大成温調(1969)の株価分析と特徴をまとめていきます。
大成温調を5つのポイントで説明
- 国内では中堅の空調・給排水工事設備を得意とするサブコン
- 主力エリアは国内で主な実績は病院・ホテル・高層ビル・学校施設・大型商業施設
- 営業利益率と経営効率は中堅空調サブコン3社の平均を下回る
- 配当金は12年連続減配しない予定で配当方針はDOE3%まで引き上げ
- 株価は節目を作って上昇しているので週足25MAに近づいたら買いたい
大成温調の概要
大成温調は、中堅サブコンですが総合設備のプロフェッショナルグループです。
サブコンとは
大成温調の社名の由来は、「本社のあった大井町で成功する」に由来しています。
スーパーゼネコンの大成建設とは関係ありません。
大成温調は、空気調和、給排水衛生、電気設備および建築一式工事の設計・施工管理を手掛けています。
これまでの実績は、病院やホテル、高層ビル、学校施設や大型商業施設が中心です。
海外展開
引用:大成温調
大成温調は90年代よりアジア、環太平洋圏に位置する海外拠点の強化を目指してきました。
米国
1990年にハワイ州で第2位の設備工事会社「アラカイ・メカニカル社」を買収しています。
これまでにリゾート施設、州・連邦政府関連施設、米軍施設などを受注しています。
中国
大成温調は、アジアの中では中国を拠点にしています。
主に製造業を中心とした日系企業に対して生産工場などの設備をサポートしています。
現在では上海、深圳、中山、広州、蘇州、武漢、成都の7箇所に拠点があります。
これまでに中国で手掛けた工場の実績は300件以上あります。
ベトナム
2013年にベトナムの大手空調・給排水衛生・電気設備工事会社「シーレフィコ社」の株式を取得します。
大成温調の保有している比率は、シーレフィコ者の発行済株式の約25.0%です。
シンガポール
2019年にシンガポールの総合ファシリティサービス会社「ISOTEAM社」の株式を取得しました。
「ISOTEAM社」は、公共施設や商業施設の工事を請け負う総合建設会社です。
今後はミャンマー・カンボジアなど周辺の東南アジア諸国への市場拡大を計画しています。
事業セグメント
大成温調は、主に設備工事事業から成り立っています。
大成温調のエリア別売上構成比率(2023年12月)
売上高の主力エリアは、日本になります。
この日本での売上高は、全体の約73.3%を占めています。
その次が米国で24.8%を占めています。
2015年頃までは、中国が米国を上回る売上高を稼いでいました。
しかし、近年では米国の売上高の方が中国の売上高を上回っています。
大成温調のエリア別利益構成比率(2022年3月)
利益の主力エリアも日本で、全体の約64.9%を占めています。
日本での利益率は約3.7%になっています。
2番目に大きいエリアが米国で、利益率は約5.5%になっています。
中国の利益は、約2億1700万の赤字になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:26.3倍
- PBR:1.18倍
建設業の平均PERが13.4倍、PBRが0.8倍な事を考えるとかなり割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、23年11月までの直近5年はほぼ横ばいです。
23年11月に営業利益の上方修正、増配、株主優待の拡大で大きく株価が上昇しました。
現在の株価は、約32年ぶりの株価になります。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線も全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
直近は、24年1月に付けた5940円を超えれるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1994年に621億円、営業利益の過去最高は1993年の45億円です。
24年3月期は増収減益を予想しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.20%
- ROE:4.49%
- ROA:2.68%
- EPS:206.6円
中堅空調サブコン3社の平均はROE7.64%、ROA4.40%です。
大成温調の経営効率は、中堅空調サブコン3社の平均を下回っています。
中堅空調サブコン3社の平均営業利益が5.36%です。
大成温調の営業利益率は中堅空調サブコン3社の平均を下回っています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:61.3%
- 有利子負債倍率:ー
中堅空調サブコン3社の自己資本比率の平均が58.17%です。
大成温調の自己資本比率は、中堅空調サブコン3社の平均を上回る企業です。
大成温調は、無借金経営なのでかなり健全です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
大成温調の利益剰余金は増加傾向で、総資産に対して36.6%もあります。
利益剰余金が毎年積みあがっているので、本業が順調と言えます。
中期経営計画
引用:大成温調
大成温調は、25年3月期までの中期経営計画を発表しています。
基盤事業の深耕
基本方針
引用:大成温調
これまでの取り組み
成長投資
引用:大成温調
基本方針
引用:大成温調
これまでの取り組み
引用:大成温調
地域戦略
国内拠点
引用:大成温調
海外拠点
引用:大成温調
経営指標
引用:大成温調
大成温調は、24年3月期よりDOEを2.0%から3.0%へ引き上げることを決定しています。
株主還元方針
引用:大成温調
大成温調は、25年3月期より中間配当を実施することを決定しました。
24年3月期よりDOEを2.0%から3.0%目途へ引き上げることを決定しています。
株主優待を見直して、24年4月以降は、9月末と3月末の株主に贈呈へ変更にしています。
また、PBR1倍達成に向けた持続的な施策の検討しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:126円(2024年3月期)
- 配当利回:2.32%(2024年2月9日)
- 配当性向:60.9%
大成温調は、25年3月期より中間配当を実施することを決定しました。
配当金の推移は、11年連続で減配をせずに配当維持か増配をしています。
配当性向は60.9%ですが、健全な財務状況を見ても今後の増配も無理がないと言えます。
また、24年3月期よりDOEを2.0%から3.0%目途へ引き上げることを決定しています。
株主優待
引用:大成温調
毎年3月末現在の株主名簿に記載または記録された株主を対象に、株主優待を実施しています。
2024年4月以降は、9月末と3月末の株主に上記の金額の半額をそれぞれ贈呈になります。
まとめ
大成温調を買うなら、週足25MAに接近したところで買いたい。
チャートを見ると、月足と週足の移動平均線は全て上向きになっています。
直近は、24年1月の高値5940円を超えれるかに注目です。
また株価は、4000円、5000円で節目を作って上昇しています。
節目を作りながら上昇しているので、株価の下落は底堅いと思われます。
空調設備に関しては、なくなる事のない事業で多くの産業の設備投資に関わっています。
空調設備は、ビルやホテルだけでなく病院や製薬会社、半導体など工場や研究所には欠かせません。
海外展開は、中国を拠点に成長の期待できる東南アジアを中心に進出しています。
しかし、アジアの拠点になっている中国での売上は減少傾向です。
その代わり、ハワイを拠点とした米国での売上高は成長しています。
24年3月期の業績は、売上高と営業利益を上方修正しています。
しかし大成温調の業績は、景気状況や設備投資、原材料価格に左右されるので注意です。
特に、中国での日系企業の対中投資や受注環境にも注目です。
配当は「減配せずに利益成長と共に増配」を方針にしています。
大成温調の配当の推移は、直近11年間は配当維持か増配を繰り返しています。
空調サブコン業界の財務体質は、他の業種と比べても健全な財務体質です。
その中でも、大成温調は優秀な財務体質です。
今後の増配に対しても優秀な財務体質なので心配は少ないです。
銘柄コード1900番台の中には、地味ですがとても良い優待銘柄が多いです。
大成温調もその中で、財務体質が優秀な優待銘柄の一つです。
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