ピーエス三菱(1871)の株価分析と特徴をまとめていきます。
ピーエス三菱を5つのポイントで説明
- 三菱グループ唯一のゼネコンでPC橋梁は技術も実績も国内首位
- 今後は大規模更新・修繕事業を主力事業にした成長に注目
- 財務体質・経営効率・利益率は大手PC橋梁メーカー5社の中でも平均的
- 直近10年の配当は特別配当の減配もあるが普通配当は右肩上がりに増配中
- 2033年問題で注目したい企業
ピーエス三菱の概要
ピーエス三菱は、ゼネコンでありながらPC橋梁では国内首位の企業です。
PCとは
1952年に日本初のPC橋を手掛けて以来、PC技術の日本のパイオニアと言われています。
またPC技術を国内で初めて工業化したゼネコンがピーエス三菱です。
2002年にPC技術を持つピー・エスと一般建築が得意な三菱建設が合併して、ピーエス三菱になりました。
このような経緯もあって、ゼネコンですが橋梁等のPC関連の受注が多いのが特徴です。
建設業界の中では、PCゼネコンとして独自の存在感がある企業と言えます。
ピー・エス・コンクリート
ピーエスの源流は、東日本重工業(現:三菱重工業)の七尾造船所です。
ここで日本初のPC工場が完成したことから始まります。
1952年に日本初のPCを企業化するためにピー・エス・コンクリートが設立されます。
また日本で初めてPCの建設を専門に扱っていたのが、ピー・エス・コンクリートです。
つまりピー・エス・コンクリートは、日本で初めてPC技術を商業化した会社です。
得意分野は、土木の中でも橋梁、空港などの公共施設です。
三菱建設
1960年に新菱建設として、三菱鉱業や三菱系列の企業10社が発起人となり設立されました。
1969年には三菱建設と名称を変更し、三菱グループ唯一のゼネコンです。
得意分野は、マンション、商業施設、工場、倉庫、病院、医療施設などの一般建築です。
PC技術の日本のパイオニア
ピーエス三菱の特徴は、PC技術とPCa技術です。
またPC技術とPCa技術を合わせたPCaPC工法でもパイオニアと呼ばれています。
この技術を活用する事で、土木や建築分野を始めとした様々な分野に応用しています。
PC(プレストレストコンクリート)技術
引用:ピーエス三菱
PC技術は、コンクリート構造物に優れた耐久性、耐震性、高強度性を持っています。
また材料の省資源化を実現することが可能です。
このPC技術は、橋やタンクなど様々な所に使用されています。
PCa(プレキャストコンクリート)技術
PCaとは、あらかじめ工場で制作したコンクリート部材です。
現場で型枠を組み施工した場合より高品質・高耐久なのが特徴です。
工場で部材を制作するため、現場での作業は短期間となり周辺の環境にやさしい工法です。
PCa技術は、工場生産による高品質化、現場工事の省力化、短工期化を実現できます、
その為、少子高齢化や環境問題には不可欠な技術として国内外から注目を集めています。
PCaPC(プレキャスト・プレストレストコンクリート)工法
引用:ピーエス三菱
PCaPC構造は、耐震に対して粘り強く、ダメージが蓄積しにくい工法です。
PCaPC構造は、阪神淡路大震災や東日本大震災でもその耐久性能が実証されました。
海外事業
引用:ピーエス三菱
ピーエス三菱は、インドネシアやベトナムなどの東南アジアに5拠点の進出しています。
またグループ会社も東南アジアに3社あります。
ピーエス三菱の技術力の高さは海外でも有名です。
特に有名な実績が、アメリカで完成したコロラドリバー橋です。
コロラドリバー橋
引用:ピーエス三菱
コロラドリバー橋は、歴史的構造物であるフーバーダムの眼前に建設されました。
アーチスパンが323mもある北米最大の鋼コンクリート複合アーチ橋です。
全体重量の低減と地形改変を最小にする為、アーチリブが並列するツインアーチ構造が採用されています。
また風対策の為に、世界初のコンクリートアーチを鋼製ストラットにより一体化する構造が採用されています。
事業セグメント
ピーエス三菱は、主に4つの事業から成り立っています。
- 土木事業:土木工事の施工請負等
- 建築事業:建築工事の施工請負等
- 製造事業:コンクリート製品の製造販売等
- その他兼業事業:不動産事業及び損害保険代理業等
ピーエス三菱の売上構成比率(2022年12月)
売上高の主力は、土木事業になり全体の64.9%を占めています。
2番目に大きい事業は、建築事業になっています。
ピーエス三菱の利益構成比率(2022年12月)
利益の主力も土木事業で全体の77.6%になります。
セグメント別の利益率は、土木事業が17.7%、建築事業が7.8%、製造事業が23.5%です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:9.5倍
- PBR:0.65倍
時価総額200億円以上のPC橋梁メーカー3社の平均PERが9.6倍、PBRが0.3倍になります。
この事を考えると株価は妥当と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、直近5年は700円に近づくと高値圏になり売られる傾向がありますす。
月足移動平均線は60MAが22年9月に下降していて、12MAと24MAはほぼ横ばいです。
週足5年チャートを見ると600円付近に節目があることが分かります。
週足移動平均線は3本共上向きなので上昇傾向にあります。
まずは、700円の高値を超えれるかよりも前回高値の650円付近や600円の節目を守れるかに注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2004年に1614億円、営業利益の過去最高は2019年の87億円です。
23年3月期は増収減益を予想しています。
売上高は、土木と建築事業共に昨年と同じくらいの予想です。
営業利益の減益の要因は、土木事業で設計変更を見込んでいた大規模プロジェクトの終了と人件費の高騰によるものです。
しかし、23年3月期予想は中期経営計画では織り込んでいる数値です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.46%
- ROE:6.85%
- ROA:3.09%
- EPS:68.9円
大手PC橋梁メーカー5社の平均ROE6.12%、ROA2.76%になります。
ピーエス三菱の経営効率は、平均を少し上回る企業になります。
大手PC橋梁メーカー5社の平均営業利益が4.44%なので、平均的な利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:45.0%
- 有利子負債倍率:0.55倍
大手PC橋梁メーカー5社の自己資本比率の平均が44.1%なので、平均的な自己資本比率です。
大手PC橋梁メーカー社の有利子負債倍率の平均が0.63倍なので、平均を少し下回る有利子負債倍率です。
また利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して31.0%になります。
ピーエス三菱の財務体質は平均的な企業と言う事が分かります。
中期経営計画
ピーエス三菱は、2022年度から2024年度まで3年間の中期経営計画を発表しています。
また2030年度には、受注高・売上高1500億円以上、営業利益8%以上を目指しています。
事業方針
引用:ピーエス三菱
数値計画
引用:ピーエス三菱
ピーエス三菱は、24年度に売上高1210億円、営業利益73億円を目指しています。
資本政策・経営指標
引用:ピーエス三菱
ピーエス三菱は2024年度に営業利益率6%、ROE10.5%以上、ROA7.5%以上を目指しています。
22年度は厳しいですが、直近3年の実績を見ると目標の達成は可能な数値です。
また自己資本比率は40%以上、DEレシオは0.30倍以下に設定しています。
自己資本比率も毎年改善傾向にあり50%目前なので、既に達成している状態です。
大規模更新・修繕事業の取り組み
引用:ピーエス三菱
ピーエス三菱は、NEXCOや高速道路会社の大規模更新・修繕工事を年々増収増益で成長しています。
利益の面でも10%を超える高い利益率を確保しています。
22年度では、市場全体の13.1%を受注見込みです。
またこの数字は、売上高の23.2%を占める事になるので主力事業となっているかが分かります。
市場見通
PC土木市場の将来予測
引用:ピーエス三菱
PC土木の市場では、新設の橋梁工事の減少が予想されています。
しかし、高速道路会社のリニューアル事業で好況を維持する事を見込んでいます。
PC土木市場(維持・修繕)の将来予測
引用:ピーエス三菱
PC土木市場の維持や修繕工事、高速道路向けの工事の拡大と共に増加傾向です。
2030年までには約2500億円程度の市場を維持する見通しです。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:30円(2023年3月期)
- 配当利回:4.57%(2023年3月20日)
- 配当性向:43.5%
ピーエス三菱は、配当性向を40%以上に設定しています。
直近10年の配当金の推移は、1度だけ減配をしていますが右肩上がり増配しています。
この1度の減配ですが、19年3月期は普通配当20円で特別増配で12円の内訳になっています。
普通配当だけで見れば、減配はしていないという事になります。
しかし、配当性向の余力と優良な財務体質を見ても今後も安定した配当や増配を期待出来ます。
株主優待
残念ながらピーエス三菱は、株主優待の設定をしていませんでした。
まとめ
ピーエス三菱を買うなら、株価600円をしっかり守れるかを確認してから買いたい。
直近5年のチャートを見ると、700円付近が高値圏になっていました。
ピーエス三菱はPC技術のパイオニアで、PC橋梁では国内首位の企業です。
実際に、高速道路会社からの大規模更新・修繕工事を市場の10%以上も受注しています。
また三菱グループ唯一のゼネコンで金曜会と三菱広報委員会の会員です。
この事からも東証プライム上場維持や割安な株価等の対策はしっかりしてくると考えます。
事業内容は、PC技術を活用した土木事業と建築事業です。
しかし、新設の橋梁工事の需要は中長期的にも減少傾向です。
今後は、高速道路会社の補修や修繕工事の需要をいかに取り込むかに注目です。
引用:インフラメンテナンス情報
また、2033年問題(建設後50年を超える橋が6割、トンネルは4割を超える問題)が待っています。
2033年問題でも、PC技術のパイオニア企業である必ずピーエス三菱が注目されるはずです。
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