三井住友建設(1820)の株価を分析していきます。
三井住友建設を5つのポイントで説明
- 超高層マンションとPC橋、道路に強み
- 経営効率は平均的だが、利益率と財務状況が平均以下
- 建築事業と土木事業のバランスが取れた売上と利益の構成
- 購入するなら最低でも500円を超えてら2,3年覚悟で購入したい
- PCやシールド技術だけでなく、今後は耐震免震技術にも注目
三井住友建設の概要
三井住友建設は、超高層マンションとPC橋に強みを持っている準大手ゼネコンです。
社名から分かるように、住友グループと三井グループに唯一所属するゼネコンです。
なので、三井グループからと住友グループから受注があるのも強みです。
合併する前の旧三井建設は高層建築に強みを持っていました。
反対に旧住友建設は橋梁工事などの土木工事に強みを持っていました。
その2社の技術は合併した後も活かされています。
旧住友建設が得意だった、PC(プレストレスト・コンクリート)やシールドなどの技術は、高く評価されています。
実際に土木事業の中でも「PC工事」の比率は約20%になっています。
また最近では、大規模更新工事を含む「補修・補強工事」に注力していて、約40%を占めています。
建築事業の内、旧三井建設が得意だった「超高層住宅」のタワーマンションは約30%あります。
その次に最近需要が高まっている「倉庫・流通施設」が約20%を占めています。
さらに免震技術は、業界トップレベルです。
今後も耐震免震リニューアルやマンションの大規模修繕サービスは、需要が見込めます。
また、全国にある三井アウトレットパークは、ほぼ三井住友建設が設計・施工をしています。
2014年に住友林業と業務提携契約を締結しました。
この事で、大規模木造の技術発展や市場拡大を目指しています。
また「TEKIZAI」という、最適な素材でより良い建物を作っていこうと挑戦しています。
海外事業は、ベトナム、タイ、インドネシアを中心に東南アジアに進出しています。
インドネシアでは地下鉄工事を受注、タイでは34階建ての超高層オフィスビルを建築中です。
SuKKiTシリーズ
三井住友建設は「SuKKiTシリーズ」と呼ばれる集合住宅の設計システムを持っています。
これは購入者がこだわる、梁がなくて高い窓をコストを抑えて実現することを目的としています。
建物タイプも板状外廊下、中廊下、タワーマンション、耐震、免震も豊富なラインナップで対応しています。
また様々なニーズに対応できるように全15種のバリエーションあり、最高40階程度まで対応可能です。
合併の経緯
三井建設と住友建設は、合併する前に巨額の赤字を出して、経営が悪化していました。
2社のメインバンクの三井住友銀行が、住友建設に対する600億円の金融支援で債務超過を解消させました。
そして三井建設が住友建設を合併させることで、三井住友建設が誕生しました。
事業セグメント
三井住友建設は、主に3つのセグメントから成り立っています。
- 土木事業:PC橋梁工事等の官公庁発注の工事
- 建築事業:超高層住宅等の民間企業発注の工事
- その他事業:太陽光発電事業及びこれに付帯する事業、老人介護施設の運営と保険代理店などの事業
三井住友建設のセグメント別業績(2021年3月)
引用:三井住友建設
三井住友建設は土木工事、建築事業のどちらも強みを持っています。
売上高、利益共に土木事業と建築事業のバランスが取れています。
三井住友建設の国内・海外別業績(2021年3月)
引用:三井住友建設
売上高、利益共に主軸は国内になりますが、海外の利益率が大きく下がってきています。
株価の推移
月足10年チャート
引用:株探
週足5年チャート
引用:株探
株価指標
- PER:7.4倍
- PBR:0.73倍
建設業の平均PERが9.8倍、PBRが0.9倍な事を考えると、割安と判断されています。
チャート分析
月足10年チャートを見ると、現在の株価は500円の節目に戻されています。
また株価は2年かけて上昇し、そのあと2年かけて下落する傾向が見られます。
週足5年チャートを見ると底打ちして上昇しています。
しかし13MAを割り込み、26MAにタッチしているので注意です。
まずは目先の500円を超える事を確認したいです。
その次の節目は600円付近になっています。
心配な人は600円を超えてから、移動平均線の向きを見て購入してもいいと思います。
業績と収益性の推移
売上高と営業利益
引用:株探
売上高の過去最高は2003年に6667億円、営業利益の過去最高は2018年の305億円です。
21年3月の利益が大幅に減少しています。
これは建築事業の一部の工事で採算低下と、土木事業でも一部の工事で損益改善が出来なかったからです。
経営効率
引用:株探
- 営業利益率:4.28%
- ROE:9.77%
- ROA:2.65%
- EPS:64.1円
上場ゼネコン55社の平均営業利益率は7.3%なので利益率は低いです。
上場企業の平均ROE8%、ROA3%なので、ほぼ平均的な経営効率の企業です。
財務状況
引用:株探
- 自己資本比率:27.2%
- 有利子負債倍率:0.64倍
100億円以上の建設業の自己資本比率の平均が44%なので、大幅に低い企業です。
有利子倍率は、1倍以下の0.64倍ですが年々増えているので要注意です。
余剰金は増加傾向にありますが、総資産に対して25.4%しかありません。
中期経営計画
引用:三井住友建設
21年度の最終の年になりましたが、経営数値目標の達成は厳しいです。
成長投資で、三井住友建設鉄構エンジニアリングとドーピー建設を2020年に子会社化しています。
その効果で橋梁事業の受注は前年の約2.5倍の約990億円になっています。
またPC橋のシェアは、16.8%から18.2%と拡大しています。
その他にも成長投資で自社のプレキャスト工場を増設しています。
これは、大規模更新事業などで今後の需要が増える事に対応するためです。
また2022年には、建築部材の生産設備を増強する計画しています。
今後、タワーマンションが地方に展開していくと見込んでいるからです。
配当金の推移と株主優待
配当金の推移
引用:バフェットコード
- 配当金:20円(2022年3月期)
- 配当利回:4.20%(21年5月21日終値)
- 配当性向:31.25%
21年3月期は業績が悪かったので減配していますが、自社株買いを行いました。
なので21年3月期の総還元性向は、43.8%になっています。
22年度3月期の期末配当金は20円を予定しています。
配当性向が31.25%なので増配の余力を感じますが、自己資本比率の低さと有利子負債倍率の増加が気になります。
株主優待
残念ながら三井住友建設は株主優待の設定がありませんでした。
まとめ
三井住友建設を買うなら、2,3年を持つ覚悟で500円付近を超えてから買いたい。
建築事業は、再開発事業でタワーマンションの需要は高まるので恩恵を受けると思います。
土木事業も道路の更新や修繕は、今後も安定して出てくると思います。
チャートは、週足、月足ともに長期移動平均線に押さえつけれています。
まずは目先の上値抵抗線500円をしっかり超えていけるかに注目です。
また月足チャートを見ると2年スパンで上昇と下落を繰り返しています。
心配な方は、500円の次の節目の600円を超えてからでも遅くないと思います。
ただし2016年の杭打ちデータ改ざん問題の訴訟問題まだ解決していません。
三井不動産レジデンシャルから三井住友建設を含む3社に約510億円の訴訟を起こされています。
もし支払い命令が出た時に、配分にもよりますが960億円の余剰金しかありません。
今後もこの訴訟には注意が必要です。