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株価分析(建設・土木)

錢高組(1811)の株価を分析【バリュー銘柄】

錢高組(1811)の株価を分析していきます。

 

錢高組を5つのポイントで説明

  • 民間建築に比重を置く中堅ゼネコン
  • 土木工事は橋梁やトンネル工事に強み
  • 財務状況は健全だが配当目的には向かない
  • 現在の4000円を固めて購入してもいいが下落傾向
  • 直近5年のチャートを見ると1000円単位で節目が出来ている

 

 

錢高組の概要

錢高組は、建築事業が7割、土木事業が3割の民間建築に比重を置いている中堅ゼネコンです。

 

創業1705年の歴史あるゼネコンで、竹中工務店・奥村組・浅沼組・鴻池組と並ぶ在阪ゼネコンです。

 

 

建築工事では、免震技術と地下大空間建築に強みを持っています。

 

国立国際美術館では、世界的にも珍しい完全地下型の現代美術館になっています。

 

 

土木工事では、橋梁工事とシールド技術に強みをもっています。

 

錢高組は「橋の錢高組」といわれていて、全国で数多くの橋梁工事を請け負ってきました。

 

1924年「滋賀県の瀬田橋梁架替工事」を施工したのをきっかけに橋梁工事の歴史が始まります。

 

1931年には、民間請負初のニューマチックケーソン工法で「吾妻橋」を手掛けています。

 

日本最大級の跳開橋として重要文化財に指定された「勝鬨橋」を施工したのも錢高組です。

 

錢高組は、その時代の新しい技術や工法を駆使して全国で数多くの橋梁工事を手掛けています。

 

 

また海外は、ハノイ・マニラ・ホーチミン・ミャンマー・アフリカに進出しています。

 

錢高組の免震技術

錢高組免震構法

引用:錢高組

 

強い地震力を受けると免震装置は変形します。

 

しかしその上部の建物はほとんど変形せず、ゆっくりと左右に平行移動します。

 

その結果、建物はもちろん、内部の人や備品の安全も確保出来ます。

 

高引抜き対応型免震装置

引用:錢高組

 

高引抜き対応型免震装置は、高層建物に対しての合理的な免震構法として有名です。

 

ゴムリング、ワッシャー、内部鋼リングから成る「SWCCリング」と呼ぶ特殊なデバイスがあります。

 

これを免震装置の取付けボルトとフランジプレートの間に入れます。

 

地震時の免震装置の浮き上がりを許容し、積層ゴムに作用する引っ張り力を緩和させることができます。

 

アフリカ最大級、120年耐用の橋梁工事

引用:錢高組

 

2018年10月、世界最長の大河のナイル川に「ナイル川源流橋」が開通しました。

 

ウガンダ共和国の最重要国家プロジェクトと位置付けられた橋梁を手がけたのが錢高組です。

 

この橋梁は最大支間長290mで東アフリカ地域最大の支間長になります。

 

日系企業が施工した同じ形式の橋の中では世界第3位の支間長です。

 

 

事業セグメント

錢高組は、主に2つのセグメントから成り立っています。

 

  • 建設事業:土木・建築その他建設工事全般に関する事業
  • 不動産事業:不動産の売買、賃貸、仲介並びに管理等に関する事業

 

錢高組の売上構成比率(2021年3月)

 

売上高の主軸は建設事業になり、全体の約97%を占めています。

 

建設事業の内訳は、建築工事が68.3%、土木工事が28.8%になっています。

 

また受注先は、民間が69.3%、官公庁が30.7%になっています。

 

中堅ゼネコン8社の建築工事の比率43%なので、銭高組は民間建築に注力しているゼネコンです。

 

 

錢高組の利益構成比率(2021年3月)

 

利益の主軸も建築事業になり、全体の約60%を占めています。

 

21年3月期の建設事業の利益率は3%、不動産事業の利益率は66.6%になっています。

 

 

株価の推移

月足10年チャート

引用:株探

週足5年チャート

引用:株探

 

株価指標

  • PER:14.4倍
  • PBR:0.4倍

 

建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割安と判断されています。

 

チャート分析

月足10年チャートを見ると、株価4000円付近が節目になっています。

 

 

またコロナショックを除くと現在の株価は底値圏です。

 

 

ただし月足移動平均線は、12MAと24MAが60MAを割り込んでいます。

 

週足移動平均線も13MAと26MAが下向きになっていて、ローソク足は52MAを割り込んでいます。

 

 

過去5年を見てみると4000円、5000円、6000円が節目になっている事が分かります。

 

現在の株価4000円を割り込めば次は3000円が下値目途になりそうです。

 

逆に4000円から反発していけば5000円が利益確定の検討ができます。

 

 

業績と収益性の推移

売上高と営業利益

引用:株探

 

売上高の過去最高は1992年に3280億円、営業利益の過去最高は1996年の177億円です。

 

21年3月期の決算は大幅な減収減益、22年3月期も減収減益予想です。

 

特に大幅な減益もあって、EPSも大幅に減少する見込みです。

 

経営効率

引用:株探

 

  • 営業利益率:2.25%
  • ROE:2.75
  • ROA:1.38%
  • EPS:280.6

 

上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を大きく下回る企業になります。

 

中堅ゼネコン8社の平均営業利益率は4.9%なので、昨年の決算では平均的な企業でした。

 

しかし22年3月予想では、かなり低い利益率です。

 

 

財務状況

引用:株探

 

  • 自己資本比率:48.6
  • 有利子負債倍率:0.18

 

100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を少し上回る企業です。

 

直近3年の自己資本比率は改善傾向にあり、有利子倍率も減少傾向で、1倍以下の0.18倍です。

 

余剰金は増加傾向になっていて、総資産に対して48.6%なので財務状況は優秀な企業です。

 

 

投資CFと財務CFはマイナスになっていて、安定しています。

 

21年3月期の営業CFは売上債権の減少で大幅にプラスになっています。

 

 

中期経営計画

錢高組は、2022年に向けた中期経営計画を策定しています。

 

 経営数値目標

引用:銭高組

 

中期経営計画の目標数値の修正は出ていませんが、21年度の売上高は未達です。

 

また22年度は売上高、営業利益でも未達の予想なので、中期経営計画の達成はかなり厳しいです。

 

株主還元方針

引用:錢高組

 

株主還元に関しては、安定的な配当を継続することを基本方針にしています。

 

しかし、配当性向は明確に出ていません。

 

 

配当金の推移と株主優待

配当金の推移

引用:バフェットコード

 

  • 配当金:未定
  • 配当利回:ー
  • 配当性向:ー

 

錢高組の配当は、年1回の期末配当のみの実施になっています。

 

 

20年3月期実績は、1株当たり普通配当50円と特別配当50円を合わせた100円でした。

 

22年3月期の予想EPSが280.6円なので、配当維持だとすると配当性向は25.6%になります。

 

 

但し、50円は特別配当なので業績の状況によって無くなる可能性があります。

 

22年度3月が大幅な減益予想なので、普通配当50円のみで考えた方がいいです。

 

株主優待

残念ながら銭高組は、株主優待の設定がありませんでした。

 

 

まとめ

錢高組を買うなら、まず4000円を固めてから購入したい。

 

22年3月期は減収減益予想で、特に大幅な減益予想になっています。

 

 

チャートを見ても月足と週足の移動平均線を見ると上昇傾向とは言えません。

 

しかし現在の4000円が節目になっていて、1000円ごとに節目になっているのが分かります。

 

財務状況ですが自己資本比率、有利子負債倍率が改善傾向、余剰金は優秀な数値になっています。

 

 

配当に関しては、錢高組は期末配当のみの実施です。

 

22年度3月期は未定となっていますが、配当維持だとしても問題ありません。

 

しかしEPSが大きく減少予想であることと、普通配当と特別配当になっている事は注意が必要です。

 

 

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