新日本空調(1952)の株価を分析していきます。
新日本空調を5つのポイントで説明
- 三井グループの空調系サブコンで管工事業界5位の実績
- 原子炉空調やクリーンルームのリーディングカンパニー
- 経営効率は平均を少し上回っていて財務体質や利益剰余金は優秀な数値
- 配当性向は30%以上もしくはDOE3%以上を目途にしていて15期連続減配無し
- 1800円台が底値の節目だが上値の節目2000円を超えるのはまだ難しい
新日本空調の概要
新日本空調は、三井グループの総合設備建設会社で空調系サブコンです。
サブコンとは
新日本空調は、三井物産の斡旋を経て1930年に東洋キヤリア工業として創業しました。
1969年に工事部門を分離独立させて今の新日本空調を設立しました。
同じ三井グループの三機工業も新日本空調の設立に関わっていました。
しかし、現在は三機工業との資本関係はありません。
新日本空調は、これまでに世界初の全列車空調、全船空調施工や日本初の原子炉空調を行ってきました。
この原子炉空調を手掛けている事も新日本空調の特徴です。
クリーンルーム
微粒子可視化システム
新日本空調は、1998年に「微粒子および気流可視化システム『ViEST』」を開発しています。
これは、世界でも類を見ない最高感度を持つシステムです。
半導体の製造が行われるクリーンルームでは、微粒子発生源の90%が作業者と製造装置と言われています。
半導体の高集積化や微細化により、製品欠陥の原因となる微粒子も小さくなっていて、0.1㎛の微粒子が制御の対象になっています。
この微粒子発生源の特定と汚染経路の解明は、半導体メーカにとって重要な課題です。
新日本空調は、レーザ光源、振動ミラー装置、高感度カメラの組み合わせにより、実用のクリーンルームで最小0.15㎛の微粒子可視化に成功したシステムを開発しました。
業種別施工実績
引用:新日本空調
このグラフは、新日本空調が手掛けた業種別の施工実績(施工面積)です。
黄色の電機、電子デバイスが圧倒的に多い事が分かります。
特に半導体や液晶ディスプレイ工場向け等のクリーンルーム施工実績を持っています。
国内実績NO.1の原子力事業
引用:新日本空調
新日本空調は、原子炉空調で日本を代表するリーディングカンパニーです。
新日本空調の原子力事業は、1957年に日本原子力研究所に日本初の原子炉を施工した事から始まります。
これまでにBWR型原子力発電所、高速増殖炉、新型転換炉、再処理施設、ウラン濃縮施設や廃棄物処理施設を含む、原子力関連施設の設計・施工・保守・改修を一貫対応しています。
事業セグメント
新日本空調の事業は、設備工事事業の単一セグメントです。
新日本空調のセグメント別受注高(2022年3月)
22年3月期のセグメント別受注高の内訳を見ると、国内の一般設備工事(新築、リニューアル)が主力になっています。
国内の一般設備事業が受注高に占める割合は78.8%になります。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.4倍
- PBR:0.79倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとほぼ妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価は10年間右肩上がりに上昇していました。
しかし2022年に入ってから株価は下落傾向です。
月足移動平均線は12MAと24MA下向きでローソク足は60MAを割り込んでいます。
週足5年チャートを見ると2000円付近が節目になっていた事が分かります。
週足移動平均線は13MAと26MAが横ばいですが、52MAを割り込んでいます。
2022年からは、1800円が底値圏の節目になっています。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2019年に1223億円、営業利益の過去最高は2022年の68億円です。
23年3月期は増収減益を予想しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.65%
- ROE:8.46%
- ROA:5.13%
- EPS:197.0円
大手空調サブコン5社の平均ROE7.91%、ROA4.11%なので、経営効率は平均的を上回る企業になります。
大手空調サブコン5社の平均営業利益が5.01%なので、平均的を少し上回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:55.7%
- 有利子負債倍率:0.08倍
新日本空調の財務体質は、年々改善傾向になっています。
大手空調サブコン5社の自己資本比率の平均が51.8%なので、平均を上回る企業です。
有利子倍率は、0.08倍とかなり健全です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して34.2%もあります。
中期経営計画
引用:新日本空調
新日本空調は、2020年度から2022年度までの中期経営計画を発表しています。
この期間を2030年までの長期ビジョンに対しての「Phase 1」としています。
業績目標
引用:新日本空調
新日本空調は、2022年度の完成工事高1230億円、営業利益63億円を目標にしていました。
直近の23年3月期の予想は完成工事高1150億円、営業利益65億円を予想しています。
ROEに関しては10%以上に設定しています。
配当方針については、連結配当性向30%以上または株主資本配当率(DOE)3%を下限にしています。
事業基盤増強戦略
引用:新日本空調
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:75円(2023年3月期)
- 配当利回:4.06%(2022年10月28日)
- 配当性向:38.0%
新日本空調の配当は、2007年3月期から15年連続減配をしていません。
中期経営計画で連結配当性向30%以上または、株主資本配当率(DOE)3%以上としています。
23年3月期の配当金は、75円の配当維持を予定しています。
新日本空調の財務状況と剰余金比率はかなり優秀です。
今後の増配や配当維持は問題ありません。
株主優待
残念ながら新日本空調は、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
新日本空調を買うなら、23年3月期決算発表が終わるまで様子見をしたい。
チャートを見ると直近は1800円付近が底値圏になっています。
直近5年の節目は2000円付近でしたが、直近は1800円付近で横ばいになっています。
23年3月期は増収減益予想でEPSも15.1%の減少予想です。
現在の株価は、半年以上の調整期間で横ばいで推移しています。
しかしEPSが減少予想なので株価はさらに下がる可能性があります。
新日本空調の経営効率や利益率は平均を少し上回っていて、財務体質もかなり優秀です。
配当金は、中期経営計画で連結配当性向30%以上または、株主資本配当率(DOE)3%としています。
新日本空調の空調設備は、原子炉空調や半導体などの空調設備に強みを持っています。
また新規事業で太陽光発電事業を開始、海外事業はベトナムで駐在所の開設しています。
2022年度で新日本空調の中期経営計画「Phase 1」が終わります。
次回の中期経営計画での目標設定や新規事業や海外事業の取り組みも注目です、
こちらもCHECK
高砂熱学工業(1969)の株価を分析【高配当銘柄】
高砂熱学工業(1969)の株価を分析していきます。 高砂熱学工業を5つのポイントで説明 国内首位の空調工事設備を手掛ける空調系サブコン 主力事業は民間企業の事務所の一般空調と工場の産業空 ...
続きを見る
こちらもCHECK
大気社(1979)の株価を分析【高配当銘柄】
大気社(1979)の株価を分析していきます。 大気社を5つのポイントで説明 海外比率50%の空調サブコンで自動車塗装シェアは世界NO.2 直近5年の業績は停滞中で中期経営計画の達成は厳し ...
続きを見る
こちらもCHECK
三機工業(1961)の株価を分析【高配当銘柄】
三機工業(1961)の株価を分析していきます。 三機工業を5つのポイントで説明 三井グループのサブコンでプラントも手掛ける総合エンジニアリング企業 主力事業は建築設備事業でゼネコン以外の ...
続きを見る
こちらもCHECK
ダイダン(1980)の株価を分析【高配当銘柄】
ダイダン(1980)の株価を分析していきます。 ダイダンを5つのポイントで説明 みどり会に参加する空調系サブコンで管工事業界4位の実績 設備工事事業の単一セグメントで再生医療やフィルタ再 ...
続きを見る
こちらもCHECK
大成温調(1904)の株価分析と特徴【株主優待のクオカードを6倍に拡大】
大成温調(1969)の株価分析と特徴をまとめていきます。 大成温調を5つのポイントで説明 国内では中堅の空調・給排水工事設備を得意とするサブコン 主力エリアは国内で主な実績は病院・ホテル ...
続きを見る