千代田化工建設(6366)の株価を分析していきます。
千代田化工建設を5つのポイントで説明
- 国内第2位の総合プラントエンジニアリング企業でLNGプラントでは世界4強の一角
- LNGプラント関連が売上の約50%、売上高の海外比率は約62%
- 経営の再生計画中だが、経営効率や利益率は平均的
- 23年の業績予想で使用している為替レートは1ドル=120円
- 400円以下で購入を考えてもいいがリスクの大きい銘柄
千代田化工建設の概要
千代田化工建設は、国内第2位の総合プラントエンジニアリング企業です。
プラントエンジニアリングとは
また、旧:三菱石油(現:ENEOS)の工事部門が独立してできた企業です。
独立色が強かった千代田化工建設ですが、過去3回の経営危機で三菱商事が筆頭株主として支援しています。
事業内容は、エネルギーから医薬品や環境保全まで幅広い分野で展開しています。
石油・ガス・化学などを中心に「海外の受注高が全体の約8割」を占めています。
千代田化工建設は、日揮HD、東洋エンジニアリングと一緒に「エンジニアリング御三家」と呼ばれています。
「エンジニアリング御三家」の中でも、純利益や受注残高で日揮HDが他の2社を大きく引き離しています。
また千代田化工建設と日揮HDは「液化天然ガス(LNG)プラント建設の世界4強にもなっています。
日系企業で過去最大級のLNGプラント事業
2021年に、カタールの液化天然ガス(LNG)輸出基地の設計・建設業務をフランスの企業と共同で受注しました。
受注総額は1兆数千億円規模で、このうち50%が千代田化工建設の契約額です。
これは、日本企業が受注したLNGプラントでは過去最大級の事業になります。
SPERA水素
引用:千代田化工建設
近年の千代田化工建設は、水素のサプライチェーンの構築に注力しています。
水素エネルギーは究極のクリーンエネルギーとしてその利用の実現が期待されています。
水素エネルギーの普及は、水素を石油や天然ガスのように大規模に貯蔵・輸送する技術が必要です。
しかしこれまでにそのような技術はありませんでした。
千代田化工建設は、世界に先駆けて水素を大規模に貯蔵・輸送する技術を開発しました。
この技術により、水素を常温・常圧の液体として扱うことができます。
またタンク、タンカー、タンクローリーなどの既存の石油供給インフラの転用が可能になります。
設備投資を抑えたインフラ整備が可能になることもメリットです。
直近では、世界で初めて燃料電気自動車へCO2フリー水素を充填することに成功しています。
堅調な成長が見込まれるLNG市場
引用:千代田化工建設
千代田化工建設は、これまでにLNGの受入基地のシェアで国内NO.1の実績を持っています。
また海外でのLNG液化プラントでは過去10年で40%のシェアを獲得しています。
今後もアジアを中心にLNGの需要が堅調に伸長すると予想しています。
さらに2030年までには、年産1億トン規模の新規プラント建設のの需要が見込まれています。
この成長が見込まれるLNG市場は、千代田化工建設の実績が最大限に活かせる地域や顧客案件を含んでいます。
事業セグメント
千代田化工建設は、エンジニアリング事業の単一事業から成り立っています。
エンジニアリング事業は、エネルギ分野と地球環境分野の2つの分野に分かれています。
- エンジニアリング事業:エネルギー分野(LNGプラント関係、その他ガス関係、石油・石油化学関係)、地球環境分野(医療・生化学・一般科学関係、環境・新エネルギー・インフラ関係、その他)
千代田化工建設のセグメント別売上構成比率(2022年3月)
売上高の主軸は、LNGプラント関係になり全体の50.1%を占めています。
また石油・石油化学関連も全体の18.3%を占めています。
この事からもエネルギー関連の占める割合が大きい事が分かります。
千代田化工建設のエリア別売上構成比率(2022年3月)
引用:千代田化工建設
千代田化工建設の国内外の売上高構成比率は、海外が62%、日本国内が38%です。
エリア別の売上構成比を見ると中近東・アフリカが約26%と主力のエリアになっています。
その次にアジア・オセアニアが18%、北中南米が17%の順番です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.5倍
- PBR:5.61倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとかなり割高と判断されています。
チャート分析
千代田化工建設は、2019年の経営危機で大きく株価を下げています。
月足10年チャートを見ると、2021年から400円付近が下値目途になっています。
月足移動平均線を見ると60MAは下向きですが、12MAと24MAは上向きになっています。
週足5年チャートを見ると500円以上になると高値圏となって売られています。
株価が横ばいなので、大きなキャピタルゲインは難しいようです。
400円割れで購入して、420円超えで売ってもいいかもしれません。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2016年に6115億円、営業利益の過去最高は1983年の580億円です。
23年3月期は大幅な増収増益を予想していています。
この業績予想では為替レートを1ドル=120円を使用しています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.00%
- ROE:59.27%
- ROA:3.15%
- EPS:44.4円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%になります。
千代田化工建設は、財務レバレッジが増加しているのでROEはあてになりません。
上場企業の平均ROE3%に対して3.15%なので平均的な経営効率です。
建設業の平均営業利益が4.4%なので、平均的を少し下回る利益率です。
利益率は厳しい業界ですが、日揮HDと比べると少し見劣りしてしまいます。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:4.0%
- 有利子負債倍率:2.91倍
千代田化工建設の財務体質は、経営危機での支援を受けている事もあり倒産寸前の数値です。
事業規模に対してのリスクが大きい業界なので、財務体質にも表れています。
長期経営ビジョン
千代田化工建設は2030年に向けて、目指す経営ビジョンを発表しています。
利益目標
引用:千代田化工建設
事業ポートフォリオ
引用:千代田化工建設
千代田化工建設は、2030年の事業ポートフォリオで既存事業と新規事業の比率を50:50を目指しています。
新規事業領域
水素事業
引用:千代田化工建設
ライフサイエンス事業
引用:千代田化工建設
エネルギーマネジメント事業
引用:千代田化工建設
中期経営計画(再生計画)
千代田化工建設は、2024年3月期までの中期経営計画を発表しています。
再生計画の進捗状況
引用:千代田化工建設
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:0円(2023年3月期)
- 配当利回:ー%(2022年9月2日)
- 配当性向:ー%
千代田化工建設は、経営の再生計画中と言う事もあって配当金を出していません。
株主優待
残念ながら千代田化工建設は、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
千代田化工建設を買うなら、400円割れで購入したい。
千代田化工建設は、国内2位の総合プラントエンジニアリング企業です。
LNGプラント分野では、日揮HDと共に世界トップの実績をもっています。
国内外売上高構成比では、海外が約62%になっています。
三菱商事に支援を受けて再生計画中ですが、まだまだ財務体質は改善出来ているとは言えません。
チャートを見ると2019年の経営危機で大きく株価は下落しています。
現在の株価は、400円付近を横ばいに推移していますが500円を超えると高値圏になっています。
千代田化工建設も日揮HDと共に、日本や世界のオイル・ガスエネルギーを考えると欠かせない企業です。
しかしプラント業界は、ハイリスクハイリターンな業界と言うことも忘れてはいけません。
今後は、注力している水素のサプライチェーンの構築に注目です。
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