ビーアールHD(1871)の株価分析と特徴をまとめていきます。
ビーアールHDを5つのポイントで説明
- 中国・関西のPC橋梁の建設大手でM&Aでエリアを全国区に拡大している企業
- 今後はメンテナンス事業の拡大と海外建設プロジェクトの受注に注力
- 大手PC橋梁メーカー5社の中でも経営効率と利益率は平均的だが財務は平均以下
- 直近5年の配当は右肩上がりに増配中で株主優待はクオカードがもらえる
- 直近は360円の節目を超えれるかに注目
ビーアールHDの概要
ビーアールHDは、PC技術に特化した技術集団で中国・関西が地盤のPC橋梁の大手企業です。
PCとは
ビーアールHDは、広島に本社を置く極東工業(現:極東興和)が前身になります。
中核になる極東興和は、2008年に極東工業と興和コンクリートが合併して出来た会社です。
極東工業も興和コンクリートもPC技術に強み生かした橋梁の建設を行ってきた企業です。
ビーアールHDは、M&Aで営業エリアを拡大してきました。
2005年に興和コンクリート(東京・大阪)、2007年に東日本コンクリート(仙台)をグループ化しています。
2006年から、グループ内の神戸工場の閉鎖や全国的な支店・営業所の統廃合を行っています。
これにより、地域的な需給バランスの調整をする事で効率的な組織を実現しています。
また、従業員の技術系比率が80%とかなりの技術集団であることが分かります。
グループ企業の特徴
引用:ビーアルHD
極東興和の技術
マイクロパイル工法
「マイクロパイル工法」は、上空に制限のある空間でも基礎補強が出来る工法です。
主に4種類ある工法を全て出来るのがビーアールHDだけで、現在60%のシェアを確保しています。
今後は、地方自治体の橋梁だけでなく、首都高速道路の橋梁の基礎を補強する必要が出てきます。
その場合、この「マイクロパイル工法」が最も効果的な工法になります。
また橋梁以外にもタンクや送電線の鉄塔、建築物等の補強にも適応可能な工法です。
K-LIP工法
「K-LIP工法」とは、アルカリ骨材反応と敵員の腐食によるコンクリートの劣化を同時に制御する唯一の工法です。
従来のエポキシ樹種による補修では、定期的な補修が必要でした。
しかし「K-LIP工法」は、定期的な補修を必要としません。
ビーアールHDは、「K-LIP工法」で橋梁等のコンクリート構造物の長寿命化に貢献しています。
PC枕木
極東工業は、戦後に砕石会社として創業します。
そのあとに鉄道路線の保守に欠かせないPC枕木の製作を始めています。
このPC枕木は、耐久性の面から現在の主流です。
極東興和が持っている静岡、島根、大分の3つの工場で製作をしています。
PC枕木の主な納入先は、JR東日本、JR東海、JR西日本と関東、東海、近畿の私鉄各社になります。
事業セグメント
ビーアールHDは、主に4つの事業から成り立っています。
- 建設事業:橋梁を中心としたプレストレストコンクリート工事の施工
- 製品販売事業:コンクリート二次製品の製造販売
- 情報システム事業:情報処理・ソフトウエア開発等
- 不動産賃貸事業:所有不動産の賃貸管理
ビーアールHDの売上構成比率(2022年12月)
売上高の主力は、建設事業になり全体の85.2%を占めています。
2番目に大きい事業は、製品販売事業になり全体の13.8%になっています。
建設事業の売上高構成比率(2022年12月)
建設事業の売上高構成比率を見てみると、NEXCOが全体の54.0%を占めています。
その次に、その他公官庁が23.8%、民間企業が14.8%、JRTTと国交省が3.7%になっています。
JRTTとは
ビーアールHDの利益構成比率(2022年12月)
利益の主力も建設事業で全体の90.3%になります。
建設事業の利益率は、7.7%になっています。
建設事業の粗利構成比率(2022年12月)
建設事業の粗利益構成比率を見てみると、NEXCOが全体の40.3%を占めています。
その他は、その他公官庁が36.5%、民間企業が16.2%、JRTTが4.1%、国交省が2.8%の構成比率になっています。
国交省の粗利率が9.5%、NEXCOの粗利率が9.3%となっていますが、全体の粗利率は12.5%です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:16.1倍
- PBR:1.22倍
時価総額200億円以上のPC橋梁メーカー3社の平均PERが9.6倍、PBRが0.3倍になります。
この事を考えると株価は割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、20年11月から株価は約1年半をかけて下落しています。
月足移動平均線を見てみると、12MAは下げ止まって横ばいなので底打ち感があります。
しかし、24MAと60MAはまだ下向きです。
週足5年チャートを見ると330円付近を節目に横ばいになっています。
週足移動平均線は3本共横ばいですが、3本共上向きに転換してきています。
まずは、昨年からの節目になっている360円付近の高値圏を超えれるに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2021年に387億円、営業利益の過去最高は2021年の30億円です。
23年3月期は減収減益を予想しています。
その原因は、期末の工事進行割合の見通しが想定を下回った事と大型工事の大幅な仕様変更に伴う設計変更と遅延です。
これにより2023年度への期ずれが見込まれること等で減収減益となっています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.43%
- ROE:7.57%
- ROA:2.44%
- EPS:22.0円
大手PC橋梁メーカー5社の平均ROE6.12%、ROA2.76%になります。
ビーアールHDの経営効率は、平均的な企業です。
大手PC橋梁メーカー5社の平均営業利益が4.44%なので、平均的な利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:32.3%
- 有利子負債倍率:1.23倍
大手PC橋梁メーカー5社の自己資本比率の平均が44.1%なので、平均を下回る自己資本比率です。
大手PC橋梁メーカー社の有利子負債倍率の平均が0.63倍なので、平均を大きく下回る有利子負債倍率です。
また利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向ですが、総資産に対して18%しかありません。
経営戦略
引用:ビーアルHD
ビーアルHDは、3つの新たな成長戦略を掲げています。
- 新技術の開発
- メンテナンス事業の拡大
- 海外建設プロジェクトの受注
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:12円(2023年3月期)
- 配当利回:3.38%(2023年3月31日)
- 配当性向:54.5%
直近5年の配当金の推移は、右肩上がり増配しています。
今期の業績は、期ずれのため減収減益になっているので配当性向も高くなっています。
利益余剰金比率、自己資本比率、有利子負債倍率を見ると安心して増配があるとは言えません。
株主優待
引用:ビーアールHD
ビーアールHDは、100株以上を1年以上保有すると年2回の株主優待が受けれます。
但し、同じ株主番号で3月末か9月末の株主名簿に連続3回以上記載、または記録される必要があります。
まとめ
ビーアルHDを買うなら、株価360円をしっかり超えてから買いたい。
直近5年のチャートを見ると、株価は約1年半をかけて下落していました。
そこから約1年間は、株価360円を高値圏に横ばいになっています。
まずは、この360円の高値圏をしっかり超えれるかに注目したいです。
ビーアルHDは、中国・関西が地盤のPC橋梁の大手企業です。
ビーアールHDの売上は、ほぼ100%公共事業になります。
その中でもNEXCOからの売上高は、建設事業の54%を占めています。
いかに高速道路会社からの大規模更新・修繕工事が主力事業になっているかが分かります。
地方自治体の橋・トンネルの管理・点検が5年に1回行われる事が義務化されています。
主にこの長寿命化に対してビーアールHDの技術が活かされます。
引用:インフラメンテナンス情報
また、2033年問題(建設後50年を超える橋が6割、トンネルは4割を超える問題)が待っています。
補修・補強の市場が拡大傾向ですが、1件当たりの規模が小さくなるのが予想されています。
1件当たりの規模が小さくなると、大手ゼネコンでは手が負えなくなります。
そこに対してビーアールHDは、それぞれの補修・補強にきめ細かく対応しています。
また低予算で、持続可能な維持・補強技術を開発しています。
今後は、メンテナンス事業の拡大と海外建設プロジェクトの受注が成長戦略です。
2033年問題でも、PC技術の専門集団のビーアールHDが注目されるはずです。
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