高松コンストラクショングループ(1762)の株価を分析していきます。
高松コンストラクショングループを5つのポイントで説明
- 21社で構成される建設業の専門集団
- 売上も利益もバランスの取れた事業ポートフォリオ
- 財務体質は優良だが経営効率は平均以下
- チャートは2018年から右肩下がり
- 株価1930円付近が節目だが週足26MAを超えてから購入したい
高松コンストラクショングループの概要
引用:高松コンストラクショングループ
高松コンストラクショングループは、21社から構成される建設業の専門集団です。
中核になるのは、「高松建設グループ」と「青木あすなろ建設」の2グループです。
高松建設を中心とした「高松建設グループ」は、建築工事がメインになります。
青木あすなろ建設を中心とした「青木あすなろ建設グループ」は、官公需・土木比率の高いのが特徴です。
高松建設の特徴
引用:高松建設
高松建設は、建築基準法で定められている地震の強さの1.15倍で設計しています。
安全・安心な建物を建築するために検証すると、建築基準法に15%の余力が必要となったからです。
実際に柱や梁の鉄筋、コンクリート等の様々な部分にこだわって耐久性を向上させています。
また阪神淡路大震災が発生した時、震度6~7の激震区域内に高松建設の建築物が108棟ありました。
その内、倒壊や半壊は1棟もありませんでした。
階段にひびが入る被害が1件あっただけだったそうです。
青木あすなろ建設の特徴
青木あすなろ建設は、これまでに多くの大型国家プロジェクトを手掛けてきました。
青木あすなろ建設の強みは、小松製作所が開発した「水陸両用ブルドーザー」を保有している事です。
国内で1200件以上の工事実績を持っていて、災害の復旧工事に役立っています。
この「水陸両用ブルドーザー」は製造中止になっていて、現存するのは5台のみです。
その5台は、全て青木あすなろ建設のものです。
東日本大震災の復興で、1台の全パーツをオーバーホールし完全復活しました。
大津波で被災した橋や港を補修するために大活躍したのは有名です。
M&A
- 島田組:埋蔵文化財発掘における国内シェア第1位
- 青木あすなろ建設:中堅ゼネコン
- みらい建設工業:マリコン
- 金剛組:世界最古の創業1400年以上、日本最大級の宮大工
高松コンストラクショングループは、日本では数少ないM&Aで成長を遂げたゼネコンです。
2000年から前向きにM&Aへ取り組んできました。
初めてのM&Aは、小松製作所系の小松建設工業(後のあすなろ建設)です。
そこから青木建設、島田組、金剛組をM&Aしていくのですが、救済型M&Aがメインでした。
救済型M&Aとは、後継者不在による事業承継のためのグループ入りです。
しかし、この救済型M&Aでも明確な2つの判断基準を持っています。
- 建設業として特色のある強みをもった会社
- グループのノウハウやシナジーで売上や利益の成長
今後も高成長を継続するためのM&Aを積極的に検討しています。
実際に年間約50件のM&A候補を検討しています。
引き続きこのペースの維持と年1件以上の成約を目指しています。
また今後10年で500億円程度のM&A投資を行う予定です。
10年後には新たに加えた企業だけで、年間900億円の売上を目指しています。
アメリカ進出
高松コンストラクショングループは、創業100年の2017年にアメリカに進出しました。
アメリカで市場調査を含めて不動産事業を手掛けています。
しかし、ゆくゆくは建設事業の参入を計画しています。
事業セグメント
高松コンストラクショングループは、3つのセグメントから成り立っています。
- 建築事業
- 土木事業
- 不動産事業
高松コンストラクショングループの売上構成比率(2021年9月)
売上高の主軸は、建築事業になり全体の44.4%を占めています。
残りの土木事業は全体の38.4%、不動産事業は17.2%を占めています。
このことから高松コンストラクショングループは、バランスのとれた事業ポートフォリオです。
高松コンストラクショングループの利益構成比率(2021年9月)
利益の主軸も建築事業になり、全体の47.8%を占めています。
建築事業の利益率は14.3%、土木事業の利益率が11.8%、不動産事業の利益率が13.9%です。
各セグメントの売上の総利益自体は、10%以上あるので優秀です。
しかし営業利益率は、5%を下回っています。
これは、販売管理費及び一般管理費が売上総利益の81.4%を占めているからです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:8.9倍
- PBR:0.59倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとかなり割安と判断されています。
チャート分析
20年に入ってから、2000円付近に株価の節目があります。
しかし21年11月に2000円を割り込んでしまい、1864円まで下落しました。
そこから上値が重くなっているので、次の節目は1930円付近になります。
月足10年チャートを見ると、株価は21年7月から右肩下がりに下落中です。
月足移動平均線は、全て下向きで12MAと24MAが60MAを割り込んでいます。
また月足のローソク足は、12MAに押さえつけられている事が分かります。
週足5年チャートを見ても右肩下がりになっているのが分かります。
週足移動平均線は、全て下向きで13MAと26MAが52MAを割り込んでいます。
週足のローソク足は、26MAにに押さえつけられています。
配当目的で1930円付近で買いを検討してもいいと思います。
ですが週足と月足の移動平均が右肩さがりです。
せめて週足26MAを上回るのを待ってから購入したいです。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2021年に2830億円、営業利益の過去最高は2020年の147億円です。
高松コンストラクショングループは、9年連続増収で過去最高を更新してきました。
22年3月期は増収増益予想をしています。
営業利益は過去最高ではありませんが、売上高では過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.48%
- ROE:6.61%
- ROA:3.50%
- EPS:221.2円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を下回る企業になります。
大手ゼネコン23社の平均営業利益が6.7%なので、平均を下回る利益率になっています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:53.0%
- 有利子負債倍率:0.26倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を大きく上回る企業です。
直近3年の自己資本比率は、約50%で推移していて安定しています。
有利子倍率は、0.3倍以下とかなり健全です。
20年度は、青木あすなろ建設の完全子会社化のために借入しました。
21年度は、社債の発行をしたからです。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して54.1%もあります。
このことから、高松コンストラクショングループの本業が順調と言えます。
中期経営計画
高松コンストラクショングループは、22年3月期までの中期経営計画を策定しています。
長期ビジョン
引用:高松コンストラクショングループ
業績目標
引用:高松コンストラクショングループ
22年3月期の売上目標3000億円、営業利益目標180億円に設定しています。
しかし今期の予想は、売上目標2900億円、営業利益目標130億円です。
中期経営計画の達成は厳しいですが、次の中期経営計画に注目です。
経営数値目標
引用:高松コンストラクショングループ
22年3月期のROE目標が9%に対して、6.61%なので達成は厳しそうです。
しかし、配当性向30%以上を掲げています。
22年4月期のEPS予想が221.1円なので、3円増配して66円の期待ができます。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:63円(2022年3月期)
- 配当利回:3.22%(2022年1月21日)
- 配当性向:28.4%
高松コンストラクショングループは、14年連続減配していません。
22年3月期の配当は、前年と同じ63円予想です。
中期経営計画で、22年3月期までの配当性向30%以上と発表しています。
現在の配当性向は28.4%なので、業績見通し通りなら増配の可能性はあります。
剰余金も総資産に対して54.1%もあるので、本業が順調である事が分かります。
また財務体質も優良なので増配余力は問題ありません。
株主優待
高松コンストラクショングループは、毎年2月末日に100株以上を保有する株主に株主優待を実施しています。
優待内容は、南魚沼産コシヒカリの新米を1袋(5kg)です。
また長期保有優待制度として500株以上を継続して5年以上保有すると2袋(10kg)になります。
時期は毎年10月下旬を予定しています。
まとめ
高松コンストラクショングループを買うなら、週足26MAを超えてから買いたい。
直近の下値目途の2000円を割り込んでしまったので、ここが上値抵抗線になります。
配当目的の場合は、次の1930円付近の節目で購入しても3%以上なので高配当になります。
しかし、株価は18年から右肩下がりになっています。
月足と週足の移動平均線を見ても全て下落傾向です。
売上高は9年連続過去最高を更新していますが、営業利益は一進一退です。
22年3月期は、増収増益予想なのでEPSも増加予想ですが株価はあまり反応していません。
財務体質は、高い自己資本比率と低い有利子負債倍率です。
利益剰余金は、総資産に対して平均を大きく上回っています。
しかし、経営効率のROE、ROA、営業利益率は平均を下回っています。
特に売上総利益率は、どのセグメントも10%以上あります。
しかし、営業利益率は5%以下になっています。
これは、販売管理費及び一般管理費が売上総利益の81.4%を占めているからです。
ここの改善を今後期待したいです。
配当に関しては、14年連続減配していません。
配当性向も30%以下で、中期経営計画では30%以上としているので増配が期待できます。
第三四半期決算の発表で上方修正や増配のサプライズがあれば、2000円の壁を超えれると思います。