オリエンタル白石(1786)の強みと特徴をまとめていきます。
オリエンタル白石を5つのポイントで説明
- PC技術とニューマチックケーソン工法に特化したゼネコン
- 今後も大規模更新とニューマチックケーソン工法に注力
- 経営効率・利益率は大手PC橋梁メーカー3社の中でも平均を上回る
- 2008年に一度倒産しが現在の財務体質は大手PC橋梁メーカー3社の中でも優良
- 株価は300円付近で反発してダブルボトムを形成できるかに注目
オリエンタル白石の概要
オリエンタル白石は、PC技術を活かした橋梁やインフラに特化したゼネコンです。
PCとは
オリエンタル白石は、プレストレストコンクリート橋梁の技術に強みを持つ「オリエンタル建設」とニューマチックケーソン工法による地下構造物施工のトップの「白石」が合併して出来ました。
ニューマチックケーソン工法とは
ニューマチックケーソン工法は、橋梁だけでなく防災を目的とした地下構造物に導入されています。
このニューマチックケーソン工法を行う企業は4社しかありません。
その中で、オリエンタル白石が現在でもトップシェアを持っています。
オリエンタル白石は、コンクリート製の橋梁や橋梁下部工の施工に強み持っています。
さらに鋼鉄製橋梁の建設が得意な「日本橋梁」をグループ化しています。
これによりコンクリート橋、鋼鉄製橋梁、橋梁下部工の建設が可能となります。
つまり、ありとあらゆる種類の橋梁建設に対応することができるという事です。
また補修補強工事では、高速道路会社の大規模更新事業で高いシェアを獲得しています。
実際に2015年度から2017年度までのNEXCO橋梁補修の受注件数は1位の実績です。
オリエンタル建設
オリエンタル建設の源流は、1952年に設立されたオリエンタルコンクリートです。
1977年には、現在の太平洋セメントの資本傘下に入っています。
1990年にオリエンタル建設に社名を変更して合併を迎えます。
オリエンタル建設は、プレストレストコンクリート工法を用いた土木・建築工事の設計施工を行っていました。
特に橋梁、上下水道施設、モノレール、地下・港湾構造物などのインフラ建設です。
オリエンタル建設の実績
- 日本初のPC枕木の製造
- 日本初のPCプレハブ重層建築
- 日本初モノレール軌道桁の施工(奈良ドリームランド)
- 国内初の卵形消化槽の施工(横浜市北部第二処理場)
- 国内初のバイプレストレッシング工法の施工(川端橋)
- 国内初のロアリング工法によるコンクリートアーチ橋の施工(内の倉橋)
白石
白石の源流は、1933年に設立された「白石基礎工業」になります。
大倉土木、鹿島建設、清水建設、大林組、間建設、竹中工務店、鉄筋コンクリートと白石多士良との共同出資によって設立されました。
この白石多士良は、日本に初めてニューマチックケーソン工法を導入した土木建築学会の重鎮です。
また「小松製作所」の初代社長を務めていて、1938年に「白石基礎工事」を設立し社長に就任します。
1983年に、「白石基礎工事」から「白石」へと社名を変更して合併を迎えます。
白石の実績
- 世界最大のニューマチックケーソン基礎の施工(レインボーブリッジ)
- 世界初のヘリウム混合空気呼吸システムによるニューマチックケーソンの施工(名港トリトン)
- 世界最深のニューマチックケーソン工事施工(大阪市柴島立杭工事)
倒産と再上場
オリエンタル白石は、2008年に倒産しています。
理由は、原材料価格の高騰、合併後の経費削減が計画通り行かなかった事が原因です。
その後、2011年に鋼製橋梁メーカーの日本橋梁の完全子会社になります。
2014年には、日本橋梁の持株会社体制に移行に伴い、OSJBホールディングスの完全子会社になります。
そこから2021年2月に、港湾土木の工事等を手掛ける「山木工業」を子会社化しています。
また2021年4月には、オリエンタル白石が親会社のOSJBホールディングスを吸収合併する事で再上場しました。
ニューマチックケーソン工法
引用:オリエンタル白石
オリエンタル白石は、ニューマチックケーソン工法を初めて日本に導入した企業です。
導入するだけでなく、発展させてきたパイオニアでもあります。
世界最高の技術と最多の施工実績をオリエンタル白石は持っています。
ニューマチックケーソン工法による年間の国内の掘削土量の60%をオリエンタル白石がカバーしています。
またこのニューマチックケーソン工法は、橋梁の下部工の基礎部の建設だけではありません。
最近では、都市部の洪水対策のための地下貯水施設の建設にも使われています。
伊藤忠商事と資本業務提携
引用:オリエンタル白石
オリエンタル白石は、伊藤忠商事と資本業務提携を締結しました。
第三者割当増資による約50億円の資金調達を実施しています。
事業セグメント
オリエンタル白石は、主に4つの事業から成り立っています。
- 建設事業:プレストレストコンクリート土木構造物の建設工事及び製造販売、ニューマチックケーソン工法を用いた建設工事、橋梁等の補修補強工事、プレストレストコンクリート建築構造
物の設計施工、建設機材の設計・製作 - 鋼構造物事業:橋梁等の鋼構造物の設計・製作・架設、補修補強等工事
- 港湾事業:港湾・土木・建築工事
- その他事業:太陽光発電による売電事業、不動産賃貸事業及びインターネット関連事業
オリエンタル白石の売上構成比率(2023年3月期)
売上高の主力は、建設事業になり全体の81.7%を占めています。
2番目に大きい事業は、鋼構造物事業になっていて全体の12.3%を占めています。
オリエンタル白石の利益構成比率(2023年3月期)
利益の主力も建設事業で全体の90.4%になります。
セグメント別の利益率は、建設事業が9.4%、鋼構造物事業が6.3%です。
港湾事業とその他事業は赤字になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:11.0倍
- PBR:0.95倍
PC橋梁メーカー3社の平均PERが11.2倍、PBRが0.99倍になります。
この事を考えると株価は妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、月足移動平均線は60MAが横ばいです。
しかし、12MAと24MAは上昇傾向になっています。
週足5年チャートを見ると、13MAが下向きで26MAを割り込もうとしています。
また株価は、26MAに押さえつけれているようにも見えます。
まずは、直近は、300円付近で反発が出来るかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2021年に629億円、営業利益の過去最高は2022年の53億円です。
24年3月期は増収減益を予想しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:7.54%
- ROE:8.65%
- ROA:5.39%
- EPS:27.2円
大手PC橋梁メーカー3社の平均ROE8.72%、ROA3.98%になります。
オリエンタル白石の経営効率は、平均を上回る企業になります。
大手PC橋梁メーカー3社の平均営業利益が5.79%なので、平均を上回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:62.3%
- 有利子負債倍率:0.10倍
大手PC橋梁メーカー3社の自己資本比率の平均が45.8%です。
オリエンタル白石の自己資本比率は、平均を大きく上回る自己資本比率です。
大手PC橋梁メーカー3社の有利子負債倍率の平均が0.63倍です。
オリエンタル白石の有利子負債倍率は、平均を大きく下回る有利子負債倍率です。
また利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して60.4%になります。
オリエンタル白石の財務体質は平均を大きく上回る企業と言う事が分かります。
中期経営計画
オリエンタル白石は、2020年度から2022年度まで3年間の中期経営計画を発表しています。
また2030年度までの長期ビジョンも発表しています。
2030年のあるべき姿
2030年の長期ビジョン
引用:オリエンタル白石
2030年の事業構成比率と売上目標
引用:オリエンタル白石
数値目標
引用:オリエンタル白石
オリエンタル白石は、売上高730億円、営業利益62億円、ROE9%以上の数値目標を掲げています。
事業戦略
基幹事業
補修補強
引用:オリエンタル白石
PC建築
引用:オリエンタル白石
連結事業
鋼構造物事業
引用:オリエンタル白石
港湾事業
引用:オリエンタル白石
新規・周辺事業
引用:オリエンタル白石
株主還元
引用:オリエンタル白石
オリエンタル白石の2026年度までの株主還元は、配当性向を50%以上、総還元性向70%程度に設定しています。
投資計画
引用:オリエンタル白石
オリエンタル白石は、2023年度から3年間で220億円の投資計画を立てています。
この投資戦略で、基幹事業や連結事業(鋼構造物事業、港湾事業)の拡充と強化、新規・周辺事業の拡大を図ります。
投資区分の内訳
引用:オリエンタル白石
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:13.5円(2024年3月期)
- 配当利回:4.52%(2023年7月13日)
- 配当性向:49.6%
オリエンタル白石は、配当性向を50%以上に設定しています。
21年3月期の配当金が0円となっていますが、OSJBホールディングスを吸収合併したからです。
OSJBホールディングスは、21年3月期の配当を8円出しています。
直近8年間は配当金を減配していません。
一度は倒産をしたオリエンタル白石ですが、配当性向の余力と優良な財務体質を見ても今後も安定した配当や増配を期待が出来る企業です。
株主優待
残念ながらオリエンタル白石は、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
オリエンタル白石を買うなら、株価300円をしっかり守れるかを確認してから買いたい。
週足5年のチャートを見ると、株価は22年1月から右肩上がりに上昇してきました。
現在の週足移動平均線は13MAが26MAを割り込もうとしています。
また26MAが株価を押さえつけれているようにも見えます。
まずは、300円付近でダブルボトムを形成して、底打ち出来れば買いを検討出来ます。
オリエンタル白石は、もPC技術のパイオニアで、ニューマチックケーソン工法では国内首位の企業です。
実際にPC技術では、2015年度から2017年度までのNEXCO橋梁補修の受注件数は1位の実績を持っています。
ニューマチックケーソン工法でもトップシェアを持っていて、洪水対策のための地下貯水施設の建設としても注目されています。
一度、倒産した企業ですが、現在の有利子負債倍率、自己資本比率、利益剰余金比率を同業他社の平均と比べても現在の財務体質はかなり強力です。
また営業利益率、ROE、ROAを見ても同業他社の平均を上回る経営効率です。
あらゆる橋梁を手掛けることが出来るのが強みですが、新設の橋梁工事の需要は中長期的にも減少傾向になっています
しかし、2025年までの国土強靭化の対策は追加の重点対策の策定が予想されます。
今後は、高速道路会社の補修補強の需要と防災・減災で利益率の高いニューマチックケーソン工法をいか受注するかに注目です。
引用:インフラメンテナンス情報
また、2033年問題(建設後50年を超える橋が6割、トンネルは4割を超える問題)が待っています。
2033年問題でも、NEXCOの橋梁補修で実績のあるオリエンタル白石も注目されるはずです。
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