三井不動産(8801)の株価分析と特徴をまとめていきます。
三井不動産を5つのポイントで説明
- 戦後一貫して不動産業界の売上1位に君臨
- 事業ポートフォリオはバランス良く分散されていて隙が無い
- 売上は12年連続増収予想で24年3月期は2期連続の売上高と利益共に過去最高予想
- 有利子負債額は22年度から住友不動産を抜いて首位
- 近年の下値目処は2350円位で上値目処は2800円位のボックス相場
三井不動産の概要
三井不動産は、1941年に三井合名会社の不動産部門を分離して誕生した、日本の不動産開発のリーディングカンパニーです。
三井物産や三井住友銀行と並ぶ三井グループの御三家としても知られています。
現在では三井家のお膝元の日本橋の再開発事業にも取り組んでいます。
三井不動産が日本の不動産開発のリーディングカンパニーと言われるのには理由があります。
それは、日本で初めての超高層ビルやマンション、アメリカ型ショッピングセンターやアウトレットを成功させてきたからです。
特に「ららぽーと」売上は主力事業である賃貸事業の商業施設別売上の55%以上を占めています。
近年のECの需要に対応するために「ららぽーと」と一体になった会員制公式通販サイトの「&mall」を立ち上げています。
さらに2021年1月には、株式会社東京ドームを連結子会社化しています。
海外展開
三井不動産は、海外事業も積極的に展開していて、欧米やアジアに14支店を進出させています。
2022年には、アメリカのマンハッタンに「50ハドソンヤード」という大型ビルの建築しました。
これは、総工費4000億円のマンハッタン最大規模の再開発事業です。
またオフィス開発事業では、インドに進出して現地大手ディベロッパーのRMZ社との共同事業を進めています。
三井不動産としてはアジア初のオフィスビルの開発になります。
今後も欧米で優良なポートフォリオの構築や、成長性の高いアジアでの開発事業を計画しています。
主要株主
引用:株探
主要株主には三井不動産と密接な鹿島建設が、しっかり入っています。
事業セグメント
三井不動産は、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 賃貸セグメント:オフィスビルや商業施設などの賃貸および転貸
- 分譲セグメント:個人向けのマンションや戸建て住宅と機関投資家向けの事業用不動産の開発と分譲
- マネジメントセグメント:建物施設の管理運営や仲介、不動産投資ファンドの運用
- その他セグメント:三井ホームでの新築請負やホテルやゴルフ場の運営、住宅のリフォーム、メガソーラー事業
三井不動産の売上構成比率(2023年3月期)
引用:三井不動産
売上の主力は賃貸事業になりますが、注目すべきポイントは各セグメントのバランスの良さです。
不動産ディベロッパーの主な収益源は、新築分譲マンションの販売とオフィスビルの賃貸になります。
新築分譲マンションの販売は景気に左右されやすいのが特徴です。
オフィスビルの賃貸事業は景気に左右されにくい安定した収益源になります。
さらに3つのコア事業の収益構成比率も偏りがありません。
他の大手ディベロッパーと比較しても三井不動産の強みは、攻めと守りのバランスが取れた事業ポートフォリオです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:11.9倍
- PBR:0.86倍
不動産業の平均PERが10.9倍、PBRが1.2倍なので、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近10年間では株価2800円付近に節目がある事が分かります。
また2016年からは節目の2800円付近が上値になり、底値は2350円付近で反発しています。
月足移動平均線は、24MAが上向きですが60MAは2021年から横ばいです。
週足5年チャートを見ると、直近2年は2220円付近が節目になっている事がわかります。
週足移動平均線は、13MAが26MAをゴールデンクロスしています。
しかし、52MAに押さえつけられている可能あります。
まずは、年初来高値の2691円を超えれるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2023年の2兆2691億円、営業利益の過去最高も2023年の3054億円です。
売上高は12期連続増収予定、利益では2年連続で過去最高益の更新を見込んでいます。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:14.35%
- ROE:7.24%
- ROA:2.38%
- EPS:225.0円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.1%、ROAは2.63%なので、平均を下回る経営効率です。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は18.48%なので、平均を下回る営業利益率です。
新型コロナウイルスの影響を受けた21年3月期より確実に回復してきています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:32.8%
- 有利子負債倍率:1.40倍
総合ディベロッパー7社の自己資本比率の平均が29.13%、有利子負債倍率の平均が1.87倍です。
三井不動産の財務状況は、平均を上回っています。
しかし有利子負債倍率が増加しているので要注意です。
実際に23年3月期の有利子負債額は、約4兆円までになりました
21年3月期まで、不動産業界で有利子負債額トップは住友不動産でした。
三井不動産は、2年連続で有利子負債額でトップになっています。
また、利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して約16.9%しかありません。
長期経営方針
経営数値目標
引用:三井不動産
長期経営方針では、2025年前後に営業利益3500億円を目標に掲げています。
その内、海外事業の利益を全体の30%程度としています。
いかに海外事業に注力しているかが分かります。
株主還元策
配当金の推移
引用:三井不動産
三井不動産は、安定的な配当の実施を掲げています。
配当金については、2001年から22年間減配をしていません。
直近では、3年連続増配を予定しています。
総還元性向の推移
引用:三井不動産
三井不動産の総配当還元性向は、当期純利益の45%程度を目途にしています。
自社株買いに関しては、機動的な自己株式取得を行い、原則として消却するとしています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:68円(2024年3月期予定)
- 配当利回:2.53%(23年5月12日終値)
- 配当性向:30.2%
現在、配当金は23期連続減配無しの予定です。
2025年までの長期経営方針では「総還元性向45%を目処」としてます。
株主優待
残念ながら、三井不動産は株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
三井不動産を買うなら、2691円を超えてから買いを検討したい。
週足チャートを見ると短期的に2250円付近が下値支持線になっています。
直近5年の下値支持なので強力なサポートラインだと思います。
三井不動産の強みは、不景気にも好景気にも恩恵を受けれる事業ポートフォリオです。
大手ディベロッパーの中で一番事業ポートフォリオが分散されている優等生です。
直近10年の株価を見ても、初心者でも安心して持てる銘柄だと思います。
24年3月期は、2年連続で過去最高の売上と利益をする見込みです。
さらに大手ディベロッパーの中では、最も高い最終益になる予想です。
有利子負債倍率で見るとずば抜けているわけではありません。
しかし、有利子負債額は住友不動産の抜いてトップになりました。
今後は、物件売却での改善に期待したいです。
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