クリアル(2998)の株価分析と特徴をまとめていきます。
クリアルを5つのポイントで説明
- 資産運用をITにより効率化するDX企業
- オンライン不動産投資市場でのリーディングカンパニー
- 業績は創業来6期連続増収予想
- 当面は経営効率、営業利益率より売上総利益の成長に注目
- 株価は割高だが上場来高値を更新中
クリアルの概要
クリアルは、資産運用をITにより効率化するDX企業です。
オンラインの不動産投資市場は成⾧市場で、年率の成⾧率は68%での成⾧を遂げています。
2026年に1.7兆円を超えるマーケットになると言われています。
その中で、クリアルの運用資産残高は4年連続第1位、圧倒的なシェアを占めている企業です。
成⾧するオンラインの不動産投資市場でのリーディングカンパニーと言えます。
3つのサービス事業
引用:クリアル
CREAL事業
引用:クリアル
CREAL事業は、1万円から様々な不動産への投資がネットで手軽に出来るサービスです。
全てオンラインで、投資家登録から実際の投資まで完結することが出来ます。
利回りも3~8%、運用期間は4か月~2年といったラインナップになっています。
投資後の物件の管理、運用、最適の売却までの全プロセスをクリアルに任せる事が出来ます。
最大のポイント「安心」という魅力です。
それは、クリアルもそれぞれのファンドに出資しているという事です。
個人投資家へ元本償還のためにファンドとして物件を最終的に売却致します。
売却価格が購入価格を下回った場合には、クリアルから損失を負担する。
個人投資家の元本を少しでも守るような取り決めをしております。
ESG不動産への投資機会の創出
引用:クリアル
CREALの特徴の一つに、ESG不動産を積極的に取り扱っています。
CREAL Partners事業
引用:クリアル
CREAL Partners事業は、物件仕入れ、販売・顧客管理、賃貸管理で、自社開発によるシステムでDX化を推進しております。
CREAL Partnersが取り扱う商品は、都心部の中古区分マンションです。
この不動産商品を取り扱う理由は、市場に豊富に在庫があり価格が安定しているからです。
物件の仕入れ
CREAL buyerで、インターネット上の売り物件を自動で収集し、AIで即時価格査定を行います。
その結果、売出価格とAIが査定した適正価格の乖離がある物件を1時間ごとにリスト化されて、仕入れ担当者へ通知しています。
販売・顧客管理
CREAL conciergeで、物件オーナーは保有物件の賃貸状況や収支状況がオンラインでいつでも確認出来ます。
売り出し中の物件の購入提案もこのシステムで、スピーディーに行うことが可能です。
賃貸管理
物件の賃貸管理を一元化するCREAL managerです。
書面やエクセルなどで分散管理していた情報が一元化されます。
これにより、契約管理や入出金管理を効率的に行うことが可能となっております。
首都圏の中古マンション流通市場
引用:クリアル
首都圏の中古区分マンションの市場規模は、年間約1.5兆円になります。
そのうちクリアルのシェアは、まだ0.3%です。
クリアルの手掛けるプラットフォームは、今後も強力な武器になることが予想出来ます。
他社でDXの推進に力を入れている企業は少ないので、大きな成⾧余地があります。
CREAL Pro事業
引用:クリアル
CREAL Proは機関投資家向け・富裕層向けの不動産ファンドサービスです。
CREALのクラウドファンディングでは規模が大きすぎる大規模物件が対象です。
不動産ファンド組成と運営による安定したフィービジネス事業を展開しています。
不動産クラウドファンディング市場
不動産クラウドファンディング市場の成長性
引用:クリアル
オンラインで不動産に投資するというマーケットは、拡大傾向です。
日本のマーケットは、2020年時点で980億円になっていて、4年間で10倍の成⾧しています。
世界のマーケットは、既に2020年で2兆円を超えていて、4年間で10倍に成⾧しています。
日本の今後の成⾧については、2026年では1.7兆円を超えるマーケットと予測しています。
それに対して世界では、2026年には48兆というマーケットと予測されています。
日本、世界の年率平均成⾧率は70%に近い非常に高い成⾧率が予測されています。
海外では、個人投資家だけでなく金融機関や保険会社などの機関投資家も入ってきています。
今後の日本でも海外と同様に機関投資家の参入で規模の拡大が期待出来ます。
不動産クラウドファンディング市場NO.1の実績
引用:クリアル
クリアルは、不動産クラウドファンディングで4年連続運用資産残高No.1の実績(2022年7月期)を持っています。
事業セグメント
引用:クリアル
クリアルは、資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントから成り立っています。
その中でもサービス内容は、3つに分かれています。
引用:クリアル
クリアルの売上構成比率(2022年3月期)
クリアルの売上の主力は、CREALとCREAL PARTNERSの2つのサービスになります。
売上全体に占める割合は、それぞれ約44%ずつになっています。
株価の推移
週足1年チャート
引用:株探
日足半年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:42.3倍
- PBR:5.69倍
不動産業の平均PERが15.2倍、PBRが1.2倍なので、割高と判断されています。
チャート分析
現在の株価は、上場来高値の1954円を更新しています。
日足半年チャートを見ると、日足移動平均線は全て上向きで上昇傾向です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2022年に105億円、営業利益の過去最高も2022年の3.1億円です。
23年3月期の売上高と営業利益は、過去最高を更新予想です。
22年3月期の本決算から売上高51.2%増、営業利益53.4%増、EPS31.1%増です。
利益構造と主要KPI
※GMVとは、流通取引総額
※Take Rateとは、受託販売手数料率
引用:クリアル
クリアルは、事業拡大の指標として売上総利益を重視した経営を行う方針を掲げています。
これは、クリアルが展開する市場のポテンシャルは大きいからです。
当面は、営業利益や最終利益の拡大よりも先行投資を優先しています。
23年3月期のGMVは、90億円をを目指しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:3.00%
- ROE:13.47%
- ROA:1.59%
- EPS:52.9円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均を大きく上回る企業です。
大手ディベロッパー28社の平均営業利益率は12%なので、平均を大きく下回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:9.5%
- 有利子負債倍率:1.13倍
自己資本比率は、不動産業の平均が33.4%なので平均を大きく下回る企業です。
有利子負債倍率は、不動産業の平均が1.34倍なので平均を大きく下回る企業です。
連結貸借対照表の構造
引用:クリアル
総資産約109億円の内、70%以上がクラウドファンディング関連の勘定が占めています。
負債の部に匿名組合出資預り金で約75億円、資産の部にてクラウドファンディングに関連する販売用不動産73億円が計上されています。
どちらも不動産クラウドファンディングCREALで組成されたファンドに対応するものです。
匿名組合出資預り金は、匿名組合「出資」ということで、法的には返済義務を負う性質のものではありません。
しかし会計上、BSには負債として形式的に計上されるものとなっています。
クリアルも「実質的な自己資本比率はもっと高い状況にある」と考えています。
重点施策と成長戦略
成長投資
引用:クリアル
CREAL事業では、中⾧期的に300億のGMVを計画しています。
まずプラットフォームの拡大をめざし、GMV(流通取引総額)の成⾧に力をいれています。
新しいビジネススキーム
引用:クリアル
SPCを活用したクラウドファンディングをスタートを予定しています(現在免許申請中)。
不動産特定共同事業法3号・4号の免許を2023年3月期中に取得できる見通しでです。
今後、不動産特定共同事業法3号・4号の免許を取得することで、SPCを活用したクラウドファンディングをスタート可能になります。
SPCでの物件取得となるため、原則的に物件のオフバランスが可能になります。
その結果、金融機関や機関投資家のCREALプラットフォームへの参画が促進されます。
大きな効果としては、バランスシートが軽量化されます。
また、より大型の不動産のクラウドファンディングでの取り組みが可能になります。
ラインナップの拡充
引用:クリアル
配当金と株主優待
配当金の推移
残念ながらクリアルは、配当金を出していません。
株主優待
残念ながらクリアルは、株主優待の設定をしていません。
まとめ
クリアルを買うなら、押し目を狙いたいが今から投資しても遅くない。
業績は、2019年の創業来毎年過去最高の売上を更新しています。
また23年3月期も増収増益予想です。
週足移動平均線は全て上向きなので上昇傾向です。
このまま上場来高値を更新していくと思います。
当面は、ROA、ROE、営業利益率ではなく、売上総利益に注目です。
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