レーサム(8990)の株価分析と特徴をまとめていきます。
レーサムを5つのポイントで説明
- 未来を見据えて不動産を変化させる不動産価値創造企業
- 主力事業は富裕層向けの資産価値向上事業
- 非常用電源開発を行う未来価値創造事業の成長に注目
- ROE、ROAは総合ディベロッパー7社の平均を大きく上回る経営効率
- 25年3月期までの業績予想と増配で株価は底堅い
レーサムの概要
レーサムは、未来を見据えて不動産を変化させる不動産価値創造企業です。
主な事業内容は、富裕層向けに不動産資産の運用サービスや建物、賃貸管理サービスが中心です。
具体的には、自社で購入した不動産の価値を高めて販売する事業です。
さらに販売した不動産の資産価値を維持向上させるためのサポートも行っています。
レーサムは、1992年に収益不動不動産による資産運用、資産形成コンサルティングを目的に設立されました。
1997年には、債券の買取・価値評価業務を開始。
2000年には、日本初の日本初の国有財産の不動産の証券化を実現します。
また同時期に不動産担保ローンを開始、不良債権処理事業にも注力してきました。
レーサムが成長できた要因が大きく2つあります。
1つは、体力のある富裕層向けに不動産資産運用サービスを提供してきた事です。
もう1つは独自の不動産再生・リノベーションです。
主な物件規模は、数10億円〜100億円の商業ビル、オフィス、マンションや医療・宿泊・教育施設などです。
レーサムの顧客は、今でも個人富裕層を中心に、大企業法人や機関投資家になります。
レーサムのビジネスモデル
引用:レーサム
未来価値創造事業
引用:レーサム
レーサムは、将来の社会課題に対応した事業を未来価値創造事業として行っています。
主にコミュニティホステル、高度医療専門施設、非常用電源開発などになります。
日本初の国有不動産証券化
2000年に証券化を条件とした国有不動産の入札が初めて実施されたました。
レーサムは、マンションや建物付きの不動産8件をまとめた国有不動産を証券化前提で落札します。
日本初のSPC法を活用した国有財産の不動産を証券化を実現しました。
この経験から割安の放置された物件の目利き能力が、レーサムの強みになりました。
香港ファンド
レーサムの現在の筆頭株主は、オアシス・マネジメントになちます。
オアシス・マネジメントは、セス・フィッシャー氏が2002年に香港で設立した投資運用会社です。
23年11月に創業者の田中氏がオアシス・マネジメントのTOBに応募し、筆頭株主になりました。
セス・フィッシャー氏は、アメリカ生まれのユダヤ系の方です。
オアシス・マネジメントは、レーサムの上場維持を前提に10年以上投資をしていく方針です。
TOBの理由
オアシス・マネジメントは、子会社のレイパワーの企業価値拡大に貢献出来ると考えています。
レイパワーは、多発する自然災害に備える軽量の非常用ガス発電機を製造・販売しています。
製品の強い競争力を活かすことで、日本国内や海外市場での販路が拡大できる可能性があります。
オアシス・マネジメントは、海外事業展開を支援する事でレイパワーの企業価値拡大に大きく貢献できると考えています。
オアシス・マネジメントは、上場企業の中に土地の有効活用が出来ていない企業があると分析しています。
企業が保有する一等地の不動産の再開発案件をレーサムが獲得すれば、さらに収益の向上が見込めると考えています。
事業セグメント
レーサムは、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 資産価値創造事業:不動産の調達とそれらを利用した運用商品の組成・開発・販売
- 資産価値向上事業:賃貸管理、建物管理、不動産の収益改善
- 未来価値創造事業:宿泊施設運営、パン及び菓子などの製造・販売、ガスエンジン発電機の開発・製造・販売、高度医療の支援事業等
セグメントの内容
引用:レーサム
レーサムの売上構成比率(2023年12月期)
レーサムの売上の主力は、資産価値創造事業です。
資産価値創造事業の売上高は、全体の約89.8%を占めています。
レーサムの利益構成比率(2023年12月期)
レーサムの利益の主力も資産価値創造事業です。
資産価値創造事業の利益は、全体の約89.8%を占めています。
資産価値創造事業の利益率は25.8%になっています。
2番目に大きい資産価値向上事業の利益率は26.7%になっています。
未来価値創造事業は現状赤字です。
しかし、レーサムは赤字額の縮小や将来黒字化に向けて自信を持っています。
未来価値創造事業は、23年3月期の営業赤字が23億円でした。
24年3月期は、赤字幅を約13億円程度に縮小出来る見通しです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.0倍
- PBR:1.07倍
不動産業の平均PERが14倍、PBRが1.6倍な事を考えると、株価は割安と判断されています。
チャート分析
23年5月に16期ぶりの最高益更新する見通しと175円へ大幅増配する方針も発表しました。
これにより、株価は大幅に上昇しています。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線も全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
24年3月期は、売上、最終益を過去最高の更新予想です。
さらに25年3月期までの中期経営計画を上方修正しているので、業績は堅調です。
また25年3月期の配当を196円へ増配の発表をしています。
この事から、引き続きレーサムの株価は底堅いと予想できます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2022年に684億円、営業利益の過去最高は2008年の183億円です。
24年度は過去最高の連続増益予想で、売上高は過去最高を更新予想です。
営業利益は過去最高を更新予想ではありませんが、過去最高に近い増益予想です。
EPSについては、過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:20.00%
- ROE:19.01%
- ROA:9.02%
- EPS:383.2円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.3%、ROAは2.69%です。
レーサムの経営効率は、総合ディベロッパー7社の平均を大きく上回っています。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は19.72%です。
レーサムの営業利益率は、総合ディベロッパー7社の平均とほぼ同じです。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:47.4%
- 有利子負債倍率:0.93倍
自己資本比率は、総合ディベロッパー7社の平均が29.31%です。
レーサムの自己資本比率は、総合ディベロッパー7社の平均を上回っています。
有利子負債倍率は、総合ディベロッパー7社の平均が1.34倍です。
レーサムの有利子負債倍率は、総合ディベロッパー7社の平均を上回っています。
利益剰余金は、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
レーサムの利益剰余金は、総資産に対して35.5%となっています。
利益剰余金は減少傾向ですが、自己資本比率は改善されています。
中期経営計画
中長期ビジョンに向けたロードマップ
引用:レーサム
経営指標
引用:レーサム
レーサムは、23年3月期の本決算発表時に中期経営計画を上方修正しています。
中期経営計画では、最終年度の25年度に過去最高益を更新する予想です。
中期経営計画中の残り2年間で必要な売上額は2000億円です。
しかし、2023年4月末時点で想定確保済みの売上高は約1411億円です。
また修正の理由の中で、金利上昇したとしても影響は限定的としています。
中期経営計画上方修正の理由
- 足元の在庫状況及び過去の仕入実績に鑑みて、目標売上高を設定
- 一件当たりの金額の増大に応じて、効果を発揮する、高いオペレーティング・レバレッジ
- 強靭なバランスシートの活用
- 未来価値創造事業の赤字幅縮小
株主還元方針
引用:レーサム
レーサムは、25年3月期までの中期経営計画で、配当性向を40%以上としています。
また、配当金の下限を175円を下限としています。
さらに25年3月期は、21円増配して196円の配当を予定しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:175円(2024年3月期予定)
- 配当利回:5.09%(24年2月9日終値)
- 配当性向:45.6%
配当は、3期連続増配を予定しています。
中期経営計画でも、配当性向を40%としているので問題ありません。
株主優待
残念ながらレーサムは、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
レーサムを買うなら、
レーサムの株価は、昨年高値の3545円を割り込んで下落しています。
しかし、月足と週足の移動平均線は全て上向きです。
また、24年度と25年度の決算は中期経営計画を上方修正しているので強気です。
また24年3月期の配当は175円、25年3月期の配当は196円とかなり高配当です。
この事から、株価の下落は一時的と思われます。
営業利益率は、総合ディベロッパー7社の平均値とほぼ同じですが20%とかなり高い利益率です。
ROE・ROAは総合ディベロッパー7社の平均を上回っています。
中期経営計画の中で、利上げ局面に対して影響が限定的と断言しているもの安心出来ます。
投資ファンドが筆頭株主と聞くと、短期の売却が気になります。
しかし、筆頭株主のオアシス・マネジメントは上場維持を前提に約10年以上の投資を想定しています。
また現在は赤字ですが、未来価値創造事業の今後の成長性に可能性を見出しています。
この事からも短期での売却の可能性は低いと考えられます。
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