野村不動産HD(3231)の株価分析と特徴をまとめていきます。
野村不動産HDを5つのポイントで説明
- 野村證券系の総合不動産で不動産業界5位
- 売上の主力は住宅部門、利益の主力は都市開発部門
- 中期的に株価は下落傾向だが業績は5年連続増収増益で過去最高を更新予想
- 配当金は12年連続増配中で25年3月期も増配予定
- 下落した場合の下値目途は3500円付近で反発出来るかに注目
野村不動産HDの概要
野村不動産HDは1957年に野村證券の不動産部が独立して出来た総合不動産会社です。
不動産業界では5位で、三菱地所、住友不動産、三井不動産、東急不動産と並んで5大ディベロッパーの一角を担っています。
野村不動産HDはの特徴として、住宅供給に強みを持っています。
売上の主力は住宅部門の国内での分譲マンションの販売と都市開発部門の収益不動産の売却になります。
住宅販売部門の「プラウド」シリーズのマンションは、高級住宅街や都心部などの資産価値の高い場所での分譲実績が多いのが特徴です。
また販売も自社で行う製販管一体の体制で品質が高いのも不動産業界や建築業界では有名です。
野村不動産の分譲マンションは自社の設計ではありません。
通常は設計事務所かゼネコンに設計してもらいます。
その中で野村不動産仕様と言う独自の仕様があります。
この野村不動産仕様が、商品の品質だけでなく施工の品質管理が厳しいのも業界でも有名です。
事業セグメント
引用:野村不動産HD
野村不動産HDは、主にの6つのセグメントから成り立っています。
売上の主力は住宅部門ですが、利益の主力は都市開発部門になります。
利益の主力になっている都市開発部門の利益率は22.7%です。
前期の都市開発部門の利益率は19.8%だったので、利益率も改善されています。
また、売上の主力になっている住宅部門の利益率は11.5%です。
前期の住宅部門の利益率は11%だったので、ほぼ横ばいです。
しかし、主力の都市開発部門と住宅部門はどちらも高い利益率になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.3倍
- PBR:0.88倍
不動産業の平均PERが13.7倍、PBRが1.6倍なので、株価は割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、約17年ぶりに高値を更新した後に下落しています。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線は全て上向きに転換しているので中期的に下落傾向です。
株価は週足26MAを割り込んでいるので上昇局面は終わったと判断出来ます。
引き続き下落した場合は、3500円付近で反発出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2024年の7347億円、営業利益の過去最高は2024年の1121億円です。
直近4年連続の増収増益でした。
25年3月期の決算予想も増収増益予想で過去最高を更新する見込みです。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:14.43%
- ROE:9.50%
- ROA:3.01%
- EPS:404.5円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.42%、ROAは2.78%なので、平均を上回る経営効率です。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は16.61%なので、平均を下回る営業利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:31.6%
- 有利子負債倍率:1.75倍
総合ディベロッパー7社の自己資本比率の平均が29.66%、有利子負債倍率の平均が1.80倍です。
これに対して、野村不動産HDの財務状況は平均を少し下回っています。
しかし、財務規律の30%はしっかり守っています。
総合ディベロッパー7社の利益余剰金の平均は17.5%です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
野村不動産HDの利益剰余金は、総資産に対して20.9%となっています。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して約20%しかありません。
中長期経営計画
財務目標
引用:野村不動産HD
中期経営計画(2023年3月期~2031年3月期)では、事業利益とROA、ROE、株主還元の目標を掲げています。
利益目標
引用:野村不動産HD
利益目標の計画は大きく3つになります。
- 利益の主力事業になっている都市開発部門での利益拡大
- 利益率の高いサービスマネジメント分野(資産運用部門、仲介・CRE部門、運営管理部門)の成長
- まだ比率が少ない海外事業の成長
ロードマップ
引用:野村不動産HD
フェーズI(25年3月期まで)の用地ストック率はどのセグメントも概ね100%になっています。
フェーズⅡに向けて海外部門と都市開発部門が拡大傾向になっています。
海外部門では、東南アジアを中心に住宅部門の進出と英国や新規参入国で収益不動産事業が貢献予想です。
財務戦略
事業ポートフォリオ戦略
引用:野村不動産HD
事業拡大と収益性向上で利益成長率は年平均8%の水準を見込んでいます。
ROAは、5%以上の達成を目指すとしています。
投資・改修戦略
引用:野村不動産HD
株主還元方針
引用:野村不動産HD
野村不動産HDは、配当をより重視した株主還元方針の変更しています。
部門戦略
住宅部門
引用:野村不動産HD
都市開発部門
引用:野村不動産HD
都市開発部門
引用:野村不動産HD
資産運用部門
引用:野村不動産HD
仲介・CRE部門
引用:野村不動産HD
運営管理部門
引用:野村不動産HD
海外部門
引用:野村不動産HD
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:野村不動産HD
- 配当金:165円
- 配当利回:4.40%(24年10月26日終値)
- 配当性向:40.7%
2025年3月度の配当は140円で、総合ディベロッパー7社の中でも高配当になります。
直近10年で見ると2012年から12年連続の増配していて、2025年3月度も増配を予定してます。
フェーズⅠ(25年3月期)までの総還元性向は40%~50%に設定しています。
2024年4月には、さらにDOE4%を下限とする方針も追加してます。
野村不動産HDの株主還元は、いかに配当金を重視しているかが分かります。
株主優待
残念ながら、野村不動産HDは株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
野村不動産HDを買うなら、3500円付近で反発出来るかに注目。
来期も増収増益予想で、EPSは過去最高を更新予想です。
月足10年チャートを見ると移動平均線は全て上向きなので上昇傾向です。
しかし週足5年チャートを見ると移動平均線は全て下落へ転換していることが分かります。
また週足26MAを割り込んでいるので、中期的には下落傾向になります。
このことから3500円付近で反発するのを確認したいです。
野村不動産は、以前分析した長谷工同様に業界ダントツの用地調達能力があります。
実際に決算資料を見ても再開発や建替案件のストックは順調に増えています。
実際に新潟、金沢、岡山、松山など地方中核都市へ着実に進出していています。
中長期経営計画のフェーズⅡには、海外へは東南アジア(主にベトナム、タイ、フィリピン、中国)を中心に不動産投資で、海外事業の利益比率を10%に拡大する事を目指しています。
土地の調達能力と品質を武器に再開発案件や建て替えも着実に増やしています。
三菱地所や三井不動産に比べて総合都市開発がまだ弱いかなと思います。
しかし、好調な業績と12年連続増配の実績から高配当投資としてもオススメ出来る銘柄です。
2025年3月31日に5分割の株式分割を予定しているので、今後さらに買いやすい銘柄にもなります。
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