霞ヶ関キャピタル(3498)の株価分析と特徴をまとめしていきます。
霞ヶ関キャピタルを5つのポイントで説明
- 自社で不動産を保有しない戦略的コンサル型ディベロッパー
- 主力は不動産コンサル事業で物流施設に注力
- 経営効率は平均を大きく上回る
- 中期経営計画の達成を1年前倒しする見通しで25年から加速的に利益が成長
- 株価は上場来高値だが調整してから購入を検討したい
霞ヶ関キャピタルの概要
霞ヶ関キャピタルは、物流施設等不動産開発を自社で物件を保有せず遂行する企業です。
霞ヶ関キャピタル自身もこれを「戦略的コンサルティング型ディベロッパー」と呼んでいます。
東日本大震災で被災したショッピングセンターの再生に携わったことを機に会社を設立しました。
そこから、再生可能エネルギー事業やホテル事業など幅広く事業展開をする事で成長している企業です。
霞ヶ関キャピタルの社員のキャリアは、不動産業界出身は2割弱になっています。
その他は、金融機関やファンド、商社や事業会社の出身、弁護士、会計士になります。
多種多様な視点があるので、不動産開発にこだわらない新規事業を展開しています。
2023年10月にグロース市場からプライム市場へ上場区分の変更を行っています。
ビジネスモデル
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、独自のビジネスモデルで、不動産開発を対象とした「投資プラットフォーム」を提供しています。
高回転・高効率・低リスク・複利成長
引用:霞ヶ関キャピタル
一般的な不動産開発は、土地を購入して、利益を回収するまで約3年間必要になります。
霞ヶ関キャピタルの不動産開発は、土地購入後約6ヶ月で売却、3年間で6件の開発が可能です。
オフバランスしながら、回収した資金を再投資しています。
これにより、高回転・高効率・低リスク・複利成長を同時に実現しています。
物流事業
LOGI FLAG
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、物流ブランドの「LOGI FLAG」を立ち上げました。
今後も需要が伸びる物流施設に対して、汎用性の高い物流施設の開発が目的です。
コンセプトと施設タイプ
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、コールド型倉庫とドライ型倉庫に注力します。
これは、EC市場の利用者と冷凍食品消費が増えている事に対してのアプローチです。
霞ヶ関キャピタルは、2030年フロン規制に向けた冷凍冷蔵倉庫の設備投資、冷凍食品の消費増加による冷凍冷蔵倉庫の需要拡大に着目しています。
また、設立後30年以上経過している冷凍冷蔵倉庫の建替需要に備える考えです。
霞ヶ関キャピタルは、冷凍冷蔵倉庫の竣工予定件数が日本で最も多いデベロッパーです(2021年9月から2025年8月の中期経営計画の期間中)。
アパートメントホテル開発事業
FAVホテル
霞ヶ関キャピタルは、「FAV HOTEL」と言う自社ブランドのホテルを開発しています。
ターゲットとコンセプト
引用:霞ヶ関キャピタル
FAVホテルのターゲットは、需要ギャップになっている約325,800室になります。
FAVホテルのブランドコンセプトは、4人以上が泊まれて、客単価をビジネスホテル以下です。
定員稼働率
引用:霞ヶ関キャピタル
FAVホテルは、低い稼働率でも収益が出るのが最大の特徴です。
コロナ後のホテル稼働率が平均65%から19%まで下がりました。
しかし、FAVホテルは15%の稼働率で黒字化する構造です。
自然エネルギー事業
引用:霞ヶ関キャピタル
太陽光・風力・バイオマスなどの自然エネルギーを対象とした開発・事業投資を行っています。
その中でも太陽光発電施設の開発は25件、風力発電は8基です。
その他事業
コーポレートファンディング事業
引用:霞ヶ関キャピタル
海外事業
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、タイとインドネシアを重点エリアにしています。
さらにドバイに、現地法人を設立しました。
ドバイの不動産マーケットに参入することで投資機会を創出と、投資プラットフォームを構築を目的としています。
事業セグメント
霞ヶ関キャピタルは、不動産コンサルティング事業の単一セグメントから成り立っています。
22年度までは2つのセグメントでしたが、23年度から単一セグメントへ変更しています。
理由は、自然エネルギー事業がFIT価格の下落や自社発電施設の売却などにより縮小傾向になってきたからです。
一方の不動産コンサルティング事業は、ヘルスケア事業を新規に立ち上げるなど継続した成長をしています。
その中で、自然エネルギー事業の開発利益や売電収入が売上・利益に占める規模が相対的に低くなってきたからです。
株価の推移
月足5年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:14.4倍
- PBR:6.50倍
不動産業の平均PERが11.9倍、PBRが1.3倍なので、割高と判断されています。
チャート分析
霞ヶ関キャピタルの株価は、右肩上がりに上昇しています。
23年10月には、好決算、増配、中期経営計画の前倒しのサプライズがありました。
そのサプライズ決算で、一時8940円の高値をつけていました。
月足移動平均線は全て上向きなので長期的に上昇傾向です。
週足移動平均線は全て上向きなので中期的に上昇傾向です。
24年8月期は、売上高、営業利益を過去最高を更新予想です。
過去のチャートを見ると、大きく上昇した後は必ず大きく下げて調整しています。
業績の見通しがいいので、調整に入ってから購入を考えたいです。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2023年に372億円、営業利益の過去最高も2023年の44億円です。
24年8月期の売上高と営業利益は、大幅な増収増益で過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:14.17%
- ROE:45.25%
- ROA:11.42%
- EPS:611.5円
不動産業の平均ROEは12.2%、ROAは4.2%なので、経営効率は平均を大きく上回る企業です。
大手ディベロッパー28社の平均営業利益率は14.4%なので、平均的な利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:25.2%
- 有利子負債倍率:2.56倍
自己資本比率は、不動産業の平均が41.6%なので平均を大きく下回る企業です。
有利子負債倍率は、不動産業の平均が1.34倍なので平均を少し下回る企業です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して9.9%しかありません。
中期経営計画
霞ヶ関キャピタルは2026年までの中期経営計画を発表しています。
利益成長
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、新たな収益モデルとして「KC2.0」を策定していました。
その中で、26年8月期までの「KC2.0」は利益貢献の仕込み期間になっています。
しかし、一年前倒しで25年8月期にはグループ当期純利益で100億円達成を目指しています。
収益構造
引用:霞ヶ関キャピタル
「KC2.0」では、収益構造を従来のコンサルティング型からパートナーシップ型に転換しています。
コンサルティング型に比べ収益化は遅れますが、総額が大きくなるのが特徴です。
物流施設に注力
引用:霞ヶ関キャピタル
不動産証券化市場は宿泊施設や商業施設が減少する中で、物流施設が増加傾向です。
霞ヶ関キャピタルの「KC2.0」では、まず物流施設に取り組みます。
これは、今後もEC市場や冷凍食品の消費が成長することを見込んでいるからです。
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:120円(2024年8月期)
- 配当利回:1.37%(2023年10月6日)
- 配当性向:19.6%
配当金は、5年連続減配無しです。
配当性向は16.2%と増配余力を残しています。
しかし有利子負債倍率が高いので、しっかり投資をして成長出来ているかに注目です。
株主優待
引用:霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルは、毎年8月末時点で200株以上でプレミア優待クラブのポイントがもらえます。
まとめ
霞ヶ関キャピタルを買うなら、大きく下げて調整したところを買いたい。
現在の株価は、上場来高値付近になっています。
また、来期の業績予想も大幅な増収増益で過去最高を更新予想です。
このことから、新値街道をいく可能性は大きいです。
しかし、過去のチャートを見ると大きく上昇したあとは、大きく下げて調整しています。
21年12月の公募増資とオーバーアロットメントの売り出しの発表で株価を大きく下げました。
使用目的は新規物流施設の開発用地取得資金や開発資金です。
創業10年未満なので、資金調達や借入での成長事業への投資は当然です。
調達資金もまだまだ成長の余地がある物流施設なので堅実な印象です。
この時の大幅下落は、結果的に買いのタイミングでした。
直近5年の売上は2桁増収で、24年8月期も増収増益で過去最高を更新予想です。
経営効率のROA、ROEが平均を大きく上回っています。
第一四半期や第三四半期の営業利益は赤字や厳しい傾向になっています。
第一四半期や第三四半期の決算後に買いを入れても面白いかもしれません。