熊谷組(1861)の株価を分析していきます。
熊谷組を5つのポイントで説明
- トンネル工事などの大型土木だけでなく超高層にも強み
- ゼネコンの中でトップクラスの財務体質と経営効率
- 配当利回3%超えだが配当性向は30%台と増配余力あり
- 今後は住友林業と協業で国内外事業の強化と国内不動産取得に注力
- 3000円付近は節目なので、株価の方向性を見てから購入したい
熊谷組の概要
熊谷組は、北陸発祥の準大手ゼネコンで、飛島建設から独立した企業です。
日本最大級の規模となる徳山ダムを手がけるなど、大型土木工事に強みを持っています。
熊谷組と言えばトンネル工事のイメージが強いですが、超高層建築にも強みを持っています。
日本国内では、新宿野村ビルディングなどの数多くの超高層建築を手がけています。
海外では、当時世界最高層ビルの「台北101」の施工を中心に行った実績もあります。
2017年に住友林業と資本・業務提携をしていて、2021年3月には中大規模木造建築ブランド「with TREE」を立ち上げています。
また、住友林業が掲げる「W350計画」では、2041年に木造で地上70階建てのビルを建てる事を目指しています。
その中に熊谷組も協力会社として参加しているので、今までの実績と技術力に期待されています。
トンネルの熊さん
熊谷組は、トンネル工事に高い技術力と実績を持っていて「トンネルの熊さん」と呼ばれています。
熊谷組が手掛けた「青函トンネル」、「黒部トンネル」、「関門トンネル」、「天王山トンネル」、「関越トンネル」などの最難関工事にも関わってきました。
リニア中央新幹線では山梨県の実験線を施工しています。
熊谷組の技術力の高さが分かる様々な国内外初
- 国内初のルーフシールド工法採用「関門国道下関口トンネル」竣工
- 国内初の全断面掘削工法、月進記録218.2m「東上田発電所トンネル」竣工
- 国内初の長大吊橋「若戸大橋」竣工
- 国内初のコンクリートセグメントを用いた円形シールド工法採用「名古屋市高速度鉄道覚王山トンネル」竣工
- 世界初の自社開発のサイロット工法を初導入した「東海道新幹線泉越トンネル」竣工
- 国内初のメガネ型シールド「地下鉄駅・千代田線新お茶の水駅」竣工
- 国内初単独施工の超高層「新宿野村ビル」竣工
- 国内初のNATM採用「上越新幹線中山トンネル」竣工
- 当時、世界最長の海底トンネル「青函トンネル」貫通
- 国内最大規模のロックフィルダム「奈良俣ダム」竣工
- 当時国内一の超高層ホテル「幕張プリンスホテル(現・アパホテル&リゾート東京ベイ幕張)」竣工
- 世界初の横三連型MFシールド工法採用「都営地下鉄大江戸線飯田橋駅」竣工
- 当時世界一の超高層ビル「TAIPEI 101」竣工
- 世界初のPSS-Arch工法採用「金沢外環状道路・涌波トンネル」竣工
- 世界初のNATM工法とシールド工法を融合した新しいトンネル工法SENS「東北新幹線三本木原トンネル」竣工
事業セグメント
熊谷組は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:国内での建築工事の請負及びこれに付帯する事業
- 建築事業:国内での土木工事の請負及びこれに付帯する事業
- 子会社事業:不動産の自主開発、売買、賃貸等に関する事業
売上構成比率(2021年3月)
売上の主軸は建築事業で、特に民間建築事業は売上構成比の56.8%を占めています。
利益構成比率(2021年3月)
売上の主軸も建築事業で、売上構成比の52.7%を占めています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.5倍
- PBR:0.85倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると、少し割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると下値目処は2200円付近で3度反発しています。
週足5年チャートを見ると2700円台が下値目処になっていました。
コロナショック後は2300円付近が下値目処になっています。
現在、週足は3本共上向きですが、株価の3000円付近で週足13MAで支えられていて調整しています。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1991年に1兆3754億円、経常利益の過去最高も1991年の588億円です。
売上高は6期連続増収予定ですが、営業利益が伸び悩んでいます。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.99%
- ROE:11.35%
- ROA:4.90%
- EPS:399.2円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率は少し低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率の良い企業と言えます。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:43.2%
- 有利子負債倍率:0.07倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なのでほぼ平均的と言えます。
有利子負債倍率が0.1倍を切っているので財務体質はゼネコンの中でもトップクラスの優良企業です。
剰余金は増加傾向で、21年3月時点で総資産に対して27.5%なので安心です。
中期経営計画
経営数値目標
引用:熊谷組
投資計画
引用:熊谷組
投資計画は、コア事業の「建設請負事業」と「建設周辺事業」に力を入れている事が分かります。
前回の中期経営計画では600億円の投資計画でしたが、今回は400億に減っています。
ここは、経常利益が思うように伸びなかった事によるものだと思われます。
建設請負事業の深掘り
引用:熊谷組
建設周辺事業の進化
引用:熊谷組
株主還元策
2023年度3月期までの中期経営計画では、配当性向を30%を目安にしています。
直近5年を見ても、配当性向30%を大幅に超えていなかったので安定しています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:120円(2022年3月期予定)
- 配当利回:3.99%(21年5月14日終値)
- 配当性向:30%
今期の配当は、前期と同じ120円の据え置きです。
配当性向の余力と財務体質の良さから減配の心配はありません。
株主優待
残念ながら熊谷組は株主優待の設定はありませんでした。
まとめ
熊谷組を買うなら、3000円台でもみ合っているので、決算発表後の方向感を見てから買いたい。
現在の株価3000円台で節目を作っています。
週足26MAと月足24MAで支えられているように見えますが、月足60MAに押さえつけられています。
買いを検討するなら3050円をしっかり抜けてからでもいいと思います。
技術力、財務体質、経営効率はゼネコンの中でもトップクラスの優秀さなので、投資対象としていきたい企業です。
また長期的には、住友林業と協業した中規模木造建築やアジアへの進出、国内不動産での収益源の確保の進捗にも注目です。
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