高砂熱学工業(1969)の株価を分析していきます。
高砂熱学工業を5つのポイントで説明
- 国内首位の空調工事設備を手掛ける空調系サブコン
- 主力事業は民間企業の事務所の一般空調と工場の産業空調
- 経営効率、利益余剰金共は平均的だが優秀な数値
- 配当方針はDOE2%をベースに減配せず利益成長に応じて配当を増やす方針
- 直近5年の株価はボックス相場で目先は1850円を抜けるかに注目
高砂熱学工業の概要
高砂熱学工業は、ビルや工場の空調設備を手掛ける国内首位の空調系サブコンです。
サブコンとは
売上高は14年連続首位、技術面では特許件数と空気調和衛星学会の合計受賞件数も首位の実績です。
この実績は、2位以下の企業を引き離しています。
高砂熱学工業の事業内容は、空調設備工事およびその周辺分野になります。
主力事業は設備工事事業になり、一般設備と産業設備に分かれています。
事務所や店舗などが一般設備、生産工場などが産業設備になります。
一般設備では、東京ドームや日本武道館、東京証券取引所など様々な分野の大型工事を手掛けてきました。
また海外にもグループ会社を展開していて、東南アジアを中心に10ヵ国で事業を展開しています。
事業セグメント
高砂熱学工業は、主に3つの事業から成り立っています。
- 設備工事事業:一般設備と産業設備の設計・施工、保守等を行う設備工事事業
- 設備機器の製造・販売事業:空調機器等の設計・製造・販売を行う設備機器の製造・販売
- その他事業:保険代理店等
高砂熱学工業のセグメント別売上構成比率(2022年3月)
引用:高砂熱学工業
売上高の主軸は、一般設備と産業設備を合わせた設備工事事業になります。
この設備工事事業は、全体の98%を占めています。
設備工事事業の内訳をみると、一般設備が53.5%、産業設備が45%になります。
一般設備は事務所や店舗の空調設備、産業設備は工場などの空調設備になります。
高砂熱学工業の完成工事高内訳(2022年3月)
引用:高砂熱学工業
高砂熱学工業の完成工事高の内訳を見ると、民間工事が主力になっています。
民間工事の比率は、全体の94.8%を占めています。
用途別では、工場が全体の39%になっていて、その次に事務所が30.7%になっています。
高砂熱学工業の利益構成比率(2022年3月)
22年3月期のセグメント利益の主力も設備工事事業で、全体の98.8%を占めています。
エリア別売上構成比率(2021年12月)
引用:高砂熱学工業
22年3月期のエリア別売上構成比では、日本が83.2%を占めています。
東南アジアには、タイ、シンガポール、マレーシア、ベトナム、ミャンマーが含まれています。
高砂熱学工業は、海外に10拠点進出していますがその内6拠点が東南アジアです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:10.6倍
- PBR:0.87倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとほぼ妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近5年の株価はボックス相場になっています。
上値は2200円付近、下値は1500円付近になっています。
月足移動平均線の24MAと60MAはやや横ばいですが、12MAは下落傾向です。
週足5年チャートを見ると1500円を割り込むと安値圏になって買い戻されています。
週足移動平均線は、13MAは上向きで26MAも上向きに転換しそうです。
現在の株価は安値圏の1500円台から上昇していますが、次は1850円付近が節目です。
1850円を超えれば、2000円台の高値圏を目指した上昇が期待出来ます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2020年に3208億円、営業利益の過去最高も2020年の179億円です。
23年3月期は増収減益を予想しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.21%
- ROE:8.21%
- ROA:3.68%
- EPS:163.2円
大手空調サブコン5社の平均ROE7.91%、ROA4.11%なので、経営効率は平均的な企業になります。
大手空調サブコン5社の平均営業利益が5.01%なので、平均的を少し下回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:44.2%
- 有利子負債倍率:0.25倍
大手空調サブコン5社の自己資本比率の平均が51.8%なので、自己資本比率は平均を下回る企業です。
有利子倍率は、0.25倍とかなり健全です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は21年3月期に減少していますが増加傾向で、総資産に対して35.1%もあります。
中期経営計画
引用:高砂熱学
高砂熱学工業は、2023年3月期までの中期経営計画を発表していましたが取り下げています。
しかし、2023年5月から新ビジョンを公表する為に現在は策定中です。
中期経営計画の取り下げの背景と進捗状況
引用:高砂熱学工業
中期経営計画KGIと成長投資・配当方針の取扱い
引用:高砂熱学工業
中期経営計画の連結売上高や連結経常利益率、自己資本比率やROEの目標を取り下げています。
しかし、投資枠や配当方針には変更ありません。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:60円(2023年3月期)
- 配当利回:3.47%(2022年10月7日)
- 配当性向:36.7%
高砂熱学工業の株主還元は、配当を基本としています。
配当に関しては減配を行わず、利益成長に応じて配当を増やしていく方針です。
連結純資産配当率(DOE)では、2%をベースにしています。
配当金の推移は、直近10年で見ても減配をせずに配当維持か増配をしています。
配当性向は36.7%なので、健全な財務状況を見ても今後の増配も無理がないと言えます。
株主優待
残念ながら高砂熱学工業は、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
高砂熱学工業を買うなら、1850円をと抜いてから購入したい。
チャートを見ると直近5年は1500円付近から2200円付近までのボックス相場になっています。
現在の株価は、下値目途の1500円から底打ちをして上昇傾向になっています。
目先の節目は、1850円になっているのでまずはここを抜いていけるかに注目です。
空調設備に関しては、なくなる事のない事業で多くの産業の設備投資に関わっています。
空調設備は、ビルやホテルだけでなく病院や製薬会社、半導体など工場や研究所には欠かせません。
高砂熱学工業の売上高、特許件数、学会での受賞件数は国内で首位です。
新規事業として航空機、鉄道車両、船舶の研磨・塗装工程の自動化にも取り組んでいます。
海外比率は、まだまだ小さいですが成長の期待できる東南アジアを中心に進出しています。
高砂熱学工業の業績は、景気状況や設備投資、原材料価格に左右されるので注意です。
配当は「減配せずに利益成長と共に増配」を方針にしています。
実際に直近10年では配当維持か増配を繰り返しています。
業界的には平均的な財務体質かもしれませんが、優秀な財務体質です。
今後の増配に対しても優秀な財務体質なので心配は少ないです。
23年5月には、新たな中期経営計画が公表されるので注目です。
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