イオンディライト(9787)の株価分析と特徴をまとめていきます。
イオンディライトを5つのポイントで説明
- 国内トップの建物管理会社でイオングループの依存度は約65%
- 主力事業は清掃事業と設備管理事業のストックビジネス
- 経営効率も優秀で24年2月期は過去最高水準を予想
- 強力な財務基盤と安定した業績で19期連続増配予定
- 下落傾向なので2800円付近まで下がれば購入を検討したい
イオンディライトの概要
イオンディライトは、大型商業施設に強みを持つビルメンテナンス業界NO.1の企業です。
イオンディライトは、名前の通りイオングループなので依存度は約65%にもなります。
イオングループで培った、大型商業施設の管理運営で培った技術・ノウハウを持っています。
さらに50年以上の経験を活かしてオフィス、ホテル、医療・福祉施設、学校施設などさまざまな施設へサービスを提供しています。
IFM(インテグレーテッド・ファシリティマネジメント)
引用:イオンディライト
創業時より大型商業施設を中心に設備管理・清掃・警備のサービスを提供してきました。
その後に資材の購買代行や自動販売機の管理などのサービスを増やしてきました。
サービスを増やすと同時に展開エリアを中国やアセアン各国へとエリアの拡大をしています。
しかしグローバル市場では、建物の管理運営業務を含む間接業務を専門性の高い企業に委託する傾向が強くなってきました。
その中でイオンディライトも提供するサービスを従来のオペレーション領域からマネジメント領域へと拡大しました。
それが「IFM(インテグレーテッド・ファシリティマネジメント)」になります。
これは、ファシリティに関連するアウトソーシングニーズを統合的に管理運営するサービスです
成長するアジアの市場規模
引用:イオンディライト
日本国内でのファシリティ・マネジメントの市場規模は約6.7兆円と言われています。
本家イオンが進出している中国やアセアンでは、約24兆円の市場規模があると考えています。
さらに現在も市場規模は拡大していて、アジア市場を中長期的な重点エリアとしています。
成長ポテンシャルの高いこのエリアに経営資源を積極的に投下していく計画のようです。
事業セグメント
イオンディライトの事業は、5つのセグメントから成り立っています。
- 設備管理事業:建物設備の保守・点検・整備等
- 警備事業:施設警備、雑踏・交通誘導警備、貴重品運搬警備等の警備全般
- 清掃事業:建物・施設の清掃
- 建設施工事業事業:大規模修繕・店舗内装の企画・設計及び工事、省エネ・CO2削減に係る提案及び施工、エネルギーデータ管理サービス
- 資材関連事業:間接材の購買代行及び資材等の調達
- 自動販売機事業:飲料自動販売機、観葉植物及び分煙機等の運営
- サポート事業:旅行代理業、家事支援サービス事業、教育及び人材サービス事業、施設向けシステム等開発事業、不動産賃貸事業等
イオンディライトの売上構成比率(2023年2月期)
イオンディライトの売上の主力は、清掃事業で全体の約24.7%を占めています。
また清掃事業と同じくらい主力になっているのが設備管理事業です。
設備管理事業は全体の23.5%を占めています。
その他のセグメントを見ても非常にバランスの取れた事業ポートフォリオです。
イオンディライトの利益構成比率(2023年2月期)
イオンディライトの利益の主力も清掃事業で、全体29.6%を占めています。
この清掃事業の利益率は、10.2%と他のセグメントを見ても利益率の高い事業です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:14.0倍
- PBR:1.48倍
大手管理会社3社の平均PERが15.0倍、PERが1.65倍になります。
この事から考えるとイオンディライトの株価は、少し割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、株価は底値圏内まで下落しています。
月足移動平均線も全て下向きなので、長期的には下落傾向です。
また、直近5年で高値を切り下げているので注意が必要です。
週足5年チャートを見ると株価は2600円に節目があることが分かります。
22年に入ってからは3000円が節目になっています。
現在の株価は、節目の3000円も割り込んでなかなか上抜け出来ていない状況です。
週足移動平均線は、13MAが下向きに転換していてローソク足も26MAを割り込んでいます。
まだ週足52MAを割り込んでいませんが、もし割り込めば2800円付近まで待ちたいです。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2022年に3176億円、営業利益の過去最高は2020年の160億円です。
直近3年の業績を見ても、過去最高に近い売上と利益で推移している事が分かります。
この事からもイオンディライトは、新型コロナウイルスの影響をあまり受けなかった企業と言えます。
これは、ビジネスモデルがストックビジネスなので、かなり堅実な事業内容です。
24年2月期の業績は過去最高の更新ではありませんが、過去最高水準の予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.16%
- ROE:10.57%
- ROA:6.90%
- EPS:211.3円
ROEは10%以上、ROA5%以上あれば経営効率の優秀な企業の目安になります。
大手管理会社3社の平均ROEが11.12%、ROAが7.38%になります。
イオンディライトの経営効率は、大手3社の中でも平均的な経営効率と言えます。
しかしROEは10%以上、ROA5%以上あれば経営効率の優秀な企業の目安になります。
イオンディライトのROEとROAを見ても経営効率が優秀な企業と言う事が分かります。
大手管理会社3社の平均営業利益が6.06%なので、平均的を少し下回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:65.3%
- 有利子負債倍率:0.00倍
大手管理会社3社の自己資本比率の平均は66.9%、有利子負債倍率は0.03倍です。
この数字を見ると大手管理会社3社の中では平均的な財務基盤です。
しかし自己資本比率は40%以上、有利子負債倍率は1倍以下だと一般的には優秀な財務基盤です。
これに対して、イオンディライトは大きく上回っているのでかなり優秀な財務基盤です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で総資産に対して60.6%もあります。
中期3ヵ年経営計画
イオンディライト ビジョン2025
2025年度数値目標
引用:イオンディライト
実現に向けたロードマップ
引用:イオンディライト
目標数値とKPI
2023年度の目標数値
引用:イオンディライト
KPI(重要業績評価指標)
引用:イオンディライト
新型コロナやウクライナ危機などの影響で、一部施策の効果が出てくるのに1~2年の遅れになっています。
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:86円(2024年2月期)
- 配当利回:2.91%(2023年4月14日)
- 配当性向:40.7%
配当金は、2005年から18年連続増配をしています。
2024年2月期は1円増配予想なので、実現すれば19年連続増配になります。
2022年から始まる新しい中期3ヵ年経営計画では、連結配当性向を40%へ引上げを発表しました。
24年2月期の配当性向は40.7%になり、連結配当性向の基準通りです。
しかしイオンディライトは、強力な財務基盤も持っているので増配する余力があると考えられます。
株主優待
引用:イオンディライト
イオンディライトは、毎年2月末日に100株以上を保有する株主に株主優待を実施しています。
また保有する株数によって優待口数が増えます。
まとめ
イオンディライトを買うなら、2800円付近まで様子を見て購入したい。
2800円の次は3200円、3400円と200円刻みで節目があります。
しかし月足と週足の移動平均線は3本共下向きなので注意が必要です。
しばらくは、週足移動平均線52MAを割り込まないかをまず確認したいです。
事業内容に関しては、建物管理なのでストックビジネスになります。
直近3年は新型コロナの影響をあまり受けていません。
むしろ消毒作業を含めた、清掃事業がイオンディライトの事業を引っ張っています。
さらに24年2月の業績は、過去最高水準の業績を予想しています。
本家のイオンは中国を中心にしたアジア地域へ市場を拡大していっています。
さらにイオングループへの依存度は約65%なので、影響は大きいと思います。
特に建物管理なのでイオンやイオンモールの決算や今後の出店計画にも注目です。
配当金に関しては、19期連続増配を予想で財務体質や直近の業績も安定しています。
自己資本比率65.3%、有利子負債倍率0.00倍とかなり強力な財務基盤です。
剰余金も毎年積み上げられていて、総資産の60%もあることを見ても本業は順調です。
株主優待も100株以上で2000円分のイオンギフトカードがもらえます。
高配当投資をしている人だけでなくイオンをよく利用する人は検討してもいい銘柄だと思います。
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