの事です。

 

影響の度合いは、24年3月期がピークで、25年3月期には影響は若干低くなるとの事です。

 

影響が無くなるのが、26年3月期からになるようです。

 

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