東急建設(1720)の株価を分析していきます。
東急建設を5つのポイントで説明
- 東急グループの準大手ゼネコン
- 売上と利益の主軸は建築工事だが21年3月期の利益率が1.5%と低い
- 高配当銘柄で財務状況は優良だが配当性向が87.1%と高い
- 週足と月足の移動平均線は全て上向きだが業績の回復はまだ遠い
- 800円を超えてからか700円付近で購入して900円を目指したい
東急建設の概要
東急建設は、私鉄最大の東急グループの一員で、建築を得意とする準大手ゼネコンです。
東急グループの一員なので、東急不動産や東急電鉄等の東急グループからの受注が多いのが特徴です。
全国規模で展開する東急建設ですが、実績が多いのはやはり東急沿線のある関東圏です。
その中でも「渋谷」は、東急グループの本拠地なので渋谷のランドマークを多く手掛けています。
さらに東急が力を入れている「渋谷駅周辺再開発プロジェクト」にも東急建設が多く関わっています。
東急グループ
引用:東急建設
21年3月期の建設受注高が3,066億円の内、約9.7%の299億円が東急グループからの受注になります。
詳しい内訳は、建築事業が約10%、土木事業が約7%になります。
22年3月期予想も2,570億円の内、15.5%の400億円は東急グループからの受注を見込んでいます。
今後も、東急グループが開発してきた都心5区を中心に関わってくると予想できます。
渋谷駅周辺再開発プロジェクト
引用:東急
これは、東急が掲げる「渋谷駅周辺再開発プロジェクト」です。
渋谷スクランブルエリア、渋谷ソラスタ、渋谷ヒカリエ等は東急建設の施工です。
事業セグメント
東急建設は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 建築事業:建築工事全般に関する事業
- 土木事業:土木工事全般に関する事業
- 不動産事業等:不動産の売買・賃貸及び新規事業等
東急建設の売上構成比率(2021年3月)
東急建設の売上高の主力は、建築事業になっています。
準大手ゼネコンの受注高に対して建築工事の割合が平均65%となっています。
建築工事と土木工事のバランスは、準大手ゼネコンの平均に近いゼネコンです。
東急建設の利益構成比率(2021年3月)
利益の主軸も建築事業になり、全体の約70%を占めています。
21年3月期の建築事業の利益率は約4.9%、土木事業の利益率は約4.3%になっています。
その結果、21年3月期の営業利益率は1.5%となっています。
この利益率は、準大手ゼネコンの中でもかなり低い営業利益率です。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:17.1倍
- PBR:0.80倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると割高と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、現在の株価は節目800円に到達しています。
月足移動平均線は、3本共上向きなので上昇傾向です。
現在6MAは24MAをゴールデンクロスしています。
12MAも上向きでゴールデンクロスしようとしています。
週足5年チャートを見るても800円付近が節目になっている事が分かります。
週足移動平均線の13MA、26MA、52MAは上向きなので上昇傾向です。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2019年に3314億円、営業利益の過去最高も2019年の219億円です。
21年3月期は、新型コロナの影響を受けて大幅な減収減益になりました。
22年3月期は、大幅な増収増益予想になっています。
しかし、新型コロナショック前の水準には戻れていません。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:2.46%
- ROE:4.66%
- ROA:2.12%
- EPS:45.9円
中堅ゼネコン8社の平均営業利益率は4.9%なので、その半分以下の利益率です。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、平均を下回る経営効率の企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:45.4%
- 有利子負債倍率:0.26倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、平均的な自己資本比率です。
直近3年の有利子倍率を見ると増加傾向ですが、1倍以下の0.26倍なので健全な財務状況です。
これは、自己資本比率の改善から資本効率の向上に方針転換をしたからです。
余剰金は増加傾向にあり、総資産に対して34%あります。
営業CFは20年3月期にマイナスになりましたが、21年3月には改善されています。
投資CFは直近3年で比べると減少しています。
20年3月期の財務CFは増加しましたが、21年3月期にはしっかり減少させています。
財務CFが減少傾向で、余剰金が増加傾向にあるので本業が持ち直している状態である事が分かります。
長期経営計画
東急建設は、2030年に向けたビジョンの実現に向けて長期経営計画を策定しています。
経営数値目標
引用:東急建設
21年3月までの中期経営計画では、売上高、営業利益、経営効率の向上を掲げています。
この中でも注目したいのは営業利益率の向上です。
新型コロナショック前までの東急建設の営業利益率は6%以上ありました。
21年3月期の営業利益率は1.5%の実績で、22年3月期の営業利益率は2.4%の予想です。
準大手ゼネコンの中でも利益率が引くなっていて、利益率の回復に10年以上かかる計画です。
投資計画
引用:東急建設
2030年までの長期経営計画では10年間で1700億円規模の投資を計画しています。
株主還元方針
引用:東急建設
東急建設は21年3月期から投資方針を変更しています。
今までは、配当性向20%以上としていましたが、DOE(株主資本配当率)4%以上にしています。
これで業績に左右されやすい配当から、安定的で継続的な配当政策に方向転換しました。
しかし、DOEで計算するとROEの数値が重要になってきます。
財務状況が優良とは言え、利益率の低い東急建設にとって配当性向が高くなってしまいます。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:40円(2022年3月期)
- 配当利回:5.09%(21年7月2日終値)
- 配当性向:87.1%
配当は、昨年に大幅に減配しています。
しかし22年3月期は、大幅な増配になっています。
22年3月期からは配当政策をDOE4%以上の導入をしています。
予想ROEが4.66%なので、配当性向が87.1%とかなり高い水準になっています。
株主優待
残念ながら東急建設は、株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
東急建設を買うなら、800円を超えてからか700円付近で購入したい。
月足チャートを見ると20年10月頃より悪材料を織り込んで底打ちして上昇しています。
週足チャートを見ると、直近の上値抵抗線の680円を超えて次の節目は800円になります。
また、週足と月足の移動平均線は全て上向きなので強い上昇傾向になっています。
高配当銘柄ですが、配当目的の長期保有は現在の時点ではオススメ出来ません。
配当利回りが5%以上で財務状況も健全ですが、直近に減配しています。
また今期は増配予想ですが、利益の低さもあり配当性向が87.1%と非常に高いです。
また売上高や営業利益が回復したわけではないので、好調とは言えません。
次の目標は、しっかりもみ合いながら900円を目指して上昇を期待したいです。
直近に560円と640円付近でもみ合っているので、下値目途に考えてもいいと思います。
こちらもCHECK
東急不動産HD(3289)の株価分析と特徴【10期連続減配無しのオススメ優待銘柄】
東急不動産HD(3289)の株価分析と特徴をまとめしていきます。 東急不動産HDを5つのポイントで説明 東急不動産HDの事業ポートフォリオは綺麗に分散出来ている 海外事業はアメリカが主力 ...
続きを見る