株価分析(建設・土木)

矢作建設工業(1870)の株価を分析【高配当銘柄】

矢作建設工業(1870)を株価分析していきます。

 

矢作建設工業を5つのポイントで説明

  • 配当は9年間減配無し
  • 独自の防災や減災技術で耐震工事や国土強靭化計画の受注拡大中
  • 売上の主軸は大手DVのマンション受注による民間建築
  • 近年では物流センター等の非住宅部門の建設にも注力
  • 700円から750円付近で段階的に買いたい

 

 

矢作建設工業の概要

矢作建設工業は、名古屋市に本社を置く名古屋鉄道グループのゼネコンです。

 

2003年にゼネコンでは珍しく公共工事の割合を減らしてマンション建設や耐震工事などの民間建設工事に注力してます。

 

マンション建設では2017年頃に長谷工からの首位を奪還して東海エリアNO1のゼネコンになりました。

 

東海エリア最大級の自社設計部隊の提案力に強みがあります。

 

さらに、設計施工を一貫した特命受注や設計のみの提案も行う事で利益を稼いでます。

 

民間建築のマンション案件の多くは、全国DVの野村不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産等がメインになります。

 

グループ会社に矢作地所ブランドの「バンベールシリーズ」のマンションがあります。

 

これは、全国DVのマンション建設で培ったノウハウを反映させた物件となっていて好評です。

 

 

東海地区のタワーマンション案件は、清水建設や長谷工や三井住友建設等に取られているのが現状です。

 

マンション以外の民間建築では、豊田スタジアム、ラシック(名古屋の商業施設)、IKEA、様々な企業の物流センターを手掛けていています。

 

名鉄関連では、駅だけでなく「ホテルミュッセ銀座名鉄」「中部セントレアホテル」などの実績があるので、非住宅分野にも注力しています。

 

土木建築では、独自の耐震技術をもっており、国土強靭化計画に向けて工事を受注拡大しています。

 

それだけでなく、リニア新幹線の土木工事も矢作建設が他のゼネコンとJVで落札しています。

 

 

事業セグメント

矢作建設工業は、建築、土木、不動産の3つのセグメントで成り立っています。

  • 建築セグメント:民間建設のマンション建設が売上の主力
  • 土木セグメント:官庁関係の工事だけでなく、鉄道高架化工事や造成工事が売上の主力
  • 不動産セグメント:子会社の矢作地所が手掛ける自社ブランドの新築分譲マンションが売上の主力

 

セグメント別売上比率(2021年3月期)

 

矢作建設工業の主力事業は、建築工事になり全体の55%を占めています。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足3年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:10.2倍
  • PBR:0.64倍

 

建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍なので、株価はほぼ妥当と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見ると650円から1100円のボックス相場になっています。

 

週足5年チャートを見ると、17年から2年半下落傾向にありましたが、19年半ばから反発しています。

 

また近年の上値目途は、900円付近になっていることが分かります。

 

ただし、今の株価800円も節目になるので、ここを踏ん張れるかが重要です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上の過去最高は2020年の1066億円、経常利益の過去最高は2020年の78億円です。

 

22年の決算予想では、建設事業の繰越工事の大幅な減収で、減収減益予想です。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:5.21%
  • ROE:6.22%
  • ROA:2.62%
  • EPS:78.3円

 

上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率が低いです。

 

上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので経営効率は平均より少し低いです。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:42.1%
  • 有利子負債倍率:0.79倍

 

100億円以上の建設業の平均自己資本比率が44%なので平均より少し低いです。

 

しかし、40%以上あるので倒産しにくいと考えられます。

 

さらに剰余金は毎年増えていて、総資産に対して35%あります。

 

有利子負債倍率も1倍以下なので倒産しにくいと言えます。

 

中期経営計画

数値目標

引用:矢作建設工業

 

株主還元方針

引用:矢作建設工業

 

「連結業績や財務状況を勘案しながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施」とあります。

 

また、自社株買いについては「必要に応じて臨機応変に実施を検討」と触れています。

 

投資計画

引用:矢作建設工業

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:34円(22年3月予想)
  • 配当利回:4.24%(21年5月10日終値)
  • 配当性向:43.4%

 

直近10年で見ると、9年連続減配をしていません。

 

配当利回が3%を超えているので高配当銘柄の部類になると思います。

 

しかし配当性向が国内上場企業の平均が30%に対して43.4%です。

 

40%台は危険ではありませんが、配当性向を30%以上としているので大幅に上回ります。

 

株主優待

残念ながら、矢作建設工業は株主優待の設定はありませんでした。

 

 

まとめ

矢作建設工業を買うなら、750円から700円の間で段階的に買いたい。

 

チャートを見ると、週足移動平均線は3本とも下向きなので、しばらくは下落傾向にあります。

 

現在の株価800円付近は、節目になっているので踏ん張れるか注意です。

 

踏ん張れない場合、次の下値目途として、700円から750円付近が節目になっています。

 

まずは、ここまで待ってから買いを検討したいです。

 

 

今後の伸びしろは、本社が名古屋なので東海エリアの民間建築需要に大きく左右されてくると思います。

 

東海エリアで分譲マンション案件を獲得するか、自社の不動産開発が出来るかがカギになってきます。

 

長期的に見ると人口減少に伴いマンションの需要は確実に減っていきます。

 

マンション建設のウェイトが重い矢作建設にとっては厳しい将来になるかもしれません。

 

 

東海地区はリニア開通や再開発事業の需要はまだまだあります。

 

さらに非住宅分野への受注強化を図っています。

 

実際に物流施設、ホテル、商業施設の受注をして打開策を打っています。

 

 

愛知県は名鉄が圧倒的強い地域なので、名鉄のグループ企業の案件は継続的にあると思います。

 

再開発案件では地場企業が関わってくる事を考えれば大きく売り上げが落ちる心配はないと思います。

 

 

また独自の耐震技術で民間建築の受注も増えているので、国土強靭化計画の関連銘柄として活躍も期待できます。

 

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