ゴールドクレスト(8897)の株価を分析していきます。
ゴールドクレストを5つのポイントで説明
- 首都圏でハイグレードマンションにこだわるマンションディベロッパー
- 営業利益率は大手総合ディベロッパー8社の平均を大きく上回る28.86%
- 自己資本比率65%、有利子負債倍率0.43倍の強固な財務基盤
- 1600円を超えてから買いを検討したい
- 情報が少ないので決算短信の「新築マンション等分譲事業の状況」は要チェック
ゴールドクレストの概要
ゴールドクレストは、首都圏でハイグレードマンションに強いこだわりを持つ、マンションディベロッパーです。
ゴールドクレストは1992年に設立し、1992年から銀座でマンションの販売代理業をスタート。
1994年からは自社ブランドの分譲マンション「クレストフォルム」シリーズの販売を開始します。
2002年にはマンション開発など業容を拡大し、首都圏マンション供給戸数ランキング3位になりました。
2021年3月期の分譲マンション戸数は、マンションディベロッパーの中で19位。
今までの累計販売戸数は、2万8000戸を超えています。
また、代表取締役社長の安川氏は、一級建築士の資格を持っています。
社長自身も設計に関与することもあるようです。
オーナー経営
ゴールドクレストの筆頭株主は「ミューアセット」と言う企業になります。
この企業は、ゴールドクレスト創業者の安川氏が社長なので、実質的にオーナー企業になります。
一社単独で日本最大級の街づくり
引用:ゴールドクレスト
2015年からゴールドクレストは、単一事業主で日本最大級の街つくりに挑戦しています。
JAPAN CENTRAL PARK構想という、公園の中に街をつくる設計思想で街つくりです。
この「クレストプライムレジデンス」は、10年かけて総戸数2500戸超のビックプロジェクトです。
この規模になると通常はジョイントベンチャーで行われます。
ゴールドクレスト一社で行うので、いかに強固な財務基盤を持っているかが分かります。
ゴールドクレストグループのトータルサポート
引用:ゴールドクレスト
ゴールドクレストは、グループ会社を通じて商品開発から建築、販売、管理までの一貫体制をとっています。
入居中のサポートとして、24時間365日受付の緊急コールセンターを設置しています。
これは、水漏れ事故や機器の故障などの非常事態に対応するためです。
また将来の売却や住み替えは、ゴールドクレスト住宅販売がトータルサポートを提供しています。
品質へのこだわり
製販管の一貫体制
引用:ゴールドクレスト
独自のチェックシートを作成する事で、様々な角度から商品検査を実施して品質の管理と向上に取り組んでいます。
品質向上サイクル
引用:ゴールドクレスト
ゴールドクレストは、品質向上サイクルを構築しています。
これは、購入した顧客からの声を関連部署に反映する事で商品や企画に活かしています。
事業セグメント
ゴールドクレストは、3つのセグメントから成り立っています。
- 不動産分譲事業:新築マンションなどの分譲
- 不動産賃貸事業:オフィスビルなどの賃貸
- その他事業:不動産管理事業、その他付帯事業
ゴールドクレストの売上構成比率(2021年3月期)
ゴールドクレストの売上の主力は、不動産分譲事業になり全体の75.9%を占めています。
2番目に大きいセグメントは、不動産管理等を行うその他事業になっています。
ゴールドクレストの利益構成比率(2021年3月期)
利益の主力も不動産分譲事業で、全体82.7%を占めています。
主力セグメントの粗利率は、不動産分譲事業が27.6%、不動産賃貸事業が46.4%になっています。
この利益率は、他のディベロッパーと比べてもかなりの高収益です。
住友不動産同様に、完成後の物件でも値下げをしない強気の姿勢が利益率に表れています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足3年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:8.2倍
- PBR:0.43倍
不動産業の平均PERが15.2倍、PBRが1.2倍なので、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見てみると、1500円付近が底値圏になっています。
月足移動平均線は、12MA以外下向きなので長期的には下落傾向です。
週足3年チャートを見ると、1600円に節目があるのが分かります。
21年になってからは、1600円から1800円のボックス相場になっています。
しかし現在の株価は、1600円を割り込んで1500円付近まで下落しています。
週足移動平均線は、13MAと26MAは下向きになっているので下落傾向です。
もしこのまま下がるとなると、1400円付近が次の節目になります。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上の過去最高は2005年に1009億円、営業利益の過去最高は2008年の251億円です。
21年3月期は、新型コロナの影響で大幅な減収減益になりました。
22年3月期の売上高は、大幅に回復予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:28.86%
- ROE:5.22%
- ROA:3.41%
- EPS:187.9円
不動産業の平均ROEは8.82%、ROAは2.1%なので、経営効率は平均を下回る企業です。
マンションディベロッパー10社の平均営業利益率は9.1%なので、ほぼ3倍の利益率になります。
販売費および一般管理費は、売上総利益に対して30%以内だと優良企業と言われています。
ゴールドクレストの販売費および一般管理費は、売上総利益の42.5%を占めています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:65.2%
- 有利子負債倍率:0.43倍
自己資本比率は、不動産業の平均が33.4%なので大幅に上回っています。
有利子負債倍率は、不動産業の平均が1.34倍なので大幅に上回っています。
剰余金は総資産に対して53.6%もあり、毎年しっかり積みあがっています。
有利子負債倍率は横ばいですが、意図的に維持していると考えられます。
配当金と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:70円(2022年3月期)
- 配当利回:4.56%(2021年11月19日)
- 配当性向:37.2%
9年連続減配をせず、4期連続の増配をしましたが、21年3月期は30円の減配をしました。
22年3月度は、再び増配予定で70円を予定しています。
配当性向は37.2%とまだまだ余力もあり、近年の配当性向が40%前後になっています。
ゴールドクレストは強固な財務基盤から減配の心配は少ない企業です。
しかし、直近の21年3月期は大幅減益だったので減配をしています。
この21年3月期の配当性向は44.8%でした。
今後、減益した場合は、この配当性向45%が意識されると思います。
株主優待
毎年3月31日を基準日として、100株以上を保有する株主は1,000円分のクオカードがもらえます。
毎年6月下旬に発送を予定しています。
まとめ
ゴールドクレストを買うなら、1600円を超えてから購入を検討したい。
ゴールドクレストの魅力は、トップクラスの利益率の高さと財務基盤です。
利益率の高さは、ハイグレードマンションの付加価値と社長自身の土地を仕入れる目利きの良さにあると思います。
今期は、在庫の販売が好調なので営業利益もしっかり回復しています。
下期に大型マンションの完成もあるので、第三四半期の販売状況に注目です。
また24年3月期以降に引き渡しを予定しているマンション開発も始まっています。
配当に関しては、配当利回りが4.5%以上なので高配当になります。
財務基盤は強固なので、高配当投資をされている方にもオススメ出来る銘柄です。
21年3月期はコロナショックで減配をしたので、連続増配は4年で終わりました。
しかし、配当性向は高くても45%が意識されているので、今後の参考に出来ます。
チャートは、まずは1550円を超えれるかに注目です。
ここを超えていかないと次の下値目途は1400円付近になっています。
ゴールドクレストは中期経営計画の開示がないので、今後の見通しなどが分からないのが残念です。
主力事業の不動産分譲事業の進捗を確認するには、引渡実績などの販売状況だけが頼りです。
この販売状況は、決算短信の最終ページにあります。
ゴールドクレストを買う場合は、決算短信の「新築マンション等分譲事業の状況」をチェックしたいです。