東京建物(8804)の株価分析と特徴をまとめしていきます。
東京建物を5つのポイントで説明
- 11期連続増配予定で配当目的でオススメ
- 24年度12月は売上高・営業利益共に過去最高を更新予定
- 主力事業は東京都内を中心としたビル事業で95%以上の稼働率
- 海外事業は中国に圧倒的な強みだがアメリカにも投資を開始
- 株価は移動平均線は全て上向きなので2190付近でしっかり反発出来るかに注目
東京建物の概要
東京建物は、日本で最も古い歴史を持つ総合不動産会社で、不動産業界6位のディベロッパーです。
東京建物は、その名前の通り東京を中心としたエリア戦略を展開しています。
ビル事業では、所有しているオフィスビル賃貸物件のエリアの割合は都心5区で約60%、東京23区で約80%になっています。
東京以外では「グランフロント大阪」や「名古屋プライムセントラルタワー」の様に主要都市圏にも展開しています。
旧来型の倉庫からの代替需要に対する供給不足に対応するために、2021年にロジスティクス事業部を設置して、物流施設へのさらなる注力をしています。
東京建物が手がける分譲マンション事業も約80%が東京都内になっています。
住宅事業では「Brillia」シリーズを展開していて、東京都内で18物件の再開発事業の実績があります。
また東京建物グループの管理するマンションにフードトラックや移動物販車を誘致する「SHOP STOP」サービスを導入しています。
保育事業では、13の保育園と1つの学童施設の「おはよう保育」の運営と管理を行っていて、マンション開発事業にシナジーを生み出しています。
海外事業では、中国やシンガポールに進出していて、中国と東南アジアに強みを持っています。
特に中国は、1903年に天津へ進出をきっかけに6都市に進出しています。
代表的な東京建物の日本発
東京建物は様々な日本初の取り組みを行う、日本の不動産業界を先導する企業です。
- 現在の住宅ローンの原型となる割賦販売方式を考えて不動産売買を開始
- 日本の総合不動産業では初めて上海での分譲マンション事業に参入
- 東日本大震災以前に新宿副都心の超高層ビルの長周期地震動対策工事完了
- 日本最大級の建替プロジェクト「Brillia 多摩ニュータウン」
- 日本初の区本庁舎一体型高層マンション「Brillia Tower 池袋」竣工
- 日本初の世界有数の高級ホテル「Four Seasons Hotel」と東京建物の「Brillia」が一体となった超高層複合タワーの開発
再開発事業
八重洲再開発事業
引用:東京建物
八重洲、日本橋、京橋エリアは東京建物の創業地や本社を構えるエリアです。
この八重洲を中心としたエリアは、新幹線・JR在来線・各地下鉄路線の充実していています。
また地方都市・都内・国際空港を含むあらゆる立地へのアクセスの良さが最大の特長です。
東京建物は、この八重洲エリアに多くの物件を所有していて「八重洲の大家」とも言われています。
その他にも中央区、港区、渋谷区で複数の持続可能なまちづくりプロジェクトを推進しています。
2030年頃までに東京建物が保有する想定賃貸面積が約32万㎡分の再開発プロジェクトが順次竣工予定です。
渋谷二丁目西地区再開発
引用:東京建物
東京建物は、渋谷駅東口エリアで「渋谷二丁目西地区再開発」を推進中です。
この渋谷と言えば、東急不動産のお膝元ですが「非東急」の浸食が進む激戦区です。
東京建物の野村社長も「渋谷はオフィス立地としての存在感が高まっている」と話しています。
海外事業
引用:東京建物
東京建物は、中国やシンガポールに進出していて、中国と東南アジアに強みを持っています。
中国の6都市に進出していて、中国最大手のディベロッパー万科と共同で分譲マンション事業を行っています。
現在、「(仮称)徐州城北プロジェクト」と「(仮称)揚州城西プロジェクト」を2025年竣工予定で進めています。
この2物件が完成すると2005 年に中国で住宅開発事業を開始して以降、住宅供給戸数累計は日系企業としては最多となる25,267 戸になる予定です。
シンガポールでは、2020年に東京建物グループ初の東南アジアオフィスビル事業「79 ロビンソンロード」が竣工させています。
また23年11月に、アメリカのワシントンD.C.近郊で大型賃貸用集合住宅を共同開発への投資を実行しています。
長期ビジョンで、2030 年頃に東京建物グループ全体で事業利益1200 億円を目指していています。
そのうちの約10%を海外事業で実現させる計画です。
事業セグメント
東京建物は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- ビル事業セグメント:再開発事業をはじめとする都市開発事業やオフィスビルの開発・運営事業
- 住宅事業セグメント:分譲住宅ブランド「Brillia」の開発を中心とした分譲住宅事業や賃貸住宅事業
- その他:アセットサービス事業、リゾート事業、駐車場事業、保育事業、海外事業、資産運用事業
東京建物の売上構成比率(2023年12月期)
売上の主力事業は、ビル事業になっていて売上構成比の41.2%になっています。
その次に比率が高いのが、住宅事業で35.5%になっています。
東京建物の利益構成比率(2023年12月期)
利益の主力もビル事業で全体の47.4%を占めています。
このビル事業の利益率は25.6%になっています。
前期の利益率は28%だったので、利益率が少し悪化しています。
2番目に大きい住宅事業の利益率は20.1%になっています。
前期の利益率は17.6%だったので、利益率が改善しています。
一番利益率の高いセグメントがその他事業で、利益率は17.3%になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.6倍
- PBR:0.92倍
不動産業の平均PERが14.0倍、PBRが1.5倍で見ると、かなり割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、23年から株価は右肩上がりに成長しました。
現在の株価は、昨年の高値2190円付近で底打ちしようとしています。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線も全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
まずは、昨年来高値の2190円でしっかり反発出来るに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2023年で3759億円、営業利益の過去最高も2023年の705億円です。
直近5年を見ても売上高は順調に伸びていています。
24年度も過去最高の売上高と営業利益を更新予定です。
主に分譲マンションの売上・粗利益の増加等が増収増益の要因です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:15.15%
- ROE:9.66%
- ROA:2.52%
- EPS:229.8円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.3%、ROAは2.69%です。
東京建物の経営効率は、総合ディベロッパー7社の平均とほぼ同じです。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は19.72%です。
東京建物の営業利益率は、総合ディベロッパー7社の平均を下回っています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:26.1%
- 有利子負債倍率:2.19倍
自己資本比率は、総合ディベロッパー7社の平均が29.31%です。
東京建物の自己資本比率は、総合ディベロッパー7社の平均を少し下回っています。
有利子負債倍率は、総合ディベロッパー7社の平均が1.34倍です。
東京建物の有利子負債倍率は、総合ディベロッパー7社の平均を大きく上回っています。
しかし、中期経営計画で「DEレシオは2.4倍」に設定しています。
24年度ののDEレシオは2.4倍の実績なので問題ありません。
利益余剰金は、総合ディベロッパー7社の平均が17.1%です。
また、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
東京建物の利益剰余金は、総資産に対して11.5%となっています。
しかし、利益剰余金は増加傾向で、自己資本比率と有利子負債倍率も改善されています。
中期経営計画
経営数値目標
引用:東京建物
これは2024年までの中期経営計画の経営数値目標です。
ROEとD/Eレシオに関しては既に目標達成に近づいています。
しかしROAの目標4%に対して現在2.49%になっています。
ここから2年で収益性を約1.5倍にするのは、かなり厳しいと予想されます。
投資計画
引用:東京建物
中期経営計画の中で5つの重点戦略に対して、24年度までに合計1.4兆円規模の投資を行うとしています。
23年度は、2570億円の投資を実行しています。
24年度は、大規模再開発への投資、開発が進む分譲マンションや物流施設プロジェクトへの建築費支出等で、合計投資額4400億円の投資を計画しています。
株主還元策
引用:東京建物
東京建物の株主還元方針は、連結配当性向30%以上の配当を基本としています。
持続的な成長により継続的に株主還元の拡充を目指しています。
自己株式の取得は、事業環境や財務状況等を踏まえて実施を検討しています。
24年度の連結配当性向予想が34.4%なので問題のない水準です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:79円(2024年12月期)
- 配当利回:4.56%(24年2月16日)
- 配当性向:34.4%
配当金は11期連続増配予定で、24年度の配当性向が34.4%なので増配の余力はあります。
24年度までの中期経営計画でも「連結配当性向を30%以上の配当を基本とする」としていますので問題ありません。
株主優待
残念ながら東京建物は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
東京建物を買うなら、昨年来高値の2190円付近で反発出来るかに注目。
東京建物は、東京駅周辺の八重洲に強みを持つ総合不動産ディベロッパーです。
八重洲という立地の良さから東京建物のビル事業は、不況でも影響を受けにくいのが特徴です。
コロナショックがあった中でも、オフィス賃貸ビルが97.7%の入居率と安定した売上と収益を保っていています。
また、他の大手ディベロッパーと大きく違うのが中国に強みを持っている事も魅力です。
株価は直近10年の高値だった2346円を更新しました。
現在の株価は、23年の高値2190円付近まで下落しています。
この2190円付近がサポートラインになるか注目です。
月足と週足の移動平均線は全て上向きです。
2190円付近でしっかり反発出来れば、年初来高値の2366円を超えてくると思います。
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