ショーボンドホールディングス(1414)の株価を分析していきます。
ショーボンドホールディングスを5つのポイントで説明
- コンクリート建造物の総合メンテナンス企業
- 受注の90%が国土交通省・地方自治体・高速道路運営会社
- 営業利益率19%、ROE12%、ROA10%は平均を大きく上回っている成績
- チャートは綺麗な右肩上がりで上昇中
- 株価4500円で反発を確認して買いを検討したい
ショーボンドホールディングスの概要
引用:ショーボンドホールディングス
ショーボンドホールディングスは、社会インフラを支えるコンクリート建造物を補修・修繕する総合メンテナンス企業です。
1960年にショーボンドの前身である昭和工業は、土木建築工事に使用するエポキシ樹脂系接着剤に着目します。
この接着剤を商標名 「ショーボンド」 として製造・販売・施工を手掛けるようになりました。
1964年の新潟地震をきっかけに「補修事業」へ転換していきます。
この事業転換には、「土木建設の分野で持続的な成長を目指すには、競合企業が少なく、多少の景気の変動では受注額が大きく左右されにくい既存インフラの補修市場の方が有利」と言う経営判断があったそうです。
現在、ショーボンドホールディングスは、連結子会社16社で構成されています。
事業内容は、研究開発から調査・設計・施工、工事材料の製造販売まで行っています。
特に補修・補強工事の施工を行うショーボンド建設が中核企業になります。
このショーボンド建設の強みは、補修・補強工事の独自の技術と豊富なノウハウです。
またグループ全体で、調査から設計・施工まで一貫体制を確立しているのも強みです。
補修工事では、イレギュラーが前提となり「現場合わせ」が重要になってきます。
その為、補修技術のノウハウと調査から施工までの一貫体制で行う対応力が求められます。
さらに全国に補修・補強専門の工事会社を持っています。
全国に工事会社を持つことで地方公共団体からのきめ細かな要望に応えることができます。
ショーボンドホールディングス独自の強みが顧客からの信頼につながり、安定した受注につなげています。
元請け受注比率の高さ
引用:ショーボンドホールディングス
ショーボンドホールディングスは、元請け受注が約90%あります。
その内訳は、国土交通省や高速道路運営会社、地方公共団体等が占めています。
また、数千万円の規模から何十億円と言うの大規模な案件を全国で受注しています。
海外進出
2019年に世界のインフラメンテナンスに貢献することを目的にショーボンドホールディングスは、三井物産と合弁会社を設立しました。
この合弁会社がSHO-BOND&MITインフラメンテナンス株式会社です。
インフラメンテナンス世界市場の対象は上下水道・電力関係・道路 鉄道・空港 港湾です。
この市場規模は約200兆円になります。
その中でも、ショーボンドホールディングスが得意分野の道路鉄道市場は約38兆円もあります。
ショーボンドの総合的な技術力と三井物産が海外に持つ幅広い顧客・パートナー企業などのグローバルネットワークや海外事業運営ノウハウを活用して、海外でのメンテナンス事業を推進していく計画です。
ショーボンド建設の独自技術
ショーボンド建設は、補修・補強のリーディングカンパニーとして約150件の特許を保有しています。
その内の約3分の1を製品化して、20種類を超える工法が標準的な技術として評価されています。
それだけではなく、NETISやARICの登録工法にもなっています。
メモ
NETIS:国土交通省 新技術情報提供システム
ARIC:農業農村整備情報総合センター
そんなショーボンド建設の独自技術で代表的なものを紹介します。
ビックス工法
引用:ショーボンド建設
ビックス工法は、コンクリート構造物のひび割れ補修工法の1つです。
ゴムチューブを使用した特殊注入器具を使います。
この器具を低圧で時間をかけて、ひび割れの奥深くまで接着剤を注入する工法です。
注入作業のほとんどをゴムチューブが受け持つ、省力化されたひび割れ補修工法です。
この工法で、ひび割れ注入後50年間利用されている橋もあります。
ハイブリッドシート工法
引用:ショーボンド建設
ハイブリッドシート工法とは、コンクリート片の剥落を防止する工法です。
具体的には、コンクリートの表面にハイブリッドシートを接着剤で貼ります。
このハイブリッドシートは、コンクリート剥落防止性能だけでなく対候性にも優れています。
また従来の工期を短縮できることも大きなメリットです。
緩衝チェーン
引用:ショーボンドホールディングス
緩衝チェーンは、チェーンタイプの落橋防止構造です。
この緩衝チェーンは、地震時に橋梁上部工が落下することを防ぐだけではありません。
地震の衝撃を緩和できる落橋防止構造にもなっています。
事業セグメント
ショーボンドホールディングスは、2つのセグメントから成り立っています。
- 国内建設事業:公共構造物の補修補強工事及び製品販売
- その他事業:海外建設、製品製造販売業、海外製品販売業
ショーボンドホールディングスの売上構成比率(2021年5月)
売上高の主軸は、国内建設事業になり全体の96.4%を占めています。
直近4年の売上の内、約45%は高速道路運営会社になっています。
ショーボンドホールディングスの利益構成比率(2021年5月)
利益の主軸も国内建設事業になり、全体の95.9%を占めています。
21年5月期の国内建設事業の利益率は19.5%、その他事業の利益率が22.1%です。
販売管理費及び一般管理費も25%以下なので問題ありません。
また中期経営計画の営業利益目標は19%以上ですが、19%台で推移しています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:22.6倍
- PBR:2.86倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えるとかなり割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価は綺麗な右肩上がりで上昇しています。
月足移動平均線は、24MAと60MAが上向きですが、12MAが24MAに接近中です。
しかし、過去を見ると12MAが24MAにタッチしても大きく割り込まずに反発しています。
週足5年チャートを見ても右肩上がりになっているのが分かります。
現在ローソク足は、52MAで押さえつけれていて、ローソク足も13MAより下にあります。
4500円付近が今年からの節目になっているので、反発出来れば買いを検討したいです。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1997年に1103億円、営業利益の過去最高は2021年の157億円です。
22年6月期は、増収増益予想をしています。
売上高こそ過去最高ではありませんが、利益面では過去最高を更新予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:19.71%
- ROE:12.65%
- ROA:10.47%
- EPS:214.1円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を大幅上回る企業になります。
大手ゼネコン23社の平均営業利益が6.7%なので、平均を大幅に上回る利益率になっています。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:82.8%
- 有利子負債倍率:ー
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均を大きく上回る企業です。
直近3年の自己資本比率は、約82%で推移していて、中期経営計画通りです。
有利子倍率は無借金経営なのでありません。
余剰金は増加傾向で、総資産に対して48.2%もあります。
営業CFはプラスで、投資CFと財務CFはマイナスになっています。
中期経営計画
ショーボンドホールディングスは、2024年度に営業利益目標を10%増加させる中期経営計画を策定しています。
基本方針
引用:ショーボンドホールディングス
グループ事業戦略
引用:ショーボンドホールディングス
経営数値目標
引用:ショーボンドホールディングス
資本政策
引用:ショーボンドホールディングス
資本政策は、配当性向50%を維持しつつ、着実に配当を増加を目指しています。
また、24年度までの3年間に100億円の自社株買いを実施予定です。
これにより、総配当性向75%を維持する計画です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:108円(2022年6月期)
- 配当利回:2.23%(2021年10月16日)
- 配当性向:50.4%
ショーボンドホールディングスは、13期連続増配しています。
22年6月期の配当も増配予想なので、14年連続増配の見込みです。
現在の配当性向は、50.4%とゼネコンの中では高い方になります。
しかし、中期経営計画で配当性向50%以上と発表しているので問題ありません。
剰余金も総資産に対して48.2%もあるので、本業が順調である事が分かります。
また財務体質も優良なので増配余力は問題ありません。
株主優待
残念ながらショーボンドホールディングスは、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
ショーボンドホールディングスを買うなら、4500円台で反発した事を確認して買いたい。
ショーボンドホールディングスは、橋梁やトンネルなどのコンクリート建造物の補修・補強工事に強みを持っています。
「国土強靭化の5か年で加速計画」だけでなく、高速道路の補修や補強工事の案件は豊富です。
さらに22年6月期の決算予想は、増収増益予想なので好感が持てます。
チャートを見ても月足移動平均線は上向きですが、週足移動平均線は下落しています。
しかし、長期的にみると月足移動平均線の12MAが24MAを割り込んでも上昇しています。
まだ株価は調整に入ろうとしていますが、4500円が節目になります。
経営指標を見ると営業利益率、ROE、ROAは、ゼネコンの中でも平均を大きく上回っています。
財務体質は、高い自己資本比率と無借金経営の有利子負債倍率です。
剰余金は総資産に対して48.2%なので、本業が順調な事を表しています。
配当に関しては、14期連続増配予定です。
さらに24年6月期までの3年間で100億円の自社株買い実施予定です。
総配当性向は、75%以上になるのでかなり高くなっています。
しかしこの総配当性向は、中期経営計画通りです。
配当目的で購入しても、財務状況や経営効率が素晴らしいので問題ありません。
また国土強靭化の恩恵だけでなく、今後のインフラ補修での恩恵を受けれます。
配当だけでなく、キャピタル目的で長期保有を検討出来る銘柄です。