横河ブリッジホールディングス(5911)の株価を分析していきます。
横河ブリッジホールディングスを5つのポイントで説明
- 国内最大手の鋼橋専業の橋梁メーカーで鉄骨建築のパイオイニア
- 高速道路の補修や国土強靭化、洋上風力発電等で中長期的に強気の見通し
- 経営効率と財務状況は大手橋梁専業メーカー4社の平均を上回る
- 6年連続増配予想で配当性向30%以上へ引上げ
- 10年チャートは右肩あがりだが直近2年は1800円から2200円のボックス相場
横河ブリッジホールディングスの概要
横河ブリッジHDは、国内最大手の鋼橋専業の橋梁メーカーで鉄骨建築のパイオイニア企業です。
また横河グループの中核企業で、横河電機とは兄弟会社になります。
主力事業は、新設・保全を中心とした橋梁事業になります。
また工場・倉庫建設のシステム建築を中心とするエンジニアリング関連事業も行っています。
これまでの橋梁の設計や製作、施工段階で生まれる様々な技術を活かしてきました。
現在では、建築やシステム建築、土木関連、情報技術、精密機器製造など事業の多角化をしています。
先端技術事業
横河ブリッジHDは、半導体や液晶パネルなどの精密機器製造装置の生産をサポートしています。
装置の大型化で顕在化する振動や変形などの諸問題に対して、最適な構造体フレームを提案しています。
これも橋梁設計、構造解析のノウハウを最大限に活用されています。
海外事業
横河ブリッジHDは、東・東南アジア地域を中心に海外進出をしています。
進出した国は、ベトナム、ミャンマー、フィリピンの3か国です。
横河ブリッジHDはこの東・東南アジアをアジア圏の統一マーケットとして戦略的に捉えています。
日本初と世界初
横河ブリッジHDが、先駆けてつくった建造物が多く「技術の横河」と言われています。
1955年に手がけた西海橋は固定アーチ橋としては日本初の長大橋です。
1968年に手がけた霞ヶ関ビルディングは日本最初の超高層ビルです。
また、世界初の3連吊り橋の来島海峡大橋や世界最大の支間長を誇る明石海峡大橋も手掛けています。
グループ企業一覧
横河ブリッジ
引用:横河ブリッジHD
100年以上にわたり日本の橋梁業界をリードしてきたリーディングカンパニー。
代表的な橋梁はレインボーブリッジや明石海峡大橋。
高速道路や新幹線の高架橋などの保全だけでなく、高層ビルなどの建設も行っています。
横河NSエンジニアリング
引用:横河ブリッジHD
世界有数の鉄鋼メーカー、住友金属工業(現:日本製鉄株式会社)との共同事業会社として誕生。
鋼構造物の設計・製作・施工を行っています。
横河システム建築
引用:横河ブリッジHD
低価格・短工期・高品質が特徴のシステム建築に、横河独自の技術やビルダー制度を加えたオリジナルブランド「yess建築」を展開。
この「yess建築」は、システム建築シェアNo.1です。
スタジアムなどに用いられる開閉式屋根の建設も事業領域になります。
横河技術情報
引用:横河ブリッジHD
鋼構造物の設計や製作、生産管理における一連の情報システムを解析、管理しています。
楢崎製作所
引用:横河ブリッジHD
北海道を中心に、橋梁事業や水処理装置である環境製品や船舶上架施設、鉄管・ゲート、鉄構製品などの機鉄事業を展開。
ワイ・イー・シー
引用:横河ブリッジHD
橋梁の安全を見守る保全エンジニアリング企業。
構造物の維持管理や長寿命化を目指した設計、実験を行っています。
横河ニューライフ
引用:横河ブリッジHD
設計や施工管理、CADオペレーター、一般事務などの人材派遣。
横河が保有する不動産や情報の管理事業も行っています。
事業セグメント
引用:横河ブリッジHD
横河ブリッジHDは、主に4つの事業から成り立っています。
- 橋梁事業:新設橋梁の設計・製作・現場施工、既設橋梁の維持補修・保全、橋梁周辺事業としての鋼構造物・PC構造物・複合構造物の設計・製作・現場施工
- エンジニアリング関連事業:システム建築(yess建築)の設計・製作・現場施工、トンネル用セグメントなどの地下構造物の設計・製作、海洋構造物・港湾構造物の設計・製作、可動建築システム(YMA)の設計・製作・現場施工、超高層ビル鉄骨等の現場施工、PC構造物の設計・製作・現場施工、太陽光発電システムの現場据付、水処理装置の設計・製作・現場据付、鋼板遮水システムの設計・製作・現場施工
- 先端技術事業:液晶パネル製造装置等向けの高精密フレームの構造解析・設計・製缶・精密加工、その他の構造解析、情報処理、ソフトウェアの開発および販売
- 不動産事業:不動産賃貸事業、人材派遣業
横河ブリッジホールディングスのセグメント別売上構成比率(2022年3月)
売上高の主軸は橋梁事業になり、全体の55.8%を占めています。
横河ブリッジホールディングスの得意先別受注実績(2022年3月)
連結(前年対比)
引用:横河ブリッジHD
昨年と比べて、受注先の主力が高速道路会社から民間企業への比率が大きくなっています。
国土交通省と地方自治体の受注実績は、昨年と比べてもほぼ横ばいです。
橋梁事業(前年対比)
引用:横河ブリッジHD
22年度の橋梁事業の受注実績の主力は、高速道路会社です。
また国土交通省や地方自治体の比率が少し大きくなっています。
横河ブリッジホールディングスの利益構成比率(2022年3月)
利益の主軸も橋梁事業になり、全体の68.3%を占めています。
橋梁事業の利益率は14.4%になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.4倍
- PBR:0.74倍
時価総額200億円以上の橋梁専業メーカー3社の平均PERが7.5倍、PBRが0.57倍になります。
この事から考えると横河ブリッジHDの株価は、少し割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近10年の株価は右肩上がりに上昇してきました。
月足移動平均線の60MAは右肩上がりですが、12MAと24MAは下向きです。
週足5年チャートを見ると2019年11月から横ばいで推移している事が分かります。
また2200円を超えると高値圏で売られ1800円台に入ると安値圏で買い戻しをされています。
週足移動平均線は、3本共下向きでローソク足は26MAを割り込んでいます。
当面は、1800円から2200円のボックス相場を維持していると考えられます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2019年に1419億円、営業利益の過去最高は2021年の159億円です。
22年3月期は増収増益を予想していて、売上高は過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:9.15%
- ROE:9.93%
- ROA:6.20%
- EPS:259.0円
大手橋梁専業メーカー4社の平均ROE8.39%、ROA4.58%になります。
横河ブリッジHDの経営効率は、平均を上回る経営効率です。
大手橋梁専業メーカー4社の平均営業利益が8.02%なので、平均を上回る営業利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:62.5%
- 有利子負債倍率:0.09倍
大手橋梁専業メーカー4社の自己資本比率の平均が56.2%なので、平均を上回る自己資本比率です。
大手橋梁専業メーカー4社の有利子負債倍率の平均が0.17倍なので、平均を下回る有利子負債倍率です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して50.7%もあります。
中期経営計画
横河ブリッジHDは、2024年度の中期経営計画を発表しています。
中長期ビジョン
引用:横河ブリッジHD
横河ブリッジHDは、今後3年間は橋梁市場が拡大傾向ににある予想です。
また、長期的も追い風の事業環境が続くと予想をしています。
国土強靭化や防災・減災、カーボンニュートラル関連の土木構造物の需要の拡大が見込まれるからです。
経営数値目標
引用:横河ブリッジHD
セグメント別目標
引用:横河ブリッジHD
橋梁事業とシステム建築事業の拡大で、業績の水準を大幅に引き上げる目標です。
資本政策
引用:横河ブリッジHD
安定的な配当という従来方針は継続しつつ、配当性向を30%以上に引き上げています。
また状況により一定規模の自己株式の取得する事で株主還元の拡大とROEの維持や向上させます。
事業戦略
橋梁事業
引用:横河ブリッジHD
横河ブリッジHDは、2024年度の橋梁事業の売上高を846億円に設定しています。
これは、2021年度の764億円から10.7%増の目標になります。
エンジニアリング関連事業
システム建築事業
引用:横河ブリッジHD
横河ブリッジHDは、2024年度のシステム建築事業の売上高を720億円に設定しています。
これは、2021年度の387億円から86.0%増の目標になります。
土木・建築機鉄事業
横河ブリッジHDは、2024年度の土木・建築機鉄事業の売上高を230億円に設定しています。
これは、2021年度の156億円から47.4%増の目標になります。
取り組みの内容は、防潮堤、港湾リニューアル、洋上風力発電など新規分野への展開に向けた準備です。
その為のプレキャスト防潮堤など津波対策プロジェクトへの取り組みを強化します。
また地下空間を利用した治水事業計画に対応する新型セグメントの開発にも取り組みます。
先端技術事業(精密機器・情報処理)
横河ブリッジHDは、2024年度の先端技術事業の売上高を67億円に設定しています。
これは、2021年度の54億円から24.1%増の目標になります。
取り組みの内容は、精密機器製造事業はパネル製造装置と成長が続く半導体製造装置の強化です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:80円(2023年3月期)
- 配当利回:4.15%(2022年7月15日)
- 配当性向:30.8%
横河ブリッジHDの配当金の推移は、5期連続で増配しています。
また直近10年でも減配は一度もありません。
2024年度までの中期経営計画では配当性向を30%以上に引き上げました。
23年3月期も増配予定なので、実現すれば6期連続増配になります。
また財務状況もかなり優秀なので、今後も増配の期待ができます。
株主優待
引用:横河ブリッジHD
横河ブリッジHDは、毎年3月末日に1,000株以上保有する株主を対象に株主優待を実施しています。
まとめ
横河ブリッジHDを買うなら、1800円付近が底値になっているか確認して買いたい。
直近2年の株価は、1800円から2200円のボックス相場でした。
しかし2022年に入ってからは、上値が2000円付近で節目となっています。
1800円の下値を切り下げるとなると次は1600円付近が節目として意識されます。
事業内容は、橋梁事業が主力事業で国内最大手になります。
高速道路会社の新規案件や補修・保全案件で中期的には強気の見通しです。
また24年までの中期経営計画ではエンジニアリング関連事業のシステム建築に注力しています。
大都市圏では大深度地下トンネルの需要増加や洋上風力発電で長期的にも強気の見通しです。
さらに治水事業計画に対応する新型セグメントの開発にも注目したいです。
配当に関しては、中期経営計画で24年度まで配当性向を30%以上に引き上げています。
財務体質はかなり強力で、経営効率も大手橋梁専業メーカーの平均を上回っています。
配当金も6期連続増配予定なので、まだまだ増配の余力はあると思います。
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