住友林業(1911)の株価分析と特徴をまとめていきます。
住友林業を5つのポイントで説明
- 国内では取扱高NO.1の木材・建材商社
- 売上・利益共に主力事業は海外住宅・建築・不動産事業
- 木造建築が主流で人口増加が見込めるアメリカとオーストラリアに強み
- 月足・週足チャートは右肩上がりだが週足26MAで反発出来るかに注目
- 24年度は過去最高の売上高と営業利益を更新予想(1ドル=140円で想定)
住友林業の概要
住友林業は、木造注文住宅のリーディングカンパニーです。
戸建て住宅の販売戸数では7位、業界では4位とシェアを獲得しています。
住友林業の強みは、素材調達から加工、住宅建設まで一貫して行える住宅メーカーと言うころです。
国内に約4.8万ヘクタールの森林を所有しています。
その規模は日本の国土の1/900の森林を保有している事になります。
海外ではインドネシアを中心に約23.1万ヘクタールの森林を所有しています。
木材建材事業は、その広大な森林から木材を調達して加工して販売しています。
国内では取扱高NO.1の木材・建材の商社の地位を確立しています。
W350計画
引用:住友林業
住友林業は創業350周年になる2041年に向けて、W350計画を立てています。
W350計画とは、高さ350mの木造超高層建築物を実現するための構想です。
木の川上から川下まで一貫して担う住友林業ならではの構想です。
建築・構造設計を日建設計が行っています。
持分法適用会社の熊谷組も技術協力で参加していると思われます。
海外住宅・建築・不動産事業
引用:住友林業
住友林業は、人口増加が見込まれるアメリカやオーストラリアに進出しています。
木造建築が主流アメリカとオーストラリアでに強みを持っています。
23年のアメリカでの戸建販売戸数が10,334戸で、23年の国内の戸建販売戸数が8,773戸にります。
この数字を見て分かるように、アメリカだけで日本以上に戸建を販売している事になります。
その結果、アメリカでは第10位、オーストラリアでは第3位のハウスメーカーになっています。
また住友林業グループのアメリカでの集合住宅の着工戸数は、22年度実績で8,000戸を超えました。
この実績は、アメリカで6位相当になります。
アジア地域では、インドネシア、ベトナム、タイ、中国、香港に進出しています。
また子会社の熊谷組と不動産開発に共同で取り組むためにシンガポールに合弁会社を設立しています。
住友林業と熊谷組が一緒になって行う海外初のプロジェクトになります。
事業セグメント
住友林業は、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 木材建材事業:木材・建材の仕入・製造・加工・販売等
- 住宅事業:戸建住宅・集合住宅等の建築工事の請負・アフターメンテナンス・リフォーム、分譲住宅等の販売、不動産の賃貸・管理・売買・仲介、住宅の外構・造園工事の請負、都市緑化事業、CAD・敷地調査等
- 海外住宅・建築・不動産事業:海外における、分譲住宅等の販売、戸建住宅の建築工事の請負、集合住宅・商業複合施設の開発、国内における中大規模建築工事の請負等
- その他事業:有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の運営事業、保険代理店業、土木・建築工事の請負等
住友林業の売上構成比率(2023年12月期)
売上の主力は、海外住宅・建築・不動産事業で全体の53.6%を占めています。
2番目に大きいのが、住宅事業で全体の30.2%を占めています。
住友林業の利益構成比率(2023年12月期)
利益の主力も、海外住宅・建築・不動産事業で全体の70.3%を占めています。
この海外住宅・建築・不動産事業の利益率は11.8%になっています。
前期の利益率は18.5%だったので、大幅に利益率が悪化しています。
2番目に大きい住宅事業の利益率は6.1%になっています。
また住友林業は、24年度の為替レートを1ドル=140円にて想定しています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:8.1倍
- PBR:1.13倍
建設業の平均PERが16.7倍、PBRが1.1倍です。
他のハウスメーカーと比べてもかなり割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、現在の株価は上場来高値をつけて下落しています。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線も全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
現在の株価は、週足の移動平均線の26MAにサポートされています。
直近は、週足26MAでしっかり反発出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2023年に1兆7331億円、営業利益の過去最高は2022年の1582億円です。
2024年12月期の業績予想は、増収増益で売上高、営業利益、経常利益で過去最高を予想しています。
主な要因は、米国での戸建住宅の伸長と不動産開発の物件売却の増加です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:7.82%
- ROE:13.98%
- ROA:5.82%
- EPS:515.5円
大手住宅会社5社の平均ROEは14.69%、ROAは6.07%です。
住友林業の経営効率は、大手住宅会社5社の平均とほぼ同じです。
大手住宅会社5社の平均営業利益率は9.3%です。
住友林業の営業利益率は、大手住宅会社5社の平均を少し下回っています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:41.6%
- 有利子負債倍率:0.56倍
自己資本比率は、大手住宅会社5社の平均が44.5%です。
住友林業の自己資本比率は、大手住宅会社5社の平均を少し下回っています。
有利子負債倍率は、大手住宅会社5社の平均が0.7倍です。
住友林業の有利子負債倍率は、大手住宅会社5社の平均を下回っています。
利益剰余金は、総資産に対して30%以上が安心の目安と言われています。
住友林業の利益剰余金は、総資産に対して29%となっています。
剰余金は、総資産の30%以上は欲しいところです。
しかし利益剰余金は増加傾向で、自己資本比率も改善されています。
中期経営計画
業績目標
引用:住友林業
住友林業は、世界最大の木造住宅市場のアメリカとオーストラリアでさらなる成長を計画しています。
セグメント別目標
引用:住友林業
住友林業は24年度に売上高2兆650億円、経常利益1730億円を予想しています。
これは、中期経営計画の目標を達成する見込みです。
投融資計画
引用:住友林業
2024年までの3年間の投融資計画は3000億円を計画しています。
特に海外住宅には1300億円の投資なので全体の約40%を占めます。
国内外の住宅・不動産事業の計画
引用:住友林業
21年度までの中期経営計画でアメリカとオーストラリアの住宅販売戸数は13,000戸に対して14,399戸でした。
24年度までの目標は、国内で9750戸、アメリカで16,000戸、オーストラリアで4000戸です。
しかし、24年度計画では、国内で7,730戸、アメリカで11,785戸、オーストラリアで3,385戸となっています。
また23年度の実績は、国内で8,275戸、アメリカで10,221戸、オーストラリアで3,402戸でした。
現状では、住宅販売戸数の目標の達成はかなり難しい状況です。
中計の数値を達成するためには、期初受注残の戸数よりも期中の契約や着工戸数に注目です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:住友林業
- 配当金:130円(2024年12月期予定)
- 配当利回:3.13%(23年2月16日)
- 配当性向:25.2%
配当金は12年間減配せずに右肩上がりに推移しています。
また24年12月期の配当性向25.2%なので、まだまだ増配余力があります。
住友林業の財務体質は健全なので、高配当銘柄の中でも安心して保有できる銘柄です。
株主優待
残念ながら住友林業は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
住友林業を買うなら、週足26MAでしっかり反発出来るかに注目。
国内の住宅市場は、年々着工件数が減少していく傾向にあり、集合住宅事業がありません。
住友林業は、他のハウスメーカーのような高付加価値商品がないのがハンデになります。
主力事業の海外では、人口増加が見込めるアメリカやオーストラリア、東南アジアに注力しています。
2023年12月期の海外事業の比率は全体の53.6%になりました。
実際にアメリカの販売戸数が日本国内の販売戸数を大きく上回っています。
アメリカでは、慢性的な住宅供給不足が継続していくと予想されます。
アメリカにも強みを持つ住友林業は魅力的なハウスメーカーと言えます。
来期の業績は、増収増益で売上高、営業利益、経常利益で過去最高を予想しています。
主な要因は、米国での戸建住宅の伸長と不動産開発の物件売却の増加です。
想定している為替レートは1ドル=140円なので、為替の変動にも注意が必要です。
またアメリカの住宅需要は、引き続き慢性的な住宅供給不足が継続していくと予想されます。
月足チャートや週足を見ると移動平均線は全て上向きです。
このことから住友林業の株価は中長期的に上昇傾向にあります。
現在の株価は、年初来高値の4688円をつけて下落しています。
まずは、週足26MAでしっかり反発出来るかに注目です。
こちらもCHECK
積水ハウス(1928)の株価分析と特徴【12年連続増配の高配当銘柄】
積水ハウス(1928)の株価分析と特徴をまとめていきます。 積水ハウスを5つのポイントで説明 国内着工戸数NO1、累計建築戸数世界NO1 売上の主力は建築請負ビジネスだがバランスの取れた ...
続きを見る
こちらもCHECK
大和ハウス工業(1925)の株価分析と特徴【13年連続増配の高配当銘柄】
大和ハウス工業(1925)の株価分析と特徴をまとめていきます。 大和ハウス工業を5つのポイントで説明 売上と利益の主力はビジネス分野の事業施設や商業施設 住宅・建設業界1位の事業規模 非 ...
続きを見る
こちらもCHECK
積水化学工業(4204)の株価分析と特徴【ペロブスカイト太陽電池で注目】
積水化学工業(4204)の株価分析と特徴をまとめていきます。 積水化学工業を5つのポイントで説明 プラスチック成型加工のパイオニアでペロブスカイト太陽電池で国内トップ 売上の主力は住宅事 ...
続きを見る