東洋建設(1890)の株価分析と特徴をまとめていきます。
東洋建設を5つのポイントで説明
- 港湾・海岸・海洋の土木を中心に強みを持つマリコン
- 財務状況は大手マリコン3社の中でダントツ
- 利益率は中堅ゼネコンでトップ
- 現在株価調整中だが1100円付近の上値抵抗線を抜けれるかに注目
- 今後は洋上風力・環境施設・アフリカに注力
東洋建設の概要
東洋建設は、港湾・海岸・海洋での土木を中心に土木事業に強みを持つ中堅ゼネコンです。
国内屈指のマリコンとして有名ですが、マリコン業界では3位の企業です。
メモ
マリコンとは、ゼネコンの中で、特に海洋関係の土木工事・港湾施設・建築の建設工事を中心とする建設業者の事です。
工事内容は、埋立・浚渫、護岸・防波堤、海底工事、橋梁基礎工事、海底トンネル工事などの海洋土木工事全般および港湾施設の建築工事を請け負います。
2002年には前田建設工業と業務提携、2003年には前田建設工業の連結会社になっています。
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前田建設工業の連結会社に入った事で、従来の海上土木だけでなく陸上の建設にも注力しています。
今後は、洋上風力発電・環境関連施設・海外事業を成長分野にしています。
洋上風力では、日立造船と共同でサクションバケット基礎の実証実験を予定しています。
これは、着床式の洋上風力発電施設の低コスト化(建設費20%低減)を実現できる技術です。
海外事業は東南アジアとアフリカに進出していて、売上の約10%を占めています。
最重要拠点のフィリピンを中心にベトナム、インドネシア、カンボジア、ミャンマーに進出してます。
また現在、アフリカのケニア・モンバサ港コンテナターミナル開発の工事を施工しています。
洋上風力事業
引用:東洋建設
東洋建設は、国内土木事業の成長戦略に洋上風力事業に注力しています。
実際に再生可能エネルギーの普及のために洋上風力部を設立しています。
引用:東洋建設
洋上風力事業では、大型船建造と低コスト開発の実現で優位性を確保しようとしています。
引用:東洋建設
着床式(サクションバケット基礎)は、今年の夏から実証実験を実施予定なので、結果に注目です。
引用:東洋建設
注力8分野
引用:東洋建設
東洋建設の建築事業でこれまで取り組んできたのが、この「注力8分野」です。
- 官庁
- 医療福祉
- 環境施設
- 宿泊施設
- 事務所
- 住宅
- 生産施設
- 物流施設
今後も物流・⽣産施設中⼼に継続強化していく方針です。
海外事業
引用:東洋建設
東洋建設は、2029年の海外事業の営業利益を全体の2割まで引き上げる成長分野にしています。
海外の最重要拠点をフィリピンに設定しています。
実際にCCT(フィリピンの日系現地法人)は、工場・倉庫部門では1位を獲得しています。
またアフリカのケニアを拠点国にしていて、モンバサ港コンテナターミナル建設工事を受注しています。
モンバサ港は、東アフリカ最大の商業港になります。
今後はケニアを含むサブサハラアフリカ(アフリカ大陸のうちサハラ砂漠以南の地域)に注目しています。
事業セグメント
東亜建設工業は、主に5つのセグメントから成り立っています。
- 国内土木事業:国内の土木工事の施工等
- 国内建築事業:国内の建築工事の施工等
- 海外建設事業:海外において土木工事、建築工事の施工等
- 不動産事業:国内において不動産の販売、賃貸等
- その他事業:保険代理店業及び物品の販売・リース事業等
東洋建設の売上構成比率(2023年3月)
売上高の主軸は国内土木事業になり、全体の46.1%を占めています。
内訳を見ると、海上土木が占める割合は30.2%、陸上土木が占める割合は17.1%です。
2番目に大きいセグメントの国内建築事業が占める割合は40.1%になっています。
東洋建設の事業セグメントはバランスが取れたポートフォリオです。
東洋建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も国内土木事業になり、全体の58%を占めています。
23年3月期の国内土木事業の利益率は6.7%、国内建築事業の利益率は4.7%になっています。
また東洋建設の営業利益率は、中堅ゼネコンの中で一番高い実績になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:16.7倍
- PBR:1.43倍
建設業の平均PERが14.4倍、PBRが0.9倍な事を考えると割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価1100円付近が上値抵抗線になっています。
月足移動平均線は3本共上向きになっていて、長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線も3本共上向きになっていて、中期的に上昇傾向です。
株価は、21年3月から節目を作って上昇をし、また節目を作って上昇してきました。
目先は、1050円で底打ち出来るかにも注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1997年に3418億円、営業利益の過去最高は2021年の1425億円です。
24年3月期は10%以上の増収増益の予想になっています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.25%
- ROE:8.61%
- ROA:4.08%
- EPS:63.7円
中堅ゼネコン8社の平均営業利益率は3.18%なので、利益率は平均を上回る企業です。
中堅ゼネコン8社の平均ROEは6.51%、平均ROAは2.83%なので、経営効率も平均を上回るな企業です。
中堅ゼネコン8社の内、3年連続最も高い営業利益率を出しているのは東洋建設です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:46.7%
- 有利子負債倍率:0.07倍
中堅ゼネコン8社の自己資本比率の平均が43.4%、有利子負債倍率の平均は0.27倍です。
東亜建設工業の自己資本比率は、平均より少し高いです。
東亜建設工業の有利子負債倍率は、平均を大きく下回ります。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は毎年増えていて、総資産に対して31.6%もあります。
直近3年の有利子倍率も減少傾向で、1倍以下の0.16倍です。
中期経営計画
東洋建設は、2027年に向けた中期経営計画を策定しています。
経営数値目標
引用:東洋建設
営業利益見込み
引用:東洋建設
資本政策
引用:東洋建設
中期経営計画の1年目から3年目は配当性向100%としていて、下限を50円に設定しています。
4年目に関しても、自己資本比率40%を目途に積極的な配当の継続を掲げています。
投資方針
引用:東洋建設
“守りから攻めへ”の方針で、洋上風力事業を中心に積極的な投資を行う計画です。
この積極的な投資により、成長領域の収益基盤構築と既存事業の更なる強化を実現します。
事業別戦略
国内土木事業
引用:東洋建設
国内建築事業
引用:東洋建設
海外建設事業
引用:東洋建設
洋上風力事業
市場環境
引用:東洋建設
日本の洋上風力発電市場は、2030年代以降に大きく拡大する見通しです。
技術開発
引用:東洋建設
東洋建設は、技術開発で着床式と浮体式の両方に対応する技術開発を行っています。
この技術を先行させる事で、競争力・収益力を強化して差別化を図る計画です。
参入アプローチ
引用:東洋建設
東洋建設は、商船三井との洋上風力発電関連作業船の協業検討に関する覚書を締結しました。
国内外の洋上風力発電事業に関する海上工事向け船舶の事業化に向けた協議を開始しています。
洋上風力事業の数値目標
引用:東洋建設
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:63円(2024年3月期)
- 配当利回:5.94%(23年8月18日終値)
- 配当性向:98.9%
配当は、19年3月期に減配していて、22年3月期も減配しています。
中期経営計画の中で2026年3月期まで、配当性向100%(下限を50円)に設定しています。
ここに関しては、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」の影響が大きいと考えられます。
22年3月期の表記が0円になっていますが、実際には20円の配当を実施しています。
インフロニアHDによる公開買付けで、完全子会社となる予定でした。
完全子会社となれば、上場廃止になる予定だったので23年3月期の配当予想は記載していませんでした。
しかし、「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)」の提案した取締役候補7人の選任が可決される等あり、インフロニアHDのTOBは実現していません。
株主優待
残念ながら東洋建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
東洋建設を買うなら、1050円付近でしっかり反発したあとか、1100円の上値抵抗線を超えてから購入したい。
チャートを見ると月足と週足移動平均線は3本共上向きで、中長期的にも上昇傾向です。
財務状況は、大手マリコン3社の中でダントツ、利益率は中堅ゼネコンでトップです。
配当は直近10年に2回減配しています。
しかし、アクティビスト対策の一環からか中期経営計画でも積極的な株主還元を宣言しています。
事業ポートフォリオは、海洋土木、陸上土木、建築のバランスが取れています。
海外進出でも東南アジアではしっかりと実績を出しています。
アフリカはケニアでの実績が出てきたところです。
今後も国内屈指のマリコンとして、今後の洋上風力と海外事業に注目です。
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