大豊建設(1822)の株価を分析していきます。
大豊建設を5つのポイントで説明
- 土木主体の中堅ゼネコンで地下掘削工事に強み
- 配当は10期連続減配無し
- 筆頭株主は旧村上ファンド系のシティインデックス・イレブンス
- チャートは右肩上がりに上昇中
- 4325円を超えてからか日足75MAで反発してから買いたい
大豊建設の概要
大豊建設は、土木事業とマンション建設を主体とする中堅ゼネコンです。
筆頭株主はシティインデックス・イレブンス(旧村上ファンド系)で30.48%保有しています。
主要株主の4番目には住友不動産もいます。
こちらもCHECK
住友不動産(8830)の株価分析と特徴【7年以内に配当金の倍増を宣言】
住友不動産(8830)の株価分析と特徴をまとめていきます。 住友不動産を5つのポイントで説明 売上と利益の主力はオフィスビルを中心とした不動産賃貸事業 当期純利益は10期連続最高益を更新 ...
続きを見る
建築事業は、今までマンション建設を主体にしていました。
しかし、今後は人口減少を見据えて工場、公共施設、物流施設を強化しようとしています。
土木事業では、「技術の大豊」として大深度地下掘削工事が強みを持っています。
21年3月期の土木事業の内、ケーソン工事とシールド工事の受注高は全体の47.7%を占めています。
このことから、いかに地下掘削工事の技術力が評価されているかが分かります。
引用:大豊建設
都市部のゲリラ豪雨を制圧せよ
引用:大豊建設
近年、都市部では台風やゲリラ豪雨などの自然災害の増加しています。
今後もゲリラ豪雨などの水害対策として、地下貯蔵施設のニーズが増えていくと予想されます。
その地下貯蔵施設を建設する上で、ニューマチックケーソン工法やシールド工法が多く使われます。
これは、大豊建設が得意とする2つの技術です。
独自の地下掘削技術
New DREAM工法
引用:大豊建設
New DREAM工法は、大豊建設が開発した新しいニューマチックケーソン工法です。
ニューマチックケーソン工法
地上であらかじめ造った鉄筋コンクリートの箱を地下に徐々に沈めていく工法。
箱の下部にある作業室に圧縮空気を送り込んで、地盤を掘削するとき地下水が出ないようにします。
この工法は、橋梁の基礎・シールド工事立坑・ダムの基礎等・地下構造物に幅広く用いられています。
New DREAM工法は、高気圧作業の無人化や安全対策等の施工条件で、組合せて使用することをコンセプトにしています。
この工法により、ニューマチックケーソン工法の大幅な施工効率と安全性の向上が図れます。
さらに掘削機メンテナンスシステムを装備すると、高気圧作業の実質的な「完全無人化」が可能です。
New DREAM工法のメリット
- 高気圧作業の無人化率100%
- 高気圧障害の発生がゼロ
- 作業環境の改善
- コストダウン
- 掘削工程の短縮
- 水深70Mの大深度でも施工可能
泥土加圧シールド工法
引用:大豊建設
泥土加圧シールド工法とは、泥土圧シールド工法の代表的な工法です。
カッターで切削した土砂を泥土に変換し、切羽の安定を図り、泥土圧により掘進管理を行います。
シールドの前方で掘った土を泥土にすることで、安定的な掘削が可能になります。
大豊建設は、泥土加圧シールド工法で国内・国外合わせて1600件以上の施工実績があります。
泥土加圧シールド工法のメリット
- 多種多様な土室に広く適応が可能
- 厳しい条件の中でも安全で確実な施工が出来る
- 大深度・高水圧にも適用可能
- 環境に優しく、経済的に軟弱な地盤の改良が出来る
- 用地の狭い都市部の施工に適している
事業セグメント
大豊建設は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:土木工事全般に関する事業
- 建築事業:建築工事全般に関する事業
- その他事業:不動産の売買、賃貸等や建設用資材の販売、賃貸等に関する事業等
大豊建設の売上構成比率(2021年3月)
売上高の主軸は土木事業になり、全体の約53%を占めています。
中堅ゼネコン8社の建築工事の比率43%なので、大豊建設は平均的な企業です。
大豊建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も国内土木事業になり、全体の約56%を占めています。
21年3月期の土木事業の利益率は約5.8%、建築事業の利益率は約5%になっています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
日足6か月チャート
引用:株探
株価指標
- PER:13.1倍
- PBR:1.00倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、株価600円台は高値圏になっています。
月足移動平均線は3本共上向きなので、長期的にも上昇傾向です。
週足移動平均線も3本共上向きなので、中期的にも上昇傾向です。
日足チャートを見ると短期的には日足75MAにぶつかると反発しています。
また直近は4300円が上値抵抗ラインになっている可能性もあります。
決算発表でここを抜いてくるのかにも注目です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は1997年に1700億円、営業利益の過去最高は2018年の112億円です。
21年3月期の決算は減収増益の結果になっていますが、最終益は減益。
22年3月期は減収減益予想になっています。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:5.38%
- ROE:7.65%
- ROA:3.28%
- EPS:323.4円
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、経営効率は平均を少し上回る企業になります。
中堅ゼネコン8社の平均営業利益率は4.9%なので、利益率はほぼ平均的です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:42.8%
- 有利子負債倍率:0.20倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、ほぼ平均的な企業です。
直近3年の有利子倍率も減少傾向で、1倍以下の0.20倍です。
余剰金は増加傾向になっていて、総資産に対して30.8%なので財務状況は優秀な企業です。
21年3月期の営業CFは回復していますが、引き続きマイナスになっています。
22年3月期予想も減収減益なので、まだ本業は持ち直していないと考えられます。
財務CFは短期借入とCB転換を行ったので増加しています。
これは、年度末の運転資金不足等の対策の為です。
しかし、自己資本比率の高さや有利子負債倍率の低さは優秀なので問題はありません。
中期経営計画
大豊建設は、2022年に向けた中期経営計画を策定しています。
経営数値目標
引用:大豊建設
2030年には事業規模2500億円を計画していて、新規事業とPPP事業を成長分野にしています。
資本政策
引用:大豊建設
現在の大豊建設のROE9.1%は、建設業の中でも平均より上回っています。
大豊建設の15年度ROE15.2%だったので、年々減少している傾向にあります。
ROEをまず10%以上を目標に目指していますが、22年の予想ROEは7.65%なので厳しいスタートです。
株主還元方針
引用:大豊建設
連結配当性向30%以上を確保することを宣言しています。
また自社株買いについても積極的に行うことを宣言しています。
年度中に当初予定の戦略投資ができない場合、それに見合う金額を自社株買いを行うとしています。
投資計画
引用:大豊建設
事業戦略
引用:大豊建設
新規事業ではインフラ維持・修繕、また建築事業では、首都圏の建築事業の強化に取り組んでいます。
また国産木材の活用と収益率の高い不動産事業の進出を計画しています。
PPP事業とは、官民連携事業の事です。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:110円(2022年3月期)
- 配当利回:2.59%(21年7月30日終値)
- 配当性向:34.0%
配当は、19年3月期に減配していて、22年3月期も減配予定です。
減配後の配当性向は31.2%なので、中期経営計画の20%~30%の範囲より少し上回っています。
今期の増配のサプライズの期待はあまりできません。
株主優待
残念ながら大豊建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
大豊建設を買うなら、4300円を超えるか日足75MAにタッチしたところで買いを検討したい。
中長期的には、チャートは右肩上がりなのでいつ買っても良いです。
また日足チャートで見ると75MAにタッチして反発する傾向にあるので、そこからでもよさそうです。
しかし短期で見ると4325円を再度超えれていません。
8月上旬に第一四半期決算の発表があるので、そこで4325円を超えるかが分かるかもしれません。
財務状況で、自己資本比率と有利子負債倍率は中堅ゼネコンの中でも優秀です。
配当性向も30%台とまだまだ増配余力もありますし、自社株買いにも積極的です。
やはり筆頭株主のシティインデックス・イレブンスの影響があると思います。
大豊建設は土木事業に強みを持っていて、地下掘削の独自技術も持っています。
都市部では、台風やゲリラ豪雨等の自然災害が多くなっている中で減災・防災が注目されています。
またインフラの老朽化で修繕や維持工事が必要になってきています。
その中で、大豊建設の強みのシールド工事・ケーソン工事の需要は恩恵を受けれると思います。