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株価分析(建設・土木)

矢作建設工業(1870)の株価分析と特徴【4期ぶり最高益で大幅増配】

矢作建設工業(1870)の株価分析と特徴をまとめていきます。

 

矢作建設工業を5つのポイントで説明

  • 配当金は10年間減配無し
  • 独自の防災や減災技術で耐震工事や国土強靭化計画の受注拡大中
  • 売上の主軸は大手DVのマンション受注による民間建築
  • 近年では物流センター等の非住宅部門の建設にも注力
  • 株価1000円台を維持できるかに注目

 

 

矢作建設工業の概要

矢作建設工業は、名古屋市に本社を置く名古屋鉄道グループのゼネコンです。

 

2003年にゼネコンでは珍しく公共工事の割合を減らしてマンション建設や耐震工事などの民間建設工事に注力してます。

 

東海圏のマンション建設では2017年頃に長谷工からの首位を奪還して東海エリアNO1のゼネコンです。

 

矢作建設工業の強みは、東海エリア最大級の自社設計部隊の提案力です。

 

さらに、設計施工を一貫した特命受注や設計のみの提案も行う事で利益を稼いでます。

 

民間建築のマンション案件の多くは、大手ディベロッパーの野村不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産等がメインになります。

 

グループ会社に矢作地所ブランドの「バンベールシリーズ」のマンションがあります。

 

このシリーズは、大手ディベロッパーのマンション建設で培ったノウハウを反映させています。

 

東海地区のタワーマンション案件は、清水建設や長谷工や三井住友建設等に取られているのが現状です。

 

東海地区でタワーマンションが増える中で、矢作建設工業もタワーマンションの建設にされています。

 

マンション以外の民間建築では、豊田スタジアム、ラシック(商業施設)、IKEA、様々な企業の物流センターを手掛けていています。

 

名鉄関連では、駅だけでな「ホテルミュッセ銀座名鉄」や「中部セントレアホテル」などの実績があるので、非住宅分野にも注力しています。

 

土木建築では、独自の耐震技術をもっており、国土強靭化計画に向けて工事を受注拡大しています。

 

防災・減災事業

引用:矢作建設工業

 

矢作建設工業の耐震補強技術は、学校や庁舎など公共施設を中心に日本全国で4000件以上採用されています。

 

東日本大震災や熊本地震で、震度6以上が観測された地域内に同工法での補強建物が44 件(東日本大震災37 件、熊本地震7件)ありました。

 

しかし、 1棟も倒壊することなく、その耐震性能が実証されています。

 

耐震補強

引用:矢作建設工業

 

矢作建設工業は、地震に対する技術の研究開発に積極的に取り組んでいます。

 

1996年に、矢作建設工業独自の完全外付耐震補強工法のピタコラム工法を開発しました。

 

このピタコラム工法は、外部作業のみで建築物の耐震性能を大幅に向上させることができる鉄筋コンクリート建物向けの耐震補強工法です。

 

急斜面地補強

引用:矢作建設工業

 

矢作建設工業は、地すべりや落石などの斜面災害から人々の生活を守る急斜面地補強技術にも注力しています。

 

その中でも矢作建設工業は、パンウォール工法を開発しています。

 

このパンウォール工法は、新築道路築造に伴う擁壁工事、山間部における道路拡張や土砂災害復旧工事などの多様な施工条件に対応できます。

 

また逆巻き施工を基本とした安全性の高い工法です。

 

北和建設を子会社化

2023年に矢作建設工業は、北和建設の全株式を取得し、完全子会社化しました。

 

北和建設は、学生マンション「ナジック」を運営する学生情報センター(東急不動産HDのグループ会社)の完全子会社でした。

 

北和建設は、1975年に全国で初めて学生マンションを手掛けました。

 

この全国初の学生マンションは「ナジック」の原点になります。

 

京都を中心に関西圏に強みを持っていて、マンション、ホテル、福祉施設の建築を得意としています。

 

今後は、矢作建設工業の関西圏での商圏の拡大にも注目です。

 

 

事業セグメント

矢作建設工業は、建築、土木、不動産の3つのセグメントで成り立っています。

 

  • 建築セグメント:民間建設のマンション建設が売上の主力
  • 土木セグメント:官庁関係の工事だけでなく、鉄道高架化工事や造成工事が売上の主力
  • 不動産セグメント:子会社の矢作地所が手掛ける自社ブランドの新築分譲マンションが売上の主力

 

矢作建設工業の売上構成比率(2023年3月期)

 

矢作建設工業の売上の主力は、建築工事になり全体の59.6%を占めています。

 

矢作建設工業の利益構成比率(2023年3月期)

 

矢作建設工業の利益構成比率を見てみると、バランスのとれた構成比率になっています。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

 

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:7.4倍
  • PBR:0.78倍

 

建設業の平均PERが11.4倍、PBRが0.9倍なので、株価は割安と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見ると650円から1100円のボックス相場になっています。

 

月足移動平均線は、2019年頃から60MAが右肩下がりになっていました。

 

しかし、2023年4月になって3本共上向き始めています。

 

週足5年チャートを見ると、700円を割り込むと反発しています。

 

また、週足移動平均線も3本共上向きになっているので上昇傾向です。

 

月足10年チャートを見ると1100円を超えると高値圏になりそこから下落しています。

 

まずは、今の株価1000円台を継続できるかに注目です。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上の過去最高は2023年の1111億円、営業利益の過去最高は2020年の77億円です。

 

24年3月期の売上高と営業利益は、過去最高を更新予想です。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:7.79%
  • ROE:10.43%
  • ROA:4.85%
  • EPS:146.5円

 

上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので経営効率は平均より少し低いです。

 

上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率は平均的です。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:46.5%
  • 有利子負債倍率:0.53倍

 

100億円以上の建設業の平均自己資本比率が44%なので平均的な自己資本比率です。

 

有利子倍率は、0.53倍と健全です。

 

利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。

 

剰余金は増加傾向で、総資産に対して39.9%になっています。

 

 

中期経営計画

数値目標

引用:矢作建設工業

 

株主還元方針

引用:矢作建設工業

 

「連結業績や財務状況を勘案しながら、継続的かつ安定的な株主還元を実施」とあります。

 

また、自社株買いについては「必要に応じて臨機応変に実施を検討」と触れています。

 

投資計画

引用:矢作建設工業

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:60円(2024年3月期予定)
  • 配当利回:5.50%(23年5月26日終値)
  • 配当性向:40.9%

 

直近10年で見ると、10年間減配をしていません。

 

配当利回が5%を超えているので高配当銘柄の部類になると思います。

 

株主優待

残念ながら、矢作建設工業は株主優待の設定はありませんでした。

 

 

まとめ

矢作建設工業を買うなら、1000円台を3か月以上維持した事を確認して買いたい。

 

月足10年チャートを見ると、1000円台を過去に3回つけています。

 

しかし、3か月後には株価は下落しているので注意が必要です。

 

週足5年チャートを見ると、週足移動平均線は3本とも上向きです。

 

東海地区はリニア開通や再開発事業の需要はまだまだあります。

 

その中で矢作建設工業は、非住宅分野への受注強化を図っています。

 

実際に物流施設、ホテル、商業施設の受注をして打開策を打っています。

 

愛知県は名鉄が強い地域なので、名鉄のグループ企業の案件は継続的にあると思います。

 

また独自の耐震技術で民間建築の受注も増えています。

 

国土強靭化計画の耐震や防災関連銘柄として期待できます。

 

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