鹿島建設(1803)の株価を分析していきます。
鹿島建設を5つのポイントで説明
- 様々な日本初を持つ技術力と総合力の高さ
- 海外売上比率は30%でアメリカや東南アジアに強み
- 土木事業に強みを持っていて、今後は不動産等の開発に注力
- コロナショック後、スーパーゼネコンの中で一番株価のパフォーマンスが良い
- 1400円付近で反発したところを確認して買いたい
鹿島建設の概要
鹿島建設は、海外売上高30%を占めるスーパーゼネコン。
創業当時から現在まで、新たな領域に挑戦してきた「パイオニア精神」と「現場第一主義」を大切にしていて、数々の難工事をこなしてきました。
超高層ビル、原子力発電所やダム、上下水道、トンネルの土木工事が得意分野なので「西洋建築の鹿島」、「原発の鹿島」「鉄道の鹿島」、「土木の鹿島」、「ダムの鹿島」、「超高層の鹿島」と言われています。
手掛けた物件の品質の高さから「技術の鹿島」と今では言われるようになりました。
鹿島建設の技術力の高さとパイオニア精神が分かる様々な日本初
- 日本初の鉄道工事請負
- 日本初のコンクリートダム「高堰堤大峯ダム」
- 日本初の研究所「鹿島建設技術研究所」
- 日本初の原子炉「日本原子力研究所第一号原子炉」
- 日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」
- 日本初のアーチダム「九州電力上椎葉ダム」
- 日本初の高速道路「名神高速道路山科工区」
- 日本初ビル解体工法「カットアンドダウン工法」
- 日本建設業初のアメリカ現地法人の設立
業界トップの技術研究所やグループ企業の多さから、「総合力の鹿島」としても有名です。
海外進出
また日本のゼネコンでは、いち早く海外進出しています。
アメリカでは、リトルトーキョーをきっかけに進出しています。
今では現地の企業の向上やオフィス、ホテル、住宅等を手掛けています。
さらにリピート率7割を超える高い評価を受けてます。
東南アジアでは、鹿島建設が得意な土木工事技術が認められて、ダムや発電所、ドッグ工事を受注しています。
宇宙事業
2016年にJAXAと月や火星での宇宙工事を目指す共同研究を進めています。
これは鹿島建設が開発した、建設機械の自動動化技術を中心として、次世代建設生産システム「クアッドアクセル」を活用されています。
「クアッドアクセル」とは、タブレット端末で複数の建設機械に作業計画を指示することで、無人で自動運転を行うシステムです。
引用:鹿島建設
事業セグメント
鹿島建設は、主に5つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:土木工事に関する事業
- 建築事業:建築工事に関する事業
- 開発事業等:不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業等
- 国内関係会社:主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等
- 海外関係会社:北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等
鹿島建設の売上構成比率(2022年3月)
売上の主軸は国内建築事業ですが、海外での建築不動産開発に強みを持っています。
22年3月期の海外での売上高比率は30%になりました。
手掛けた国は69か国ありますが、アメリカがそのうちの50%を占めているので、特にアメリカに強いとも言えます。
鹿島建設の利益構成比率(2022年3月)
鹿島建設の利益の主軸は、建築事業で全体の40.5%を占めています。
その次に大きいのが土木事業で利益率は、前期より下がりましたが7.2%です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:8.1倍
- PBR:0.73倍
建設業の平均PERが9.7倍、PBRが0.9倍なので株価は割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近3年はほぼ横ばいになっています。
60MAは横ばいですが、12MAが24MAを割り込もうとしています。
週足5年チャートを見ると1400円に節目があることが分かります。
しかし13MAは下落傾向に転換しようとしています。
まずこの1400円でしっかり反発出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1993年に2兆1996億円、経常利益の過去最高は2018年の1583億円。
23年3月期の売上は過去最高を更新予想です。
北米を中心に流通倉庫開発事業等で物件売却や東南アジアでの事業回復を見通しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.76%
- ROE:8.99%
- ROA:3.64%
- EPS:172.6円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率が低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので今期の経営効率は平均をほぼ並みです。
しかし、年々ROE、ROAが低下しているのも注意です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:40.5%
- 有利子負債倍率:0.38倍
100億円以上の建設業の平均が44%なので平均より少し低いです。
剰余金は毎年増えていて総資産に対して31.2%あります。
自己資本比率も有利子負債倍率も年々改善傾向にあるで倒産しにくいと言えます。
中期経営計画
利益目標
引用:鹿島建設
経営数値目標
引用:鹿島建設
投資計画
引用:鹿島建設
投資計画は、国内外の開発事業に6400億円を投じるとなっています。
この開発事業とは不動産開発事業の事です。
22年3月期決算での開発事業の利益率は21.5%です。
特に海外に4500億円投資するとの事なので、いかに鹿島建設が世界に目を向けているかがわかります。
株主還元方針
引用:鹿島建設
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:58円(2023年3月期予定)
- 配当利回:4.15%(22年5月13日終値)
- 配当性向:33.6%
10年連続減配無しで、23年3月期は58円を予定しています。
2023年までは中期経営計画で連結配当性向30%を目安としています。
株主優待
残念ながら、鹿島建設は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
鹿島建設を買うなら、1400円の反発を確認してから買いたい。
週足5年チャートを見ても直近2年は1400円が節目になっていました。
1400円でしっかり反発出来れば買いを検討していいと思います。
現在の配当利回りは4.15%と高配当銘柄で、配当性向は33.6%とまだまだ増配余力もあります。
10年連続減配していないのは安心材料だと思います。
国内事業は、人件費の高騰や人材不足などの課題が今後もあります。
しかしクアッドアクセルに代表されるように、様々な工程でデジタル化や無人化を進めて対策をしています。
土木や耐震技術に評価の高い鹿島建設は、今後の「国土強靭化計画」でしっかり恩恵を受けと予想されます。
海外事業は、売上は全体の30%と年々成長しています。
また23年3月期も海外事業の売上は、過去最高を更新予想です。
社長も「海外の売上を4割から5割まで」と言っているので、今後の海外展開も期待できます。
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