イオンモール(8905)の株価分析と特徴をまとめていきます。
イオンモールを5つのポイントで説明
- 日本国内最大の商業専業ディベロッパー
- 主力エリアは日本国内だが今後は中国やアセアン地域に注力
- 経営効率と財務状況は平均を下回る
- 配当金は上場来23年連続減配無しの予想
- 株価下落の理由は業績予想や出店計画の下方修正が大きな要因
イオンモールの概要
イオンモールは、日本国内最大の商業専業のディベロッパーです。
イオン(8267)の収益源を支えているのは、このイオンモール(8905)とイオンFS(8570)です。
特に利益面では、イオンモールの方がイオンFSより大きく稼いでいます。
事業内容は、モール事業の単一セグメントです。
モール事業の内容は、ショッピングモールの建設、店舗賃貸、運営、管理になります。
その中でも一番の収益源は、モール内の店舗賃貸になります。
顧客は、一般専門店や総合小売業を営むイオンリテールやイオングループ各社です。
現在のイオンモールの店舗数は、国内だけで98店舗あります。
海外は、中国を中心としたアセアン地域に41店舗、出店しています。
イオンモールのビジネスモデル
イオンモールの収益構造
引用:イオンモール
イオンモールは、ショッピングモールを中心に国内164施設を運営しています。
海外は、中国、アセアン諸国にも進出しています。
イオンモールの事業はショッピングモールの運営を主軸としています。
賃料収入(固定的収益)を得るだけでなく、収益の拡大度合に応じてイオンモールもフィーを得る構造になっています。
モール事業のビジネスモデル
引用:イオンモール
株式会社マリモとの資本業務提携
引用:イオンモール
事業セグメント
イオンモールの事業は、単一事業で国内や海外でのモール事業になります。
そのため事業セグメントではなく6つの国別のセグメントで構成されています。
- 日本
- 中国
- ベトナム
- カンボジア
- インドネシア
- その他海外(ミャンマー)
イオンモールの売上構成比率(2024年2月期)
イオンモールの売上の主軸エリアは、日本国内で全体の78.6%を占めています。
イオンモールの利益構成比率(2024年2月期)
イオンモールの利益の主軸エリアも日本国内で、全体76.8%を占めています。
日本国内の利益率は9.31%、中国での利益率は9%になっています。
前期の日本国内の利益率は10.6%、中国での利益率は12.6%でした。
利益全体の9割を占める日本と中国の利益率は2年連続で悪化しています。
日本に関しては前年と比べ増益ですが、中国に関しては前年と比べ減益になっています。
前期で一番利益率が高かったのは、ベトナムです。
ベトナムの利益率は25.5%になっているので、他のエリアと比べても利益率の高いエリアです。
前期の利益率は23%だったので、利益率は上がっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:24.1倍
- PBR:0.86倍
不動産業の平均PERが14.8倍、PBRが1.7倍なので、かなり割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、23年から株価は横ばいで推移しています。
月足と週足移動平均線は全て横ばいなので当面の株価の動きも横ばいの傾向です。
しかし、週足5年チャートを見ると高値を切り下げています。
また業績は増収増益予想ですが、業績予想や計画が下方修正されているので注意が必要です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2024年に4231億円、営業利益の過去最高は2020年の607億円です。
23年2月期の売上高は過去最高を更新しています。
また注力している海外事業の営業利益が105億円と過去最高益となりました。
しかし、営業利益も過去最高に近い水準まで回復予想でした。
実際は、営業利益の過去最高付近までの回復をできず、営業利益率の悪化しています。
イオンモールの業績の回復には時間がかかっている事が分かります。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:12.13%
- ROE:3.55%
- ROA:1.00%
- EPS:72.5円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.3%、ROAは2.69%です。
イオンモールの経営効率は、総合ディベロッパー7社の平均を大きく下回っています。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は19.72%です。
イオンモールの営業利益率は、総合ディベロッパー7社の平均を大きく下回っています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:28.0%
- 有利子負債倍率:1.85倍
総合ディベロッパー7社の自己資本比率の平均は29.31%です。
イオンモールの自己資本比率は、総合ディベロッパー7社の平均を少し下回っています。
総合ディベロッパー7社の有利子負債倍率の平均は1.34倍です。
イオンモールの有利子負債倍率は、総合ディベロッパー7社の平均を大きく上回っています。
利益剰余金は、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
イオンモールの利益剰余金は、総資産に対して19.7%となっています。
前年の総資産に対する比率が20.3%だったので、ほぼ横ばいです。
しかし、利益剰余金も安定して積みあがっています。
直近3年で見ると自己資本比率、有利子負債倍率は横ばいの傾向です。
しかし、過去を見るとイオンモールの営業利益はコロナショックを除いて右肩上がりです。
長期ビジョン
2025年度までの目標として4つの目標を設定しています。
- 国内モール単一の利益創出でなく、複数の事業からなるポートフォリオの構築
- 連結営業利益900億円超、グローバル商業ディベロッパートップクラスの水準
- 国内モールは増床・リニューアルを積極的に行い、各エリアで圧倒的な地域NO.1モールへの進化
- 海外の成長マーケットを獲得。海外事業は50モール体制、営業利益270億円(利益率25%)
経営目標
引用:イオンモール
昨年までの経営目標の中で、25年度までの目標を見ると売上高5200億円、営業利益850億円を計画していました。
これは当初の4400億円を23年度に前倒しで達成させて、さらに上乗せする計画でした。
しかし、今回の決算説明会資料では、24年度と25年度の計画は見直しされています。
25年度までの売上目標4800億円、営業利益690億円に下方修正しています。
その中で、海外事業で営業利益は約2倍に成長させる計画は変更ありません。
成長戦略
引用:イオンモール
成長戦略として、海外事業の利益成長と中国とベトナムを中心に新規出店の加速を計画しています。
しかし25年の海外で50モール体制の予定でしたが、44モール体制へ変更しています。
また2025年度までに70モール体制になる仕込みも完了させます。
特にベトナムは23年度まで出店数は6モールでしたが、25年度には16モール体制の計画です。
また海外の既存モールの収益力強化では、エリアの成長に合わせて3年ごとにリニューアルを行います。
配当政策
引用:イオンモール
2025年度まで増配を継続させるために、年率7%のEPS成長を目標に設定しました。
さらに2021年度から連結配当性向を25%から30%以上に引き上げています。
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:50円(2025年2月期)
- 配当利回:2.86%(2024年4月12日)
- 配当性向:68.9%
配当金は、2002年に上場してから22年間一度も減配をしていません。
25年2月期は50円の配当維持を予定しています。
現在の配当性向は42.1%ですが、長期ビジョンの30%以上となっているのでやや高い事が分かります。
過去の減配をしない実績を見ると今後も減配の心配は少ないです。
しかし、有利子負債倍率や自己資本比率は平均を下回っているので注意が必要です。
株主優待
基本優待制度
引用:イオンモール
イオンモールは、毎年2月末日に100株以上を1年以上継続保有する株主に株主優待を実施しています。
優待内容は、3つの内から1つ選べます。
- イオンギフトカード※
- カタログギフト
- カーボンオフセットサービスの購入
※日本全国で展開するイオンモール、イオングループ各店で利用可能。(一部利用出来ない店舗も有)
長期保有株主向け優待制度
引用:イオンモール
長期保有株主向け優待制度として、通常の株主優待にプラスしてイオンギフトカードがもらえます。
条件は2つです。
- 保有継続期間が3年以上
- 2月末の株主名簿に1000株以上の株主として記載
まとめ
イオンモールを買うなら、1820円を超えてから購入しても遅くない。
株価の底値圏は1700円付近に節目があります。
株価は、月足と週足移動平均線は全て横ばいなので当面の株価の動きも横ばいの傾向です。
しかし、週足5年チャートを見ると高値を切り下げています。
また業績は増収増益予想ですが、業績予想や計画が下方修正されているので注意が必要です。
経営効率に関しては、総合ディベロッパー7社の平均を少し下回っています。
財務状況は、総合ディベロッパー7社の平均を下回っています。
財務体質は、直近3年の自己資本比率と有利子負債倍率は悪化したまま横ばいの状態です。
これは、国内モールのリフォームや海外での出店計画の仕込みを考えれば納得できます。
これまでイオンモールは右肩上がりに売上と利益を成長させてきました。
しかし、国内より海外に注力する計画で2025年に向けての仕込みはやや修正されています。
株価の下落の理由は、出店計画や業績予想の計画が下方修正されている事が大きいです。
しかし、25年までに着工するものを含めると50モール超になります。
また25年度末時点で4億円/年、30年度末までに30億円/年の営業利益改善の見込みです。
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