長谷工コーポレーション(1808)を銘柄分析していきます。
長谷工コーポレーションを6つのポイントで説明
- マンションゼネコン首位
- 利益率の高さの理由は、自社の仕様商品でコストダウンと用地取得から管理まで一貫して請負った特命受注
- 25年までの中期経営計画では総配当性向40%程度、1株70円の普通配当を下限に設定
- 自己資本比率やROE、ROAは平均よりも高く財務優良企業
- 国内は中四国、九州にもマンション分譲エリアを拡大、海外はアメリカ、東南アジアの不動産事業や建設事業に進出中
- 株価の方向感を見て買いたい
長谷工の概要
長谷工は、兵庫県尼崎市で創業されたゼネコン・ディベロッパーです。
マンション建設の実績だけでなく、用地調達力もゼネコンの中ではNO1と言っても過言ではありません。
実際に、マンション供給戸数NO.1「プレサンスコーポレーション」の主要仕入れ先に長谷工が入っています。
主要株主、主要販売先の中には、新築分譲マンション供給首位の住友不動産がいます。
株価や業績の指標を見る上でも関連してくると思います。
また自身の用地調達能力を活かして特命受注もしくは、不動産仲介の強みを発揮しています。
海外では、ハワイのオアフ島で戸建や商業施設の建設も受注しています。
また、カリフォリニアでの不動産開発へ参画するなど、海外への進出も始めています。
特命受注
通常はディベロッパーが用地を見つけて各ゼネコンへ見積もりを出して建設すると言う流れです。
長谷工の場合は、長谷工が用地を見つけて各DVに案件紹介をする特命受注が強みです。
この特命受注は、用地の調達をして事業計画の提案をして建設するだけではありません。
その後の販売や管理や修繕まで一貫して請負っています。
長谷工が請け負ったマンションは、多くのマンション建設で培ったノウハウを反映させた「長谷工仕様」を採用する事で利益率の高さを確保しています。
またグループ会社には、建材商社や広告代理店、人材派遣や機材のリースなどの会社があります。
ただ建てるだけでなく、建てる物件に関わりのある事を囲い込みしています。
四位一体
長谷工には、建設部門、設計部門、技術推進部門、協力会社組織の建栄会があります。
この四位一体となった、品質管理体制や生産性の効率の向上も強みです。
電脳マンション
2020年11月に「電脳マンション」を開発していて、東京都板橋区の学生マンションで導入済みです。
電脳マンションとは、建物が各種センサーで情報を収集するだけではありません。
気象や室内環境のデータから補修時期を判断して、住民の生活パターンから必要な設備を提案するマンションです。
事業セグメント
長谷工コーポレーションは、建設、不動産、サービス、海外の4つのセグメントで成り立っています。
引用:長谷工コーポレーション
- 建設関連セグメント:マンションの工事、施工
- 不動産関連セグメント:新築分譲マンションや賃貸マンションの販売
- サービス関連セグメント:新築分譲マンション販売受託、大規模修繕工事やリフォーム、マンションの運営管理
- 海外関連セグメント:東南アジアではベトナム、インドネシアでの建設事業の新規開拓やアメリカではハワイのオアフ島の戸建分譲やカリフォルニアで不動産開発
売上構成比率(2021年3月)
売上の主軸は建設関連事業になっています。
利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も建設関連事業になっています。
海外関連事業は、21年3月期は11億円の赤字になってます。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:8.0倍
- PBR:1.03倍
建設業の平均PERは9.8倍、PBRは0.9倍なので、現在の株価は妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、980円が下値目途になっています。
週足5年チャートを見ると、現在の株価1475円付近が近年の上値目途になっています。
月足、週足の移動平均線は全て上向きなので、上昇傾向になります。
週足移動平均乖離率は、過去に10%以上になると売られる傾向にあるので要注意です。
直近は1460円で反発しているので、ここが分岐点になりそうです。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2019年の8909億円、経常利益の過去最高は2018年の1008億円です。
売上高は頭打ち感があり、営業利益は年々減少しています。
22年の決算予想では、売上高5%増、営業利益7%増の増収増益の予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:9.18%
- ROE:12.93%
- ROA:5.35%
- EPS:184.5円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%、準大手・中堅ゼネコン18社の平均営業利益率は6%です。
直近3年で見ると営業利益率が下がっていますが、平均よりも利益率が高いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので経営効率の高い企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:41.4%
- 有利子負債倍率:0.68倍
自己資本比率は、100億円以上の建設業の平均が44%ですので平均より少し低いです。
しかし、40%以上あるので倒産しにくいと考えられます。
さらに余剰金は毎年増加していて、総資産に対して38%もあります。
有利子負債倍率も1倍以下なので倒産しにくいです。
危険ラインではないですが、自己資本比率と有利子負債倍率が悪化しているので注意が必要です。
中期経営計画
数値目標
引用:長谷工コーポレーション
25年に連結経常利益を1000億円、30年に1500億円を目指しています。
投資計画
引用:長谷工コーポレーション
海外も含めた不動産開発関連に1800億円を投入しています。
いかに、マンション建設に力を入れているかが分かります。
株主還元方針
引用:長谷工コーポレーション
25年まで、配当の下限を70円としてくれているのは、高配当銘柄が好きな人には朗報です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:70円(22年3月予想)
- 配当利回:4.75%(21年5月13日終値)
- 配当性向:37.9%
配当利回が3%を超えているので高配当銘柄になります。
2025年までの中期経営計画で、1株当たりの年間配当を70円の配当を下限としています。
また総還元性向を40%程度に設定していて、今期も9月30日まで自社株買いも行っています。
株主優待
100株以上保有で優待を受ける事ができます。
3月
- 長谷工リフォームで100万円以上の室内リフォーム工事代金が3%割引
- 長谷工リアルエステートで不動産売買の仲介手数料(税抜)5%割引
- 自社子会社高齢者住宅、老人ホーム入居一時金1%割引
9月
- 滋賀県上田上産コシヒカリ(5kgまたは10kg)を20%割引販売、購入者の希望で米ぬか
まとめ
長谷工コーポレーションを配当目的で買うなら、現在の株価の方向感が決まってから買いたい。
個人的には、1100円くらいで購入して配当目的で保有するより、1500円くらいで売れればいいなと思います。
利益率、ROE、ROA、自己資本比率など、どれをとっても長谷工は他のゼネコンと比べて優秀です。
ただし、営業利益が頭打ちになっているのと財務が悪化している事は頭に入れておきたいです。
月足、週足の移動平均線は全て上向きなので上昇傾向です。
しかし、1460円付近が直近の分岐点なので様子を見たいです。
今後は分譲マンションでもタワーマンションや複合施設などの付加価値のある物件や賃貸マンション、ホテル、物流センターなどの非住宅分野の受注拡大を目指しています。
全国で再開発案件が今後確実に出てきます。
再開発案件では、長谷工の武器である用地調達能力が十分に発揮できるとは思いません。
しかし、運営管理と言ったノウハウを武器に確実に絡んでくると思います。
また、分譲・賃貸のマンション管理戸数、大規模修繕・リフォーム受注高はこの5年間で着実に伸ばしています。
日本のマンションは今後建て替えの時期にさしかかっています。
30年以上経った団地型マンションの管理をして建て替え需要に備えているのではないかと感じました。
そういった事を含めて考えると、中期経営計画の達成は、簡単ではありませんが、かなり困難という事ではありません。
こちらもCHECK
-
住友不動産(8830)の株価分析と特徴【7年以内に配当金の倍増を宣言】
住友不動産(8830)の株価分析と特徴をまとめていきます。 住友不動産を5つのポイントで説明 売上と利益の主力はオフィスビルを中心とした不動産賃貸事業 当期純利益は10期連続最高益を更新 ...
続きを見る