テンポイノベーション(3484)株価分析と特徴をまとめていきます。
テンポイノベーションを5つのポイントで説明
- 飲食店舗に特化した店舗転貸借事業専門に行う国内唯一の不動産企業
- 店舗転貸借事業の単一セグメントで安定したストックビジネス
- 経営効率化と財務体質はかなり優秀
- 業績は11期連続増収増益予想で過去最高を更新予想
- プライム上場維持に関しては決定事項と明言
テンポイノベーションの概要
テンポイノベーションは、飲食店舗に特化した店舗転貸借事業専門の不動産企業です。
店舗物件に特化した不動産会社なので、住宅・倉庫・ビル等は一切取り扱いしていません。
東京周辺の居抜き物件に特化をしていて、契約先の約90%が飲食店舗になります。
現在、東京周辺の飲食店向け店舗物件を年間400件以上の新規成約させています。
テンポイノベーションは、不動産会社が行っている仲介業や管理業を一切行っていません。
店舗転貸借事業だけしか行っていない企業は、テンポイノベーションのみになります。
決算での報告セグメントは、「店舗転貸借事業」と「不動産売買事業」の2つです。
しかし、代表取締役の原社長は「店舗転貸借事業の単一セグメント」と明言しています。
いかにテンポイノベーションがこの「店舗転貸借事業」に強い意志があるかが分かります。
店舗転貸借事業のビジネスモデル
引用:テンポイノベーション
店舗転貸借事業とは、「テンポイノベーションが不動産オーナーから借りた店舗をテナントに貸す」貸主代理業です。
この店舗転貸借事業では、不動産オーナー、不動産業者、出店テナント、閉店テナントの登場人物がいます。
それぞれの立場も利害関係も異なるの、契約がまとまりません。
そこで店舗物件に精通したテンポイノベーションが間に入ることで利害関係を調節します。
またテンポイノベーションが行う転貸借事業は、単なる仲介だけではありません。
テンポイノベーション自身が契約の当事者になるので、仲介の契約が完了すると転貸借事業が始まります。
テンポイノベーションの収益構造
引用:テンポイノベーション
テンポイノベーションのビジネスモデルはストックビジネスになります。
家賃収益の部分がストックとして積みあがっていきます。
高いストック収益の割合を維持しながら、確実に売上と利益を伸ばしていく事が出来るストックビジネスです。
また借りる物件が増えて、貸す物件が増えれば家賃収益自体も上がっていきます。
テンポイノベーションには、一度契約すると物件数が原則減らないという成長性があります。
これは、不動産オーナーから借りるときに自動的に付与される賃借権のおかげです。
テンポイノベーションから物件を手放す意思を示さない限り賃貸借契約は継続されるからです。
また創業15年間以上、東京都心の店舗物件に携わってきた経験と目利き力も物件数が減らない理由です。
ターゲットエリア・顧客の状況
引用:テンポイノベーション
テンポイノベーションの転貸する物件は、東京・千葉・埼玉・神奈川の1都3県に集中して特化しています。
この東京を中心としたエリア店舗数が集中し、店舗の需要が見込めるからです。
テンポイノベーションの保有している転貸借物件数は、マクドナルドやすき家等の飲食チェーン店の店舗数に匹敵している事が分かります。
プライム市場の上場維持基準未達
現在、テンポイノベーションは「流通株式時価総額」の上場維持基準が未達となっています。
ここに関して、テンポイノベーションの原社長はZeppyの井村氏との対談動画で「親会社のクロップスもテンポイノベーションもプライム上場の維持は共通の認識。」と発言しています。
またプライム上場維持に関しては、1~2年前からの決定事項と明言しています。
事業セグメント
テンポイノベーションは、2つの事業から成り立っています。
- 店舗転貸借事業:不動産オーナーから賃借した店舗物件を店舗出店者に転貸借する事業
- 不動産売買事業:不動産業者との関係強化を目的としての店舗不動産の仕入販売
テンポイノベーションの売上構成比率(2023年3月期)
テンポイノベーションの売上の主力は、店舗転貸借事業で全体の93.3%を占めています。
テンポイノベーションの利益構成比(2023年3月期)
テンポイノベーションの利益の主力は、店舗転貸借事業で全体の79.3%を占めています。
店舗転貸借事業の利益率は7.8%になっています。
株価の推移
月足5年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:21.6倍
- PBR:6.04倍
不動産業の平均PERが15.2倍、PBRが1.2倍なので、割高と判断されています。
チャート分析
現在の株価は、上場来高値の1340円つけて調整局面です。
月足5年チャートを見ても月足移動平均線は3本共上向きです。
週足5年チャートを見ると、週足移動平均線は26MAと52MAは上向きです。
株価は、23年3月に上場来高値の1340円をつけて下落しました。
3か月間の調整下落で1008円で底打ちをして、現在は上昇中です。
直近の節目になるは、底打ち直後の高値1123円です。
また23年7月には、Zeppyの社長で有名投資家の井村俊哉氏との対談で注目されています。
19年6月に井村氏は、当時の「割安感のあるサブスク銘柄」としてYOUTUBE動画で紹介しています。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2023年に130億円、営業利益の過去最高も2023年の12億円です。
24年3月期の売上高と営業利益は、3期連続の過去最高を更新予想です。
売上高と経常利益やEPSで見ると11期連続の過去最高の更新予想になります。
23年3月期の本決算から売上高13.6%増、営業利益5.3%増、EPS5.5%増です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:8.60%
- ROE:27.89%
- ROA:6.92%
- EPS:53.1円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均を大きく上回る企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:24.8%
- 有利子負債倍率:ー
自己資本比率は、不動産業の平均が33.4%なので、平均的を下回る企業です。
テンポイノベーションの財務諸表を見てみると、賃貸人と転借人の双方に対してそれぞれ差入・預り金保証金や前払・前受賃料が計上されています。
これらが、テンポイノベーションの総資産に占める割合が高くなっています。
そこで実質的な比率を表すために、差入保証金と預り保証金、前払費用と前受収益を相殺した数値を基に算出した、自己資本比率は63%になります。
実質的な自己資本比率は平均を大きく上回る企業です。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は年々増加していますが、総資産に対して24.4%しかありません。
中期経営計画
テンポイノベーションは、2025年3月期までの中期経営計画を発表しています。
中・長期的な経営目標
引用:テンポイノベーション
テンポイノベーションは、営業力の増強の為に2025年3月期までに「営業100名体制」を実現するとしています。
また仕入エリア戦術の実行で2029年3月期には、転貸借物件数5500件(売上高300億円、営業利益30億円規模)を目指しています。
業績目標
引用:テンポイノベーション
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:20円(2024年3月期)
- 配当利回:1.74%(2023年7月7日)
- 配当性向:37.6%
テンポイノベーションの配当は「経営基盤を強化しつつ、安定的な配当を実施していくことが基本方針」となっています。
配当金は、3期連続増配予定で配当性向も37.6%です。
財務体質から見ても増配の余力はまだまだありますが、配当金より事業投資に期待です。
株主優待
引用:テンポイノベーション
テンポイノベーションは、2022年8月に株主優待制度を拡充しました。
2023年3月期以降、毎年3月31日時点で1年以上継続保有株主が対象です。
300株以上500株未満を保有で、ジェフグルメカード5000円分がもらえます。
500株以上保有を1年以上の継続保有した場合は、シェフカード7000円分がもらえます。
まとめ
テンポイノベーションを買うなら、上場来高値を更新してから投資しても遅くない。
業績は、10期連続で過去最高の売上と経常利益利益を更新しています。
また24年3月期も増収増益予想です。
事業内容は、ストックビジネスの飲食店舗への転貸借事業の単一セグメントになっています。
ストックビジネスが売上の93.3%を占めているので、かなり手堅い収益構造です。
テンポイノベーションのストックビジネスは、他のストックビジネスと大きく違います。
賃借権のおかげで原則として物件が減らない事も安定した成長性が魅力です。
この事から、売上が前年割れする事はあまり考えられません。
月足移動平均線は3本共、週足移動平線は26MAと52MAは上向きなので上昇傾向です。
株価は、上場来高値を再び更新していけるかに注目です。
テンポイノベーションの成長性や市場規模から見ても上場来高値更新は難しくありません。
当面は、売上高や営業利益率などの指標も大事ですが、「転貸借物件数」と「成約数」の KPI (重要業績評価指標)に注目です。