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株価分析(建設・土木)

竹中工務店の特徴とまとめ【非上場の建築専業スーパーゼネコン】

竹中工務店の特徴をまとめていきます。

 

竹中工務店を5つのポイントで説明

  • 非上場の建築専業のゼネコンで売上と利益はスーパーゼネコン5社の中で5位
  • 海外事業はアメリカ、ヨーロッパ、東南アジアに進出
  • 売上と利益の主力は建設事業が開発事業の利益率の高さに注目
  • 経営効率と利益率はスーパーゼネコン5社の平均を下回る
  • 財務状況はスーパーゼネコン5社の平均を少し上回る

 

 

竹中工務店の概要

竹中工務店は、スーパーゼネコンの一角を担っていて、売上高、営業利益が共に5位(2022年度12月時点)です。

 

1610年に創業者の竹中藤兵衛正高が、名古屋で創業し寺社仏閣の造営をに携わります。

 

その後に、1909年に都市化し始めた神戸に進出して、竹中工務店を設立します。

 

創業の地は名古屋ですが、設立の地は神戸なので、在阪ゼネコンになります。

 

在阪ゼネコンですが、名古屋を始めとした東海圏でも強い地盤を持っています。

 

竹中工務店は、スーパーゼネコンの中でも建築専業ゼネコンとして有名です。

 

実際に、売上の95%以上を建築工事が占めています。

 

設計施工にこだわりをもっており、設計施工比率は約65%になります。

 

また、ランドマークとなる多くの建築物に強みを持っています。

 

主な手掛けた建築物は東京タワー、東京ミッドタウン、日本武道館、5大ドーム等があります。

 

竹中工務店は、トヨタ自動車、MUFG、朝日新聞社、明治安田生命、住友生命保険つながりが深い事でも有名です。

 

棟梁精神

竹中工務店は創業以来、棟梁精神を貫いてきました。

 

この棟梁精神とは、「建築を業とするものは建築の職人であって、営利のみを追求する商人であってはならない。利害を超越すべし。」と言う精神です。

 

棟梁精神のエピソードの1つに「工務店」と言う言葉を生み出した話があります。

 

「工務」には、設計と施工を一貫して請け負うことこそが建築の本来の姿であるという信念が込められています。

 

「店」には、お客様への奉仕を第一義とすることを示す名前です。

 

この「工務店」という名前は、竹中工務店の確固たる意志が表れている事が分かります。

 

また、手がけた建築物を「作品」と呼ぶ事も棟梁精神の表れです。

 

竹中工務店の技術力の高さが分かる様々な初

  • 日本初となる鉄筋コンクリート造の高島屋京都店
  • 日本初の空気膜構造による多目的スタジアムである東京ドーム
  • 日本初の屋根開閉式多目的スタジアムである福岡ドーム
  • 大阪に日本最大の超高層ビル「あべのハルカス」(2017年当時)
  • 世界一の高さの超高層免震マンションシティタワー西梅田

 

非上場を貫く

竹中工務店は、スーパーゼネコンの中で唯一の非上場企業です。

 

その理由は、竹中工務店が追及するのがいつの時代も「最良」と言われるような作品です。

 

つまり、社会を構成するあらゆる人にとっての「最良」となる作品です。

 

この姿勢を貫くために、株式を公開しない非上場での経営を行っています。

 

海外事業

海外事業は、1960年にアメリカ進出をきっかけに、22か国へ進出しています。

 

東南アジアには、1974年にタイ、インドネシア、シンガポールの東南アジアへ進出。

 

1990年にマレーシア、2003年に中国、2010年にインド、2017年にベトナムへ進出しています。

 

ヨーロッパには1973年にドイツに進出して以来、50年間で13か国に進出しています。

 

この50年間で生産施設、オフィス、研究施設、物流センターなど1500以上の工事を手掛けてきました。

 

 

事業セグメント

竹中工務店は、主に2つのセグメントから成り立っています。

 

  • 建設事業:建設事業を遂行している地域別の支店及び国内海外建設子会社
  • 開発事業:開発事業を遂行しているか発芽事業本部及び国内海外開発子会社
  • その他事業:不動産管理事業、保険代理事業等

 

竹中工務店の売上構成比率(2022年12月期)

 

売上の主軸は建設事業になっていて全体の約90.5%を占めています。

 

竹中工務店の利益構成比率(2022年12月期)

 

利益の主軸は、建設事業と開発事業になります。

 

建設事業の利益率は1%ですが、開発事業の利益率は19.1%です。

 

ゼネコンの決算を見る中で、重要なのが工事損失引当金です。

 

この工事損失引当金とは、工事に対して赤字の見通しが立った時、先に当期の損失として計上しておく事です。

 

つまり、かなり厳しい条件での受注や原材料や人件費の高騰、工事の進捗が悪化している事がわかります。

 

竹中工務店の工事損失引当金は、前年に比べて約2倍に増えています。

 

この工場損失引当金の金額は、スーパーゼネコンの中で4番目なので、堅実な受注状況と言えます。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:IR BANK

 

売上高の過去最高は22年12月期に1兆3754億円、営業利益の過去最高は17年12月期の1079億円です。

 

直近8年間の売上高は1兆2000~3700億円付近で推移しています。

 

営業利益は17年12月期に過去最高の1079億円ですが、そこから右肩下がりに減益しています。

 

直近の22年12月期の営業利益は283億円になっています。

 

経営効率

  • 営業利益率:2.1%
  • ROE:3.49%
  • ROA:1.74%

 

スーパーゼネコン5社の平均営業利益率は3.62%なので平均を下回る利益率です。

 

スーパーゼネコン5社の平均ROEは6.82%、平均ROAは2.74%なので平均を下回る経営効率になります。

 

 

財務状況

  • 自己資本比率:49.8%
  • 有利子負債倍率:0.50倍

 

スーパーゼネコン5社の自己資本比率の平均が40.9%、有利子負債倍率の平均は0.44倍です。

 

竹中工務店の自己資本比率は、平均を上回る自己資本比率です。

 

竹中工務店の有利子負債倍率は、平均を少し下回ります。

 

しかし自己資本比率は40%以上、有利子負債倍率は1倍以下だと一般的には優秀な財務基盤です。

 

これに対して、竹中工務店は大きく上回っているのでかなり優秀な財務基盤です。

 

利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。

 

剰余金は増加傾向で総資産に対して37.7%です。

 

 

成長戦略

竹中工務店は、2030年までの成長戦略を発表しています。

 

経営数値目標

引用:竹中工務店

 

 

まとめ

竹中工務店は、スーパーゼネコンの中でも珍しい建築専業のゼネコン。

 

竹中工務店自体は、建築専業ゼネコンとして土木工事は行いません。

 

しかし、竹中工務店グループの中に竹中土木があり、土木工事は竹中土木が請け負っています。

 

売上高と営業利益は、スーパーゼネコン5社の中で5番目になります。

 

しかし、売上高が1兆3000億円から頭打ち感が出ています。

 

また、営業利益は2017年の1079億円から右肩下がりになっています。

 

財務体質は、スーパーゼネコン5社の中で平均的です。

 

剰余金は増加傾向で総資産に対して37.7%です。

 

竹中工務店の工事損失引当金は、前年に比べて約2倍に増えています。

 

この工場損失引当金の金額は、スーパーゼネコンの中で4番目なので、堅実な受注状況と言えます。

 

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