日特建設(1929)の株価分析と特徴をまとめていきます。
日特建設を5つのポイントで説明
- 地質調査と基礎土木一貫工事に強み
- 法面工事では国内2位、堤高100m以上のダムの実績は国内1位
- ROE、ROA、自己資本比率、有利子負債倍率、余剰金比率はどれも優秀
- 月足と週足移動平均線は全て上向きで上昇中
- 週足13MAタッチで買いを検討したい
日特建設の概要
日特建設は、環境防災、維持補修、都市再生分野の専門工事に特化した地質に強いゼネコンです。
日特建設の日特は、旧社名の「日本特殊工業」から来ており特殊土木に強みを持っています。
特殊土木の中でも斜面・法面対策では、ライト工業に続いて2位のシェアを持つ企業です。
斜面・法面対策工事とは、台風や地震で起こる土砂災害を防止する工事です。
また日特建設は、黒四ダムなどの国内の大ダム基礎工事の大半を施工していきました。
創業当初から地質調査と基礎土木工事を一体施工できる強みを持ち、高く評価されてきたからです。
日特建設は、日本の堤高100m以上のダムの75%以上を手掛けています。
これは、業界No.1の実績です。
海外には、インドネシアに進出していて東南アジアでインフラ整備プロジェクトに参加しています。
今後は、公共事業の減少と本格的な維持補修時代の到来を予想しています。
補修技術の開発、専門工事の新たな工種、海外工事の拡大などの新しい分野での開拓が必要
日特建設の独自技術
岩盤グラウチング技術
引用:日特建設
日特建設は、「岩盤グラウチング技術」を最も得意としています。
これは、岩盤に深く細い穴を開けて、そこからセメント水を注入してひび割れを充填する方法です。
岩盤の上にダムや岩盤をくりぬいてトンネルを作る場合、ほとんどの岩盤には大小さまざまなひび割れがあります。
この大小さまざまなひび割れが、漏水や壁や天井が崩れる原因になります。
それらを防ぐための「一枚岩」を作る技術が「岩盤グラウチング技術」です。
パフェグラウト工法
引用:日特建設
パフェグラウト工法は、日特建設独自の補修・補強工法です。
セメント系充填材『パフェグラウト』と、施工装置『パフェプラント』を組み合わせた工法です。
高強度を必要とする構造物の補修や長距離トンネルにおける空洞・空隙充填に効果的です。
ジオファイバー工法
引用:日特建設
ジオファイバー工法とは「連続繊維補強土」を用いた環境保全型の法面安定工法です。
これは、砂質土と連続繊維(ポリエステル)を噴射・混合して、法面に厚い土構造物を構築します。
コンクリートの代わりに連続繊維と砂質土を用いて斜面を補強する環境に優しいのが特徴です。
清水寺の環境保全にもこの技術が使われました。
引用:日特建設
未来プロジェクト
引用:日特建設
日特建設は、立命館大学、JAXAと共同で、月面での採掘機械や技術の研究をしています。
事業セグメント
日特建設は、建設事業の単一セグメントです。
- 建設事業:基礎土木工事、土木工事一式、地質コンサルタント、商品資材販売等事業、及び保険代理業
日特建設の工事別売上構成比率(2023年3月)
内訳は、基礎土木工事(基礎・地盤改良、法面、補修)が96.5%になっています。
特に法面工事では、国内2位の売上規模です。
日特建設は特殊土木分野に強みを持っています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:13.0倍
- PBR:1.37倍
建設業の平均PERが13.6倍、PBRが0.9倍になります。
この事を考えると株価は、割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価は右肩上がりに成長しています。
月足移動平均線は3本共上向きなので、長期的にも上昇傾向です。
月足60MAにタッチしている時は、買い時になっています。
週足5年チャートを見ると、株価は900円の節目を抜けて上昇しています。
週足移動平均線は3本共上向きなので、中期的にも上昇傾向です。
短期的には、株価が週足13MAにタッチした時が買い時です。
しかし国土強靭化計画を追い風に2026年3月までは、上昇傾向になると考えられます。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2001年に1313億円、営業利益の過去最高は1994年の63億円です。
24年3月期は減収減益予想です。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:7.06%
- ROE:10.52%
- ROA:6.34%
- EPS:80.3円
大手特殊土木3社の平均ROE8.92%、ROA7.13%になります。
日特建設の経営効率は、平均を上回る企業になります。
大手特殊土木3社の平均営業利益が7.45%なので、ほぼ平均的な利益率です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:60.3%
- 有利子負債倍率:ー
大手特殊土木3社の自己資本比率の平均が61.7%です。
日特建設の自己資本比率は、ほぼ平均的な自己資本比率です。
大手特殊土木3社の有利子負債倍率の平均が0.1倍です。
これに対して日特建設は、無借金経営です。
また大手特殊土木3社の中で無借金経営は、日特建設だけです。
利益剰余金の安心できる目安は、総資産に対して30%以上です。
剰余金は増加傾向で、総資産に対して45.2%になります。
日特建設の財務体質は、かなり健全で強固と言う事が分かります。
中期経営計画
日特建設は、2023年度から2025年度までの中期経営計画を策定しています。
経営数値目標
引用:日特建設
日特建設は、23年から25年の間の営業利益を3年平均で54億円以上を目指しています。
業績計画
引用:日特建設
これは、3年間の業績計画になっています。
前回の中期経営計画から売上高106%、営業利益を104%の増加を計画しています。
利益配分
引用:日特建設
株主還元方針
今回の中期経営計画中で、前年度実績を下回らない配当を目指すとしています。
24年3月期の配当性向は、58.5%となっています。
しかし、日特建設の強力な財務体質から見ても問題ありません。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:47円(2024年3月期)
- 配当利回:4.02%(2023年7月14日)
- 配当性向:58.5%
日特建設は、21年3月期の配当を減配しています。
23年から25年までの3年間で、前年度実績を下回らない配当を目指すとしてます。
財務体質や剰余金の比率はかなり優秀です。
株主優待
残念ながら日特建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
日特建設を買うなら、週足13MAをタッチしたところで買いたい。
日特建設は、特殊土木の法面工事に強みを持っています。
21年度から「国土強靭化の5か年で加速計画」や災害が増えてきているので、需要が見込めます。
チャートを見ても月足と週足移動平均線は全て上向きです。
長期保有目的の場合でもまずは700円で反発出来るか確認したいです。
経営指標を見るとROE、ROA、営業利益率は、大手特殊土木3社の中では平均的です。
しかし、大手ゼネコンの中と比べると平均を大きく上回っていて優秀です。
財務状況も高い自己資本比率、無借金経営、豊富な剰余金とかなり強力な財務体質です。
配当に関しては、25年度まで前年度実績を下回らない配当金を目指すとしています。
4%以上の高配当銘柄で累進配当を明言しているので引き続き注目です。
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