五洋建設(1893)の株価を分析していきます。
五洋建設を5つのポイントで説明
- 海洋土木首位だけでなく海外にも強み
- 今後は洋上風力発電の建設工事に注力
- 売上と利益共に国内土木事業が主軸
- 財務状況に問題はなく経営効率も平均以上
- ダブルトップのネックラインを割ったので方向性を見たい
五洋建設の概要
五洋建設は、海外大型工事の先駆けで、海洋土木(マリコン)の最大手として有名な企業です。
メモ
マリコンとは、ゼネコンの中で、特に海洋関係の土木工事・港湾施設・建築の建設工事を中心とする建設業者の事です。
工事内容は、埋立・浚渫、護岸・防波堤、海底工事、橋梁基礎工事、海底トンネル工事などの海洋土木工事全般および港湾施設の建築工事を請け負います。
五洋建設は、海外に強みを持っています。
国際部門シンガポール本社をはじめ、香港・マレーシア・イラン・エジプト等の11か国に拠点を持っています。
特にシンガポールと香港では、空港・劇場・病院・美術館・地下鉄など多くの大型案件の実績があります。
その他にもイランやマレーシアなど多くの国で土木工事を受注しています。
洋上風力
引用:五洋建設
作業船をすでに持っているので、今後の洋上風力発電施設の建設工事案件に期待出来ます。
スエズ運河改修プロジェクト
引用:五洋建設
五洋建設を知るうえで欠かせないのが、1961年から約20年に渡る「スエズ運河改修プロジェクト」です。
スエズ運河全線の複線化と大型タンカーが通れるように、水深7.9Mを水深14.5Mに深める工事です。
さらに1974年には、超大規模なスエズ運河拡幅増深工事の第1期工事を506億円で受注。
工事の内容は、運河の幅員70mから160mへ拡幅して、15万トンの船が通過できるようにする事でした。
この当時、受注額500億円を超える工事は例がなく、日本の建設業界では戦後最大の海外工事。
10億円超えの5000馬力のタービンポンプ式浚渫船、悪魔の岩盤、50℃以上の灼熱、第三次中東戦争などの様々な困難を乗り越え、世界に五洋建設の名前を広めるきっかけになりました。
事業セグメント
五洋建設は、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 国内土木事業:国内における土木工事の請負及び付帯する事業
- 国内建築事業:国内における建築工事の請負及び付帯する事業
- 海外建設事業:海外における土木・建築工事の請負及び付帯する事業
- その他:国内開発事業、造船事業、事務機器などのリース事業、保険代理店事業及び環境関連事業
五洋建設の売上構成比率(2021年3月)
売上の主軸は国内土木事業ですが、全体の比率を見ても綺麗な事業ポートフォリオです。
準大手ゼネコンの受注高の建築工事割合が平均65%です。
この事を踏まえると五洋建設は、土木事業に注力しているのかが分かります。
五洋建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸は国内土木事業で、全体の75%を占めています。
国内土木事業の利益率は、約11.4%と高い利益率になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:11.2倍
- PBR:1.41倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えと、やや割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると上値目処は880円付近になってます。
週足5年チャートを見ると780円付近が節目になっているのが分かります。
現在の株価は948円を天井に下落して、ダブルトップを形成しました。
しかし、21年3月期の決算発表後にボトムネックラインを割り込んでいます。
このまま下落していくと、次は700円付近が節目なので、下値抵抗線になると思います。
週足移動平均線の13MAと26MAがデッドクロスしています。
52MAが750円付近にいるので、下値支持になるかもしれません。
月足移動平均線は全て上向きなので、長期的には上昇傾向にあります。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2020年に5738億円、営業利益の過去最高も2020年の331億円です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.91%
- ROE:12.64%
- ROA:4.42%
- EPS:70.2円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率は低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%に対して、平均を上回る経営効率の良い企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:35.0%
- 有利子負債倍率:0.52倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均より低いです。
有利子倍率は、1倍以下の0.52倍なので問題ありません。
中期経営計画でも戦略的に有利子負債残高を800億円に設定しています。
剰余金は増加傾向にありますが、総資産に対して22.3%しかありません。
中期経営計画
経営数値目標
引用:五洋建設
投資計画
引用:五洋建設
投資計画は、「洋上風力」と「作業船」を中心に300億円以上投入することをきめています。
いかに洋上風力を含めた、海洋土木の作業船を大切にしているかが分かります。
株主還元策
引用:五洋建設
中期経営計画の配当性向は30%台なので、22年3月期の配当性向は32.7%は問題ありません。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:23円(2022年3月期予定)
- 配当利回:2.93%(21年5月14日終値)
- 配当性向:32.7%
22年度3月期の配当金は23円の普通配当を予定しています。
21年度3月期の配当金は28円でしたが、記念配当の5円が含まれています。
一見減配に見えますが、普通配当は維持しています。
株主優待
残念ながら五洋建設は株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
五洋建設を買うなら、760円付近で反発することを確認して買いたい。
五洋建設は、海洋土木に強みを持っていて、経営効率も優秀な企業です。
洋上風力発電の建設工事での売上の計上は、23年以降になるので期待したいです。
週足5年チャートを見ると780円付近が節目になっているのが分かります。
しかし現在の株価は、ダブルトップのボトムネックラインを割り込んでいます。
もし780円付近を固めれず下落すると、次は750円か700円まで下がる可能性があります。
月足移動平均線は全て上向きなので、長期的には上昇傾向にあります。
もし二番底を反発し上昇してきた場合は850円付近から買いを検討したいです。
現在の株価は日足移動平均線の200MAで反発しているので、短期的には買いかもしれません。
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