戸田建設(1860)の株価を分析していきます。
戸田建設を5つのポイントで説明
- 業界屈指の優良な財務体質で堅実経営
- 売上と利益の主力は民間建築で医療施設と教育施設に強み
- 洋上風力発電に注力していて長期目線で注目
- 歴史的には今の株価は少し高い
- 600円くらいまで下がれば買いを検討したい
戸田建設の概要
戸田建設は、売上高3000億円以上の準大手ゼネコンの一角を担う「建築の名門」として有名な企業です。
戸田建設は三菱UFJ系の企業で、主要販売先に三菱地所があります。
戦前から歴史建造物・官公庁関連の実績を持っていて、売上と利益の割合で見ると建築工事にが主力になっています。
建築工事の中でも戸田建設は、医療・福祉関連施設と大学関連に強みを持っています。
実際に「病院の戸田」、「学校の戸田」とも言われてて、医療・福祉施設の受注額は、スーパーゼネコン5社を上回っています。
戸田建設は、国内のどのゼネコンよりも「品質日本一」を実現していくための品質管理に取り組んできました。
1995年に東京支店の建築部門と本社の建築設計統轄部が、国内ゼネコン初の国際標準規格であるISO9001の認証を取得。
1999年には、土木工事を主体とするみずほ系企業の西松建設との業務提携を締結しています。
浮体式風力発電
浮体式洋上風力発電とは、洋生風力発電の一つです。
洋上に浮かんだ浮体式構造物を利用する風力発電の事です。
水深50mを超えると着床式では採算性が悪化するので、50m~200mの海域では浮体式風力発電機が設置されます。
引用:戸田建設
2016年から長崎県五島列島沖で、九州大学・戸田建設グループが共同で開発した、日本初の浮体式洋上風力発電「はえんかぜ」の商業運転を行っています。
ハイブリッドスパー型と呼ばれる形式を採用しています。
これは、水中部分のコンクリートは水圧や海水にも強いのが特徴です。
事業セグメント
戸田建設は、主に5つのセグメントから成り立っています。
- 建築事業:国内での建築工事の請負及びこれに付帯する事業
- 土木事業:国内での土木工事の請負及びこれに付帯する事業
- 投資開発事業:不動産の自主開発、売買、賃貸等に関する事業
- 国内グループ事業:国内連結子会社が行う建築事業、土木事業、ビル管理を主とする不動産事業、ホテル事業、グループ企業内を中心とした人材派遣業、金融・リース事業
- 新領域事業:発電・売電事業、農業6次産業化等
戸田建設の売上構成比率(2021年3月)
売上の主軸は建築事業で、特に民間建築事業は売上構成比59%を占めています。
戸田建設は大手・準大手ゼネコンの中でも建築に力を入れているゼネコンという事が分かります。
しかし準大手ゼネコンの受注高の建築工事割合が平均65%となっています。
建築工事と土木工事のバランスは、準大手ゼネコンの平均に近いゼネコンです。
戸田建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸は土木事業で、全体の47.4%を占めています。
21年度3月期の新領域事業は、10億円の赤字になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足3年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:14.2倍
- PBR:0.77倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えと、やや割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると下値目処は600円付近で底硬い傾向にあります。
週足3年チャートを見ると750円付近が上値目処になっていました。
現在の株価は874円を天井に下落して、週足のローソクは13週線を割り込んでいます。
週足移動平均線の13MA、26MA、52MAの3本はまだ上向きです。
ローソク足は13MAを割り込んで26MAで反発していますが、790円付近を超えれるか注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1992年に7804億円、経常利益の過去最高も1992年の482億円です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.58%
- ROE:5.45%
- ROA:2.30%
- EPS:55.1円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率は低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%に対して、平均を下回る数値になっています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:42.1%
- 有利子負債倍率:0.49倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なのでほぼ平均的と言えます。
有利子負債倍率が増加傾向にあります。
1倍を超えていない事を考えると財務体質はゼネコンの中でも優良企業です。
剰余金は増加傾向にありますが、総資産に対して25.7%なので30%を目指してもらいたいです。
中期経営計画
経営数値目標
引用:戸田建設
投資計画
引用:戸田建設
投資計画は、「投資開発事業」と「新領域事業」に力を入れている事が分かります。
主な取り組み
- 開発用不動産の取得や保有資産の有効活用
- ポートフォリオマネジメントによる賃貸事業の強化
- 新TODAビルにおけるスマートオフィス化の推進
- 北米・東南アジア等における開発事業への参画
- 浮体式洋上風力発電・ウィンドファームの事業化
- 再生可能エネルギー事業、農業 6 次産業化事業への投資
- データ活用(販売・使用)による新たな収益源の確立
- グループ会社 ・ 建設ライフサイクルにおけるグループ総合力の発揮
- M&A 等による特殊技術の獲得
株主還元策
引用:戸田建設
今期の配当性向は36.2%と中期経営計画の30%台を大きく上回っています。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:20円(2022年3月期予定)
- 配当利回:2.55%(21年5月14日終値)
- 配当性向:36.2%
戸田建設は、20年3月期から中間配当を導入しました。
21年度3月期の業績は減収減益だったので20円に減配しています。
配当性向も目標としている30%から大きく上回るので、減配に関しては正しい判断だと思います。
22年3月期は配当維持予想です。
株主優待
戸田建設は、毎年3月末日時点の株主名簿に記載または記録された1,000株以上保有の株主を対象に株主優待制度を行っています。
共通宿泊割引券
- 「ホテル&リゾート サンシャイン サザンセト」(山口県大島郡周防大島町)
- 「リヴェルト京都鴨川」(京都府京都市上京区)
上記2施設で利用可能な最大30%の共通宿泊割引券を2枚
優待商品
引用:戸田建設
上記のA~Gの中から1つを選べます。
まとめ
戸田建設を買うなら、760円付近で反発することを確認して買いたい。
戸田建設は、学校や病院に強みを持っていて、財務体質も健全な企業です。
現在の株価は週足13MAを割り込んでいるので、株価を押さえつけられている可能性があります。
現在の株価は歴史的に見ても少し高いので、買いのタイミングではありません。
しかし、週足移動平均線は3本共上向きなので、上昇傾向にあります。
760円が下値目途になると21年3月につけた874円が見えてくると思います。
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