明和地所(8869)の株価を分析していきます。
明和地所を5つのポイントで説明
- 首都圏を中心に札幌・福岡・名古屋に展開するマンションディベロッパー
- 主力は不動産販売事業で今後は買取再販、売買仲介を重点強化
- 経営効率は平均を上回るが財務状況は平均を下回る
- 中期経営計画で株主還元の強化を宣言
- 直近出来高の多い650円を超えれるかに注目
明和地所の概要
引用:明和地所
明和地所は、首都圏を中心に札幌、福岡、名古屋に展開するマンションデベロッパーです。
明和地所は、大京の専務だった原田利勝氏が創業しました。
当時の大京の元横浜支店のメンバー達によって創られました。
マンション事業は自社ブランド「CLIO(クリオ)」シリーズの販売しています。
マンション供給実績(2022年3月期)
引用:明和地所
2022年3月期は、首都圏を中心に817戸を販売しています。
その内の697戸はファミリータイプの分譲マンションです。
クリオ サポート15 提供開始
引用:明和地所
明和地所は、クリオサポート15の提供を開始しました。
これは、鍵の引渡しから15年間(業界最長)の住宅設備機器保証サービスです。
事業セグメント
明和地所は、主に4つのセグメントから成り立っています。
- 不動産販売事業:マンション等の開発・分譲、不動産売買仲介、買取再販
- 不動産賃貸事業:マンション等の賃貸、賃貸管理
- 不動産管理事業:マンション等の総合管理、マンション等の管理員・清掃業務
- その他事業:住設企画販売事業等
明和地所の売上構成比率(2022年3月)
売上の主軸は不動産販売事業で全体の89.0%を占めています。
今後の成長は、不動産販売事業の中古住宅の仲介や買取販売が重点強化事業です。
明和地所の利益構成比率(2022年3月)
利益の主軸も不動産販売事業で全体の83.7%を占めてます。
不動産販売事業の利益率は8.4%、不動産賃貸事業の利益率は39.6%、不動産管理事業の利益率は5.7%です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:4.7倍
- PBR:0.55倍
不動産業の平均PERが15.2倍、PBRが1.2倍なので、かなり割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、直近2年の下値目途は600円になっています。
月足移動平均線は、12MAと24MAが上向きになっています。
しかし、60MAの下に移動平均線があるので長期的には上昇傾向とは言えません。
週足5年チャートを見ると直近3年で650円を超えると高値圏になっています。
週足移動平均線も全て横ばいになっています。
直近の出来高を見ると、650円付近に上昇すると出来高が増えています。
まずは650円の節目を超えていけるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2001年に1039億円、営業利益の過去最高は2001年の122億円です。
23年3月期は、分譲マンションと買取再販の増加で増収増益の予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:8.12%
- ROE:11.67%
- ROA:3.24%
- EPS:132.2円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均的を上回る企業です。
不動産大手28社の平均営業利益率は12%なので、平均的を少し下回る利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:27.8%
- 有利子負債倍率:1.83倍
自己資本比率は、不動産業の平均が33.4%なので平均的を下回る企業です。
有利子負債倍率は、不動産業の平均が1.34倍なので平均を上回る企業です。
利益剰余金は、総資産に対して19.4%しかありません。
22年3月期は、新規プロジェクトに必要な資金315億6700万円を長期借入れしています。
中期経営計画
明和地所は2026年までの中期経営計画を策定しています。
事業戦略
引用:明和地所
分譲事業
引用:明和地所
明和地所の分譲事業は、創業当時からの主力事業です。
この分譲事業の売上を約1.46倍、引き渡し戸数を約1.45倍の成長を計画しています。
また粗利の利益率は18%を維持する方針です。
今後の施策
- 仕入を一層強化
- ニーズをとらえた、付加価値の高い住まいづくり
流通事業
引用:明和地所
明和地所は、中期経営計画で流通事業を重点強化事業にしています。
流通事業の売上高を27年3月期までに2倍に成長させる計画をしています。
売上だけでなく買取再販引渡戸数と売買仲介取扱件数も約2倍へ成長を加速させます。
今後の施策
- 既存店舗の収益向上と新規店舗展開により業容を拡大
- 仕入手法多様化による買取再販の強化(他社物件の買取強化、賃貸中物件の取得)
エリア拡大
引用:明和地所
明和地所の重点強化エリアは、東京都と神奈川県を中心とした首都圏です。
実際に仲介店舗8店舗がこのエリアにあります。
27年3月期までに福岡や名古屋を含めて6店舗の新規出店を計画しています。
新規事業領域
引用:明和地所
明和地所は、商品とターゲット層の拡充による新事業領域を展開します。
それがウェルスソリューション事業です。
主に富裕層をターゲットにしたビジネスになります。
引用:明和地所
管理事業
引用:明和地所
明和地所の管理する戸数は、年々増加しています。
管理戸数の増加でストック収益が安定的に拡大している事が分かります。
今後の施策
- 管理戸数増加から関連事業への展開(グループ内での管理受託に加え、外部受託を強化)
- DX推進による業務効率化、収益性向上
業績目標
引用:明和地所
明和地所は、27年3月期に売上高1000億円、経常利益60億円を目指しています。
株主還元
※1:21年3期は35周年記念配当5円を含む
※1: 22年3期は「配当予想の修正(増配)に関するお知らせ」の通り35円へ増配
引用:明和地所
明和地所は、27年3月期まで株主還元の強化を宣言しています。
具体的な内容はありませんが、増配と安定的な継続を目指すとしています。
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:35円(2023年3月期)
- 配当利回:2.68%(2022年7月3日)
- 配当性向:26.4%
明和地所の配当金は、20年3月期に配当金を減配しています。
減配の理由は、新型コロナウイルスと台風19号の影響で減収減益したからです。
21年3月期は、35周年記念で35円に増配していて維持しています。
しかし、今期から中期経営計画で株主還元の強化を宣言しています。
配当性向は26.4%なので増配の余力はありますが、不動産業の平均を下回る財務状況です。
株主優待
残念ながら明和地所は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
明和地所を買うなら、650円を超えてから検討したい。
株価は、月足10年チャートを見ると650円を超えると高値圏にあることが分かります。
また直近2年は600円が下値目途になっていますが、この節目を割らないかにも注目です。
もし割り込んだ場合は548円が前回の安値なので、底値目途になります。
業績は3年連続増収増益で、23年3月期も増収増益予想です。
経営効率は平均を上回っていますが、利益率が平均を下回っています。
今後は付加価値の高い商品の開発、仲介店舗の新規出店と既存店の収益拡大を計画しています。
粗利の18%を超えているのか、販促費用が減少して営業利益が改善されているかにも注目です。