鹿島建設(1812)の株価分析と特徴をまとめていきます。
鹿島建設を5つのポイントで説明
- 様々な日本初を持つ技術力と総合力の高さ
- 海外売上比率は30%でアメリカや東南アジアに強み
- 土木事業に強みを持っていて今後は国内外の建設事業と不動産開発に注力
- スーパーゼネコンの中で直近10年間の株価パフォーマンスが一番良い
- 株価は30年ぶりの株価まで戻り下落しているが週足26MAを上抜け出来るかに注目
鹿島建設の概要
鹿島建設は、スーパーゼネコンの中でも海外売上高30%を占める企業です。
創業当時から現在まで、新たな領域に挑戦してきた「パイオニア精神」と「現場第一主義」を大切にしていて、数々の難工事をこなしてきました。
超高層ビル、原子力発電所やダム、上下水道、トンネルの土木工事が得意分野なので「西洋建築の鹿島」、「原発の鹿島」「鉄道の鹿島」、「土木の鹿島」、「ダムの鹿島」、「超高層の鹿島」と言われています。
手掛けた物件の品質の高さから「技術の鹿島」と今では言われています。
鹿島建設の技術力の高さとパイオニア精神が分かる様々な日本初
- 日本初の鉄道工事請負
- 日本初のコンクリートダム「高堰堤大峯ダム」
- 日本初の研究所「鹿島建設技術研究所」
- 日本初の原子炉「日本原子力研究所第一号原子炉」
- 日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」
- 日本初のアーチダム「九州電力上椎葉ダム」
- 日本初の高速道路「名神高速道路山科工区」
- 日本初ビル解体工法「カットアンドダウン工法」
- 日本建設業初のアメリカ現地法人の設立
業界トップの技術研究所やグループ企業の多さから、「総合力の鹿島」としても有名です。
海外進出
また日本のゼネコンでは、いち早く海外進出しています。
アメリカでは、リトルトーキョーをきっかけに進出しています。
今では現地の企業の向上やオフィス、ホテル、住宅等を手掛けています。
さらにリピート率7割を超える高い評価を受けてます。
東南アジアでは、鹿島建設が得意な土木工事技術が認められています。
実際に鹿島建設は、ダムや発電所、ドッグ工事を受注しています。
宇宙事業
2016年にJAXAと月や火星での宇宙工事を目指す共同研究を進めています。
これは鹿島建設が開発した、建設機械の自動動化技術を中心として、次世代建設生産システム「クアッドアクセル」を活用されています。
「クアッドアクセル」とは、タブレット端末で複数の建設機械に作業計画を指示することで、無人で自動運転を行うシステムです。
引用:鹿島建設
事業セグメント
鹿島建設は、主に5つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:土木工事に関する事業
- 建築事業:建築工事に関する事業
- 開発事業等:不動産開発全般に関する事業及び意匠・構造設計、その他設計、エンジニアリング全般の事業等
- 国内関係会社:主に日本国内における建設資機材の販売、専門工事の請負、総合リース業、ビル賃貸事業等
- 海外関係会社:北米、欧州、アジア、大洋州などの海外地域における建設事業、開発事業等
鹿島建設の売上構成比率(2024年3月)
鹿島建設の売上の主力は建築事業で全体の39.7%を占めています。
また鹿島建設の特徴として、海外での建築不動産開発にも強みを持っています。
24年3月期の海外での売上高比率は約30%になりました。
手掛けた国は69か国ありますが、アメリカが海外売上高の50%を占めています。
鹿島建設は海外の中でもアメリカに強いとも言えます。
鹿島建設の利益構成比率(2024年3月)
鹿島建設の利益の主力も建築事業で全体の39.2%を占めています。
建築事業の利益率は4.83%となっています。
前期の利益率が4.29%だったので、利益率は改善しています。
その次に大きいのが、土木事業で利益率は6.4%です。
しかし、前期の利益率が9.7%だったので、利益率は横ばい悪化しています。
前期に続いて今期も一番利益率が高かったのが、開発事業等で21.59%です。
前期の利益率が16.01%だったので、利益率は改善されています。
ゼネコンの決算を見る中で重要なのが工事損失引当金です。
この工事損失引当金とは、工事に対して赤字の見通しが立った時、先に当期の損失として計上しておく事です。
つまり、かなり厳しい条件での受注や原材料や人件費の高騰、工事の進捗が悪化している事がわかります。
鹿島建設の工事損失引当金は、スーパーゼネコンの中で1番に少ない金額です。
しかし、前年より増加していますが堅実な受注状況と言う事が分かります。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:12.5倍
- PBR:1.08倍
上場しているスーパーゼネコン4社の平均PERが15.3倍、PBRが1.04倍です。
鹿島建設の株価は、上場しているスーパーゼネコン4社の中でも割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、約7年ぶりに高値を更新し3212円の株価をつけて下落しています。
この3212円は1991年以来の高値です。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線は26MAと52MAが上向きですが、13MAが下向きになっています。
また株価は、週足26MAに押さえつけられるように割り込んでいます。
まずは、株価が週足26MAを上抜け出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2024年に2兆6651億円、経常利益の過去最高は2018年の1583億円です。
25年3月期の売上は過去最高を更新予想です。
建築事業の利益率回復や東南アジアでの事業回復で増収増益を見通しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.75%
- ROE:8.68%
- ROA:3.35%
- EPS:223.4円
ROEは10%以上、ROA5%以上あれば経営効率の優秀な企業の目安になります。
スーパーゼネコン5社の平均ROE5.56%、ROA2.17%です。
鹿島建設の経営効率は、平均を上回る経営効率です。
スーパーゼネコン5社の平均営業利益が3.58%です。
鹿島建設の営業利益率は、平均を上回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:38.6%
- 有利子負債倍率:0.51倍
スーパーゼネコン5社の自己資本比率の平均は37.2%、有利子負債倍率は0.38倍です。
これに対して、鹿島建設の財務状況は平均を少し上回っています。
スーパーゼネコン5社の利益余剰金の平均は26.1%です。
また、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
鹿島建設の利益剰余金は、総資産に対して28.4%となっています。
利益剰余金は増加傾向で、財務体質も健全なので本業が順調と言えます。
中期経営計画
利益目標
引用:鹿島建設
経営数値目標
引用:鹿島建設
ROE10%以上の継続と2026年度の連結当期純利益1300億円以上を目指しています。
投資計画
引用:鹿島建設
投資計画は、成長戦略を推進するために、3年間で1.2兆円程度の投資を実施する計画です。
今回の投資計画では、国内外の開発事業に9500億円を投じるとしています。
この開発事業とは不動産開発事業の事です。
24年3月期決算で開発事業等の利益率は21.59%と利益率の高いセグメントになっています。
また海外の開発事業には、6300億円投資を計画しています。
いかに鹿島建設が世界に目を向けているかがわかります。
設備投資
引用:鹿島建設
国内開発事業
引用:鹿島建設
海外開発事業
引用:鹿島建設
財務戦略
引用:鹿島建設
財務の健全性を維持するため、D/Eレシオは0.7倍程度を目安にしています。
また政策保有株式は、「26年度末までに連結純資産の20%未満」を目標に500億円以上を売却予定です。
さらに目標到達後も継続的に縮減する見込みです。
株主還元方針
引用:鹿島建設
鹿島建設は、配当性向の目安を40%に引き上げ、利益成長に連動した配当を実施します。
また機動的な自己株式取得を継続し、2024年度は300億円の自己株式の取得予定です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:90円(2024年3月期)
- 配当利回:3.24%(24年6月28日)
- 配当性向:40.2%
鹿島建設の配当金は4年連続増配していましたが、24年度は配当を維持予定です。
26年度までの中期経営計画では、連結配当性向40%を目安としています。
また6期連続で自己株式の取得予定です。
株主優待
残念ながら、鹿島建設は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
鹿島建設を買うなら、株価が週足26MAを上抜け出来るかに注目したい。
鹿島建設の株価は、約30年ぶりの株価まで回復しましたが下落しています。
しかし、昨年に2度つけた高値の2617円付近まで下落し、反発しています。
週足移動平均線は26MAと52MAが上向きになっていて、月足移動平均線も全て上向きです。
直近は、週足26MAを上抜け出来るかに注目です。
配当金については、4年連続の増配と12年間減配していないのは安心材料だと思います。
国内事業は、人件費の高騰や人材不足などの課題があります。
しかしクアッドアクセルに代表されるように、様々な工程でデジタル化や無人化を進めて対策をしています。
土木や耐震技術に評価の高い鹿島建設は、今後の「国土強靭化計画」でしっかり恩恵を受けと予想されます。
海外事業は、売上は全体の30%と年々成長しています。
また25年3月期も海外事業の売上は、過去最高を更新予想です。
社長も「海外の売上を4割から5割まで」と言っているので、今後の海外展開も期待できます。
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