ヒューリック(3003)の株価分析と特徴をまとめていきます。
ヒューリックを5つのポイントで説明
- 時価総額、経常利益は不動産業界4位
- 上場来17期連続で過去最高の営業利益と連続増配を更新予想
- 営業利益率、ROE、ROAは大手ディベロッパーを大きく上回って業界トップ
- 主力事業は銀座を中心とした好立地物件の不動産賃貸事業
- 株価は中期・長期の移動平均線を見ても下落傾向
ヒューリックの概要
ヒューリックは、銀座を中心に不動産投資と不動産開発を主力に行う不動産ディベロッパーです。
特に、都心5区の駅近物件を中心とした不動産賃貸事業を主力にしています。
東京駅に近いのオフィス・商業ビル、観光地のホテル・旅館や老人ホームに積極的な投資や開発しています。
2023年12月末時点で、オフィスビルを中心に全国に賃貸用不動産を250棟保有しています。
その中でも特に都心の主要エリアに豊富な物件を所有しています。
その保有ビルは、駅近物件が多いのが特徴です。
ヒューリックのこだわる物件は、東京都心5区の駅から3分以内と好立地です。
その好立地は、ヒューリックの保有するオフィスビルの空室率にも表れています。
東京都都心5区のオフィスビルの空室率6%に対して、ヒューリックの保有する全物件の空室率は0.7%です。
ヒューリックの強みは「選択と集中」
引用:ヒューリック
ヒューリックの成長のカギは、経営資源の選択と集中です。
ヒューリックは将来の変化を予測して、都心駅近のオフィス・商業ビル・観光地のホテル・旅館や高齢者施設へ積極的な投資や開発を行っています。
その一方で、マンション開発、地方のオフィスへの投資や大規模開発は、人口動向や事業リスクを考えて行わない方針です。
経営資源を「選択と集中」することで、ヒューリックは大きな成長を続けています。
都心駅付近の好立地物件を多数保有
引用:ヒューリック
ヒューリックは、東京23区に数多くの物件を保有しています。
その8割近くが最寄駅から徒歩5分以内の駅近物件です。
駅地下物件の理由は、交通利便性に優れているので一般オフィス、銀行店舗、商業店舗などのさまざまなテナントのニーズがあります。
競争力の高い賃貸業
引用:ヒューリック
ヒューリックの中核事業になっている賃貸事業は、「都心」「駅近」「好立地」にこだわった競争力の高いポートフォリオを構築しています。
これにより市場の平均と比較しても低い空室率・高い平均賃料を実現しています。
競争力の高いポートフォリオが、ヒューリックの安定した収益につながっています。
銀座の大家さん
引用:ヒューリック
ヒューリックは、銀座エリアに非常に価値を見出しています。
その理由は小ぶりの土地や建物が多く、大手と競合するケースが少ないからです。
実際にヒューリックが銀座・有楽町エリアに所有するビルは所有物件は全37物件。
銀座エリアの強さから「銀座の大家さん」と言われています。
ヒューリック自身も「新橋の地下鉄の出口から目に見える範囲が好立地の条件」と言い切っています。
事業セグメント
ヒューリックは、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 不動産事業:不動産賃貸業務、不動産開発業務、アセットマネジメント業務等
- 保険事業:保険代理店業務
- ホテル・旅館事業:ホテル及び旅館の運営業務
- その他事業:建築工事請負業務、設計・工事監理業務等
ヒューリックの売上構成比率(2024年12月)
ヒューリックの売上の主力は不動産事業です。
不動産事業の売上高は、全体の約87%を占めています。
ヒューリックの利益構成率(2024年12月期)
利益の主力も不動産事業になっていて、全体の97.1%を占めています。
不動産事業の利益率は32.9%で、前期に続いて最も利益率の高いセグメントです。
しかし、前期の不動産事業の利益率は38.4%だったので、利益率は悪化しています。
ヒューリックの物件ポートフォリオ(2024年12月期)
引用:ヒューリック
ヒューリックのアセット別ポートフォリオを見るとオフィスが43%を占めています。
その内、みずほFGのオフィスは4%で、前年と比べて-1%です。
この事からも、みずほFGへの依存度は低いことが分かります。
ポートフォリオの再構築で物件数は、前年と比べて5物件減少しています。
しかし、賃貸等不動産の含み益と賃貸可能面積は、直近5年で着実に増加しています。
これは、ポートフォリオの再構築を進めながら、賃貸等不動産の評価損益と賃貸可能面積を維持しているからです。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.5倍
- PBR:1.23倍
不動産業の平均PERが14倍、PBRが1.6倍な事を考えると、株価は妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、850円から1400円の間でボックス相場になっています。
月足移動平均線は、13MAが下向きになっていて、ローソク足も24MAを割り込んでいます。
週足移動平均線も全て下向きなので中期的に下落傾向です。
25年12月期も営業利益を過去最高の更新予想です。
ヒューリックは、株価が1400円付近になると新株発行と売出しを行う傾向があります。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2024年に5916億円、営業利益の過去最高は2024年の1633億円です。
25年度も過去最高の連続増益予想で、達成すれば17期連続になります。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:27.61%
- ROE:12.8%
- ROA:3.74%
- EPS:134.4円
総合ディベロッパー7社の平均ROEは9.4%、ROAは2.75%なので、平均を大きく上回る経営効率です。
総合ディベロッパー7社の平均営業利益率は18.8%なので、平均を大きく上回る営業利益率です。
EPSは、13年連続で過去最高を更新しました。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:37.3%
- 有利子負債倍率:2.25倍
総合ディベロッパー7社の自己資本比率の平均は29.16%、有利子負債倍率は1.85倍です。
これに対して、ヒューリックの財務状況は平均を下回っています。
総合ディベロッパー7社の利益余剰金の平均は26.1%です。
また、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
ヒューリックの利益剰余金は、総資産に対して17.1%となっています。
しかし、利益剰余金が毎年積みあがっているので、本業が順調と言えます。
中期経営計画
定量目標
引用:ヒューリック
中期計量計画(利益計画・投資計画)
引用:ヒューリック
成長戦略
引用:ヒューリック
海外事業
引用:ヒューリック
資本・財務戦略
引用:ヒューリック
株主還元方針
引用:ヒューリック
ヒューリックの株主還元は配当を中心としています。
中計フェーズⅢでも、配当性向目標を「40%以上」としています。
またヒューリックは上場以来16期連続の増配を実現していて、2025年も増配予定です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:57円(2025年12月期予定)
- 配当利回:4.23%(25年2月10日終値)
- 配当性向:40.1%
配当は、16期連続増配を予定しています。
中期経営計画でも、連結配当性向を40%以上としているので問題ありません。
株主優待
ヒューリックは、毎年12月末日時点に300株以上保有でカタログギフトがもらえます。
- 保有期間3年未満:3000円相当のカタログギフトから1つ
- 保有期間3年以上:6000円相当のカタログギフトから2つ
「あしなが育英会」への寄付項目を設けていて、優待商品の代わりにその相当金額を寄付出来ます。
まとめ
ヒューリックを買うなら、下落傾向なので様子を見たい。
月足移動平均線と週足移動平均線を見ても下落傾向です。
配当金に関しては、16年連続増配しているので安心材料です。
ヒューリックの25年12月期の営業利益の見通しは、過去最高予想です。
17期連続で最高益と増配を更新予定なので魅力はかなり高いです。
また営業利益率・ROE・ROAは大手ディベロッパーを上回っているのも魅力です。
また、ヒューリック自身が経常利益額を重要視しています。
この見通しの経常利益額を割れると大きく値下がりするのではないかと思います。
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